経営者インタビュー 平野敦士カール氏(株式会社ネットストラテジー 代表取締役社長)Vol.2|経営ノート

経営者インタビュー 平野敦士カール氏(株式会社ネットストラテジー  代表取締役社長)Vol.2|経営ノート

「社長に聞く!」経営者インタビュー 〜活躍する現役社長に、経営者としての半生をお聞きしました!

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、ネットストラテジーの代表取締役社長、平野敦士カール氏です。ベストセラー「プラットフォーム戦略」の著書であり、「ビジネス集中講義シリーズ」など、経営者必読の本を多く執筆されています。そんな平野敦士カール氏の生の声が聴けるインタビューは、経営者の皆様にとって多くのヒントを得ていただけることでしょう。(2017年1月配信)


前回に続き、平野敦士カール氏(ネットストラテジー代表取締役社長)の経営者インタビューをお届けします。(Vol.1はこちら

新谷哲:ちょっと前のお話しに戻りますが、MOF担だったということですが?

平野敦士カール:MOF担とは言っちゃいけないことになっているのです。

新谷哲:大変失礼しました。

平野敦士カール:今は財務省、当時の大蔵省のほうが、金融庁ですかね。銀行の不良債権の査定を行っておりまして。国内部隊が一応MOF担というのがおり、投資銀行グループというのがありまして。M&Aとか、プロジェクトファイナンスとか。そういった部隊の全体の取りまとめを担当常務と2人で担当しまして、それをまとめて大蔵省に出すという形の担当でした。

新谷哲:通常、銀行で考えると、いわゆる大蔵省担当部門ということは頭取候補だったはずですが。

平野敦士カール:そういう人もいたのだと思います。ただ、私の知り合いはほとんど皆、辞めちゃいましたね。

新谷哲:そうですか。

平野敦士カール:実態がわかるのですよね。不良債権がこんなにあるのかというので。私の知り合いの優秀な方も、先輩なんかもMOF担だったのですが、皆さんお辞めになりました。

新谷哲:私も銀行コンサルタント出身なので、ついついお聞きしたくなってしまいましたが、元に戻します。iモードのほうをもうちょっとだけお教えいただきたいなと思います。iモードの開発をやられたのは何年ぐらいのお話しですか?

平野敦士カール:1999年の5月に入社をいたしまして、初めは企画部隊におりました。その後iモードと一緒にという部隊があり、そこと一緒に、iモード成長戦略というのを作成するプロジェクトチームがあったのです。それはボストンコンサルティングさんと一緒にやっていたのです。6~7人ぐらいのグループで。そこで例えば会員が1,000万人いたら広告をやろうとか、そういう形でやっていました。

初めは100万人いたらやろうという話だったのですが、結局できたのは1,000万人いった時になっちゃったのです。例えば電通さんと一緒に会社を作ったりとか、あるいは、いろんな会社に投資をしたりとかいうところからiモードには絡んできて、途中で1年半ぐらいしたところでiモードのほうに移って、iモード自体の成長戦略の企画を行ったということです。

新谷哲:iモードの開発というか、商品開発をされていらっしゃって、時代を感じたり、未来を感じたりとか、いろいろと感じられたことは覚えていらっしゃいますか?

平野敦士カール:まさに「プラットフォーム戦略」に出てくる話なのです。当時は「ポータル」なんて言い方をしていたと思うのですが、1番最初はiモードが出た時に公式サイトというのはあんまり数がなかったのです。

お願いに行って、何とか出してもらうという形だったのですが、ほとんど無料で皆さんやっていただいたのです。その時、やっぱりこのリスクを一緒に取ってくれる企業、これをいかにその方々に成功してもらうかと思いました。

これがやっぱり一番重要だなということを、そこですごく学びました。

その後、おサイフケータイが出た時にも、その普及を担当したのですが、初めはほとんど断られました。ところが先方様の、例えばローソンさんだと当時新浪さんがまだ社長でしたので、非常に親しくさせていただいていたので、最終的にはもう泣き落としでお願いをしたという感じだったのです。しかし、先方にも使われるかどうかわからないものにも投資していただく訳ですから、お互いにリスクをシェアするという形です。

必ず成功させましょうという形での一体感みたいなのが、会社を越えて行うということの楽しさと大変さと両方を経験した感じがしますね。まさに、プラットフォーム戦略だったと思いますね。

新谷哲:その後、かの有名な「プラットフォーム戦略」を著者として書かれていますが、きっかけは何かあるのですか?

