成功経営者インタビュー

経営者インタビュー 株式会社ラクス 代表取締役 中村崇則氏

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、中村崇則氏(株式会社ラクス 代表取締役)です。(2019年5月 1日 2019年5月 8日  配信)

今回は、システムやクラウドといったITの力で中小企業を支える、株式会社ラクスの中村崇則社長にお越しいただきました。山口県生まれ。神戸大学を卒業。2000年に株式会社アイティーブーストを起業し経営者となります。2010年に社名を株式会社ラクスに変更。2015年に東証マザーズに上場。業務効率化に貢献する複数のクラウドサービスを開発・販売し、中小企業の業務効率化に貢献する経営者の素晴らしいお話を伺うことができました。座右の銘・成功の秘訣も、すべての方にご参考にしていただけます。経営者インタビューをぜひお聞きください!

新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社ラクスの中村崇則社長です。まずは経歴をご紹介します。山口県生まれで、神戸大学を卒業後、NTTへ入社。その後、株式会社インフォキャストに繋がる会社を起業され、楽天株式会社様に売却。2000年に株式会社アイティーブーストを起業し経営者となり、2010年に社名を株式会社ラクスに変更。2015年12月に東証マザーズに上場をした、上場企業の経営者です。本日はよろしくお願いいたします。

中村崇則:よろしくお願いします。

新谷哲:最初のご質問です。山口県ご出身ということですが、小学校・中学校時代はどのようにお過ごしになりましたか?

中村崇則:小学校で大阪府に転校し、中学校で山口県に戻ってきました。小学校の時は、あまり協調性はなかったです。クラスで「冤罪で捕まった方が無罪なので、署名をして助けましょう」となったとき、「冤罪かどうかって自分では判断がつかないのでこれには署名できない」と署名を断りました。

新谷哲:頭が良い少年だったのですね。

中村崇則:「何で僕達に署名をさせるのだろう?」と、正直ちょっと戸惑っていました(笑)。

新谷哲:なるほど(笑)。高校は大阪府ですか、山口県ですか?

中村崇則:高校も山口県です。

新谷哲:では、高校時代はどのようにお過ごしになりましたか?

中村崇則:高校時代は帰宅部で、各部活にちょっと顔を出して帰るみたいな感じです。大学受験の時は、そこに受験勉強が加わるという高校時代でした。

新谷哲:高校卒業後、神戸大学に進まれていますが、神戸大学を選ばれた理由はございますか?

中村崇則:その時の勉強量で、効率良く入れそうで、偏差値が一番高い大学が神戸大学だったので選びました。

新谷哲:大学時代はどのようにお過ごしになりましたか?

中村崇則:大学時代は、そんなに勉強はしていないです。アルバイトとサークル活動、友達との飲み歩きがメインでした。

新谷哲:大学卒業後、大企業のNTTにお勤めになりますが、NTTを選ばれた理由はございますか?

中村崇則:当時NTTが就職ランキングで1位だったの受けました。第一志望の会社は別だったのですがそこは落ち、NTTから内定をもらったので入社しました。

新谷哲: NTTに入社後、合資会社DNSを起業し経営者となられますが、NTT社員のまま起業して経営者になったのですか?

中村崇則:そうです。NTTは、5時半ぐらいに「会社から帰れ」と言われるので、6時半には家にいました。特にやることもなかったので何かやろうと思い、合資会社DNSを起業しました。あとは、NTTに入ってインターネットを初めて知ったので、「インターネットを使って何かできるのではないか?」と思ったので、始めました。

新谷哲:DNSでは、どのような事業を経営しようと思ったのですか?

中村崇則:無料のメーリングリストサービスを