経営者インタビュー 柴原幸保氏(慈眼寺 住職) Vol.2

経営者インタビュー 柴原幸保氏(慈眼寺 住職) Vol.2

「社長に聞く!」経営者インタビュー 〜活躍する現役社長に、経営者としての半生をお聞きしました!

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、柴原幸保氏(慈眼寺 住職)です。今回は、経営者でもあり住職であり、そして作家でもある、柴原幸保氏にお越しいただきました。柴原幸保氏は780年続くお寺に生まれ、大学卒業後祖父の代から続くお寺に併設された幼稚園に就職。18年ほどの園経営の低迷を乗り越え、人口減少、少子高齢化、競合多数という幼稚園保育園経営にとって厳しい経営環境の秩父市で、5年連続で園児増を実現されました。この経験をもとに、現在は講演活動を開始。同業者にとどまらず、異業種にも広がっています。「成功の秘訣は成功するまでやること」のメッセージに始まり、住職ならではの奥深いお話をたくさんお聞きいただけます。経営者インタビューをぜひお楽しみください。

(2017年10月配信)



前回に続き、柴原幸保氏(慈眼寺 住職)の経営者インタビューをお届けします。(Vol.1はこちら

新谷哲:修業が経営に逆に作用というのは、どういう意味でしょうか?

柴原幸保:下の者は上の者の言うことを何でも聞く、という意識がすごく強かったから、職員は私の言うことを全部聞くものだと思っていました。ところが、人間関係ができていないので、聞くわけがない。それで、組織が崩壊します。新人2人と姉1人と、それを残して辞めてしまいます。

新谷哲:それが、経歴にも出ていらした廃園の危機なのですね。

柴原幸保:それじゃありません。もっとあるのです。廃園の危機は、その後です(笑)。

新谷哲:もっとあるのですか(笑)。では、どうやって経営の危機がきたのかを、お教えいただけますか?

柴原幸保:まず幼稚園の経営の捉え方を間違えていました。「幼稚園の経営なんて適当で良い、どうにでもなる」と思っていました。そしたら、最初の年に組織崩壊しました。次の年に、新人がドカッと入ります。でも先輩がいないので、教育ができない。だけどその時のスタッフはすごく力がある人達で、良い雰囲気ができました。また園舎を建て替えたりするので、入園者は増えました。けれど、私は「自分のやりたいことをやる」という思いが強く、勝手に進めてしまいます。それに下の者はついてこられないので、また崩壊していきました。一時期増えてきた園児が毎年また減っていくのです。幼稚園というのは園児を募集しないと経営できません。マーケティングをしない限り人が集まらないのですが、私はどうやってマーケティングをすればいいか分からなかったのです。

そこでいろんな経営者向け講演会とか、異業種の経営講演会とか経営セミナーに出ました。船井幸雄さんの話や、神田さんの本を読んで、だんだんと「こうやって人を集めるのだ」みたいなことが分かりました。しかし組織として実践するには、自分1人の力だけでは駄目です。トップはやる気満々なのだけど、組織が全然できていないので内部が上手く機能しない。歯車が合わなくて、それが負のエネルギーとして外に出るのです。幼稚園の評判がどんどん悪くなり、結果的に人が集まらなくなります。

ずっと「どうして人が来ないのだろう?」と思っていました。何で「保護者はうちの幼稚園を選ばないのだろう?」「一生懸命やっているのに何で分かってくれないのだろう?」と悩みました。だけど、入園者が非常に少ない年に、「今年、入ってくれた人たちは、何で評判の悪い保育園を選んでくれたのだろう?」と視点が変わり、見方が少し変わってきました。

新谷哲:それは、ネガティブ思考がポジティブ思考に変わった、というイメージですか?

柴原幸保:そうですね。私は非常にネガティブな男なのです(笑)。

新谷哲:そうですか(笑)。

柴原幸保:だから放っておくとネガティブになります。その頃の妻や娘は、「周りに寄るのが嫌だった。家の中に唐辛子が飛んでいるようにピリピリしていた」と言っていました。私は、人を責める人で、とってもネガティブなのです。

新谷哲:柴原幸保住職がそんなネガティブというのは、ちょっと想像つかないです。

柴原幸保:だからその頃のことを知っている人と、その後に会った人とでは、私に対する印象が全然違います。

新谷哲:それはネガティブ思考をポジティブ思考に変えるきっかけがあったのですか?

柴原幸保:見方が「何で選んでくれたのだろう?」に変わったこと。あと、いろんな事件というか事故が起こり、組織がどうにもならなくなってしまったことです。

ある園児が、入園した次の日に他の園児の目の下を引っかいてしまって、傷をつくってしまいました。その時の園長は私の母だったのですが、非常にネガティブな攻撃を受けて参ってしまいます。ストレスで本当に体調を崩し、歩くことができなくなってしまいました。70歳を過ぎており、このまま園長をやるのはきつく、今度は妻が園長になりました。その年に園のバスで事故を起こしてしまうのです。

その時が、大きなきっかけです。それまでの経営者としての私の考え方は、ミスを見つけて、それを責めるというもの。しかしこの時は、被害者の方からものすごく責められ、責められた時に返すことが何もできない。その時に、人間は「どんなに責められても何もできない。責めるだけでは何も変わらない」と気づきました。お釈迦様は解けない宿題は出しません。必ず解けるからこの宿題を出しているのだと気づき、だからずっとやり続けるという思いを持てるようになりました。必ず良い結果に結びつくと信じています。

Vol.3へ続く

 

[プロフィール]柴原 幸保 氏
秩父札所十三番 慈眼寺20世住職
秩父こども園園長理事長

昭和34年9月秩父市の寺院に生まれる。大学卒業後、曹洞宗大本山総持寺で3年間修行。昭和62年に秩父幼稚園に就職後、平成9年に弘道学園理事長、平成10年に慈眼寺住職に就任。平成11年に墓地改修を発表し檀家から大反対に遭うものの、諦めず対話を継続し、平成16年車いす参拝可能な墓地区画整理を実現。その後、廃園の噂が出るほど厳しい状況の幼稚園を、平成18年に同一園舎内に保育園、0歳から2歳のこどもと保護者のための広場を開設し、幼保一体化施設を実現。また、それぞれの職員が自分らしく力を発揮できる、チーム弘道学園を目指し、オリジナル曲やムービーを制作し、方針発表会などを一体化のために取り組む。さらに自己革新と自分との約束を守るため、マラソン完走にチャレンジ。平成21年、東京マラソン完走。この年から園児が増え始め、平成24年度は、保育園入園希望者は定員の2倍が応募に。教職員幸福度を高め、この学園で働けてよかったと心の底から思える学園作りに取り組む。現在は、幼稚園保育園、寺院、中小企業経営者を支援するため未来創造経営研究所を設立し、三宝経営塾を主宰。セミナー、講演、研修会を実施している。

 

本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

今回は、柴原幸保氏(慈眼寺 住職)の経営者インタビューを取り上げました。

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