平野敦士カール:もともとその前に著者デビューというのはたまたま…。バンダイナムコの社長、大下さんという方と親しくさせていただいていて。辞めた後、その方とたまたまお食事のランチをしました。「昨日出版社の社長とゴルフだったんですよ」という話をされたので「平野さん、本を書けばいいじゃない」と言われたのがきっかけです。

おサイフケータイを作ったクレジット事業というのは、僕が発案をしたので。今はiDという名前になっていますが「そういう話を書いたら面白いんじゃない?」と言われました。今は会長ですが、当時ゴマブックスの社長だった嬉野(うれしの)さんをご紹介いただいたのです。初めに「アライアンス仕事術」という本を執筆させていただいて。これはAmazonでも1位になって、2万部強売れました。そこで、企業とのアライアンスをどうするべきかとか、個人としてもどう人脈を広げるとか、勉強法とかいろんなことを書いたのです。その中で一番、読者さんの反応があったのが、「自分をプラットフォーム化する、プラットフォームを作りましょう」というところでした。それが基で、プラットフォームというものにやっぱり皆さん興味があるのだと気づきました。

私はドコモを辞めて、アメリカのボストンにあるMPDというマーケットプラットフォームダイナミクスという、アメリカのハーバード大学の先生とかシカゴ大学の先生とかMITのスローンスクールというビジネススクールの学部長等が作った会社の、シニアアドバイザーに2年ぐらいやっていたのです。

そこがまさにプラットフォーム戦略を研究している、コンサルティングファームだったのです。そのメンバーが12月に日本に来るので、また会います。これちょっと先出しですが、実はそのメンバーが書いた新しい本を私また翻訳監修で来年出しますが、それがまさにプラットフォーム戦略です。自分がやってきた経験をどう理論化するかというところをMPDでのノウハウというものと一緒にして、日本に紹介しようと。それがハギウさんというハーバードの先生と一緒に教授になったという経緯です。ハギウさんもそのMPDのメンバーでした。

新谷哲:このプラットフォーム戦略って、誰でもできる戦略なのでしょうか?

平野敦士カール:実際に成功するのは難しいというか、大変です。ただ、今非常にハードルが下がってきていると思うのです。

昔でしたら、イメージとしては銀座の4丁目の角に自分のお店を持つというのはなかなか大変ですが、今はインターネットの世界で、しかも特に最近はWordPressとかが出てきました。WordPressであれば、ニューヨークタイムズもWordPressです。同じようなツールを大企業でも個人でも使えます。そしてあとは人が集まるような場を作るというのは、それ程難しくはなくなっています。

そういう意味では誰でもできます。今はプラットフォームとして成功している企業の多くも、ほとんどが部品。例えばAppleもパソコンメーカーでしたし。Microsoftなんかはソフト屋さんですよね。ですので、誰でもプラットフォームになっています。Amazonももともとは本のオンライン書店ですよね、いわゆる。そこからプラットフォームになっていったので。初めからプラットフォームというよりは、むしろ途中からプラットフォーム化していったということだと思いますね。

新谷哲:教授が見られていて、今後、プラットフォーム戦略をやっている企業で、こんなビジネスモデル流行るのではないかなと、注目されているビジネスはございますか?

平野敦士カール:CtoCで、シェアリングエコノミーって最近は言われています。AirbnbとかUberとかですね。とてつもない時価総額で今度上場するという噂が出ております。ひとつ彼らがすごいのが、余っているもの、皆さんの家で使っていないもの。例えばゴルフバッグとかね。別に毎日使っていらっしゃいませんよね。そういうものを、例えば近所の人に貸すとか、そういったものだけでももうひとつの取引が起きる訳ですよね。そういう意味ではCtoCのプラットフォームというのは限りなくある訳で、本棚もそうですし、洋服ダンスもそうですし。あらゆるものが多分プラットフォーム化できるのではないかなと思っていますね。

新谷哲:では我々も是非プラットフォームを作って、頑張っていきたいと思っております。

Vol.3へ続く

 

[プロフィール]平野敦士カール氏(ネットストラテジー 代表取締役社長)
経営コンサルタント 株式会社ネットストラテジー代表取締役社長、社団法人プラットフォーム戦略協会代表理事。

麻布中学・高校卒業、東京大学経済学部卒業。日本興業銀行、NTTドコモiモード企画部担当部長を経て2007年ハーバードビジネススクールHagiu准教授とコンサルティング&研修会社㈱ネットストラテジーを創業し社長に就任。米国イリノイ州生まれ。ハーバードビジネススクール招待講師、早稲田MBA非常勤講師、BBT大学教授、楽天オークション取締役、タワーレコード取締役 ドコモ・ドットコム取締役を歴任。米国・中国・韓国・シンガポール他海外での講演多数。

平野敦士カール氏著書に『プラットフォーム戦略』(東洋経済新報社)、「ビジネスモデル超入門」(ディスカヴァー21)『新・プラットフォーム思考』『シリーズ 経営戦略・ビジネスモデル・マーケティング・金融・ファイナンス』(朝日新聞出版)など多数。韓国台湾中国タイなど海外でも翻訳出版されている。

 

本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

今回は、ネットストラテジーの代表取締役社長、平野敦士カール氏の経営者インタビューを取り上げました。

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