経営者インタビュー 古俣大介氏(ピクスタ株式会社 代表取締役社長) Vol.3|経営ノート

経営者インタビュー 古俣大介氏(ピクスタ株式会社 代表取締役社長) Vol.3|経営ノート

「社長に聞く!」経営者インタビュー 〜活躍する現役社長に、経営者としての半生をお聞きしました!

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、古俣大介氏(ピクスタ株式会社 代表取締役社長)です。今回は、デジタル素材のオンラインマーケットプレイス「PIXTA」を運営する、ピクスタ株式会社 代表取締役社長の古俣大介氏にお越しいただきました。大学1年生の時、「広い世界に挑戦したい」というエネルギーが沸き上がったことをきっかけに、起業を真剣に目指すようになったという古俣大介社長。「才能をつなぎ、世界をポジティブにする」という企業理念のもと、2015年に上場を果たされました。さまざまな経緯をたどり、現在のような多くのクリエーターに価値を提供するプラットフォームを拡大されるまでにどのような物語あったのか、ぜひ経営者インタビューをお聞きください!

(2018年3月配信)



前回に続き、古俣大介氏(ピクスタ株式会社 代表取締役社長)の経営者インタビューをお届けします。(Vol.2はこちら

新谷哲:ガイアックスから独立・起業し、経営者をされていますが、現在のピクスタとは違う事業経営をされていたと聞いています。どのような事業から経営を始めたのですか?

古俣大介:最初は実は印刷デザインの事業経営から始めました。2001年~2002年に、ガイアックスさんにいて「どんな事業を経営するか?」を考えていた時、ネットバブルが崩壊しました。世の中では「インターネットはやっぱり幻想だった。インターネットはもう終わりだ」みたいな論調が渦巻いていました。私も若く、それに影響されて「インターネットオンリーの事業経営は、なかなか難しいのではないか?」と考えていたのです。その時に印刷分野でイノベーションが起きていることを知りました。

当時主流だったのが、オフセット印刷。「100部刷っても1万部刷っても値段一緒です」という印刷だったので、大量に刷らないといけません。そこに「100部なら100部、1万部なら1万部で値段が違う。印刷数に見合ったコスト」で、高品質な印刷ができる「オンデマンド印刷」という方法が登場します。そこで、「これからの世の中は、印刷のニーズが高くなるかもしれない」と考え、印刷機材をリースで入手します。「最初はどこに売り込むのが良いか」と考え、飲食店を選びます。飲食店はメニューが頻繁に変わるので、メニューや店頭のポスターを結構定期的に変えるので需要があると思ったのです。しかもオンデマンド印刷は少量印刷が安いコストでできるので、「1店舗~数店舗の飲食店ならニーズが高いだろう」と飲食店へ営業し始めました。飲食店のニーズは狙い通りにあったので、結構注文が増えるようになりました。当初はリアルに受注を受けていたので、将来的には「インターネット上でマーケットプレイスみたいな形で展開できたら良い」と思いながら事業経営をしていました。

しかし、自分達で「営業・受注・見積もり・デザイン・印刷・納品・資金回収」という全てを行っているうちに、「インターネット上で全てを行うのは無理ではないか」と自信を失います。あとは、4人~5人ぐらいアルバイトを採用していたのですが、マネジメントが上手くいかず、「1年ぐらい経って組織が崩壊、全員辞める」ことになりました。経営者としての自信を失ってしまい、印刷事業の経営からは撤退したのです。

新谷哲:撤退した後は、どのような事業を経営したのですか?

古俣大介:次にどの事業を経営するかは、なかなか見つかりませんでした。生活費もなくなってしまって、若干栄養失調気味になってしまいます。それを見かねた父親から、「ネットで売れている商品があるから、それを売る事業を経営してみろ」と健康グッズ的なものを紹介されます。私も「とりあえずこれを売って少しでも足しにしよう」と健康グッズを売り始めたのです。2003年~2004年ぐらいのことで、それが当たります。商品を追加すればするほど売上が上がるようになり、兄貴が途中で加わりました。兄貴と2人で会社経営をして、1年ぐらい経つと月収で1000万円、粗利500万円という事業になります。発送とかは全部倉庫や運送会社に頼んで自動化したりして。余裕も出て、栄養もしっかり摂れるようになりました。

新谷哲:その後、株式会社オンボードを設立されていますが、お兄さんと2人で経営していた、美容の健康グッズのEC販売等の会社はどうしたのですか?

古俣大介:全部兄に譲りました。兄が引き続き経営をして、いろんな商品を売りながら続けています。

新谷哲:美容の会社経営をお兄さんにお任せして、オンボードを設立しようと思った理由、きっかけは何でしょうか?

古俣大介:美容グッズ、健康グッズのECサイトが伸びれば、会社経営が順調なほど、逆にジレンマが自分の中でどんどん大きくなってきました。「何でジレンマがあるのだろう?」と考えた時に、20歳の情熱を思い出して「自分にしかできないような事業、インターネットを通じて大きな価値を生み出せる事業を経営したい」と思ったのです。生活費稼ぎで始めたEC販売という事業経営は、「人が作った商品を上手くインターネットを使って売っているだけ。別に自分が経営しなくても構わない」ものでした。昼間はEC販売の経営を続けましたが、夜はずっと「自分の人生をかけられる、自分にしか経営できない事業は何だろう?」と、ずっと考えていたのです。

8か月~10か月考え続けたとき、結論として出始めたのが幼少の体験でした。私が本当に好きだったのはクリエイティブとかコンテンツ分野で、小さい頃からコンテンツ中毒みたいな感じだったのです。小説や漫画、映画、アニメ、ゲームなどにずっとハマっていまして、10代の頃は自分で創作活動をしていました。けど、自信もないし、手段もないので、公に発表しないのです。そんな体験があって、「自分はやっぱりクリエイティブなコンテンツ分野の事業を経営したい」という思いが募りました。ただ自分にクリエイティブな才能がないことは分かっていたので、「もしかしたら、才能があってもそれを仕事にできていない、埋もれている方々は多いのではないか?インターネットを使えばそんな方々にもっと日の目が当たるような、活躍できる場を提供できるのかもしれない」と思うようになったのです。その時、自分にとって大きな出来事が2つ起こり、世の中の変化が起こっていました。

1つはデジタル一眼レフカメラの大ヒット。CanonがEOS Kiss Digitalというデジタル一眼レフカメラを2003年に発売して、今までの何分の一かの値段でデジタル一眼レフが買えるようになりました。世の中の数百万人の写真好きのアマチュアの方々が、デジタルの一眼レフカメラを手に入れ始めていました。2つ目は、インターネットがブロードバンドになったことです。高品質なデジタル写真がどんどんインターネットに投稿され始めた時期だったので、はたと気づきます。「自分が撮った自慢の作品をネットに投稿したいけど、良い先がない。良い投稿先を作れば、才能のある方々の良い作品が世の中に出て、活躍の場を提供できるのではないか?」と事業プランを考え始めます。その中に、今のピクスタ事業である、「インターネットのデジタル素材マーケットプレイス」の原形がありました。この事業を経営しようと会社を立ち上げました。

Vol.4へ続く

 

[プロフィール]
古俣 大介 氏
ピクスタ株式会社 代表取締役

多摩大学在学中から起業し、ECサイトなどの運営を手がける。大学卒業後に株式会社ガイアックスに入社。同社でいくつもの新規事業立ち上げに参画。その後、いくつかのECサービスを起業したのち、2005年8月に株式会社オンボード(現ピクスタ株式会社)を設立。翌年の2006年5月に「PIXTA」をリリース。2015年9月にマザーズ上場

 

本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

今回は、古俣大介氏(ピクスタ株式会社 代表取締役社長)の経営者インタビューを取り上げました。

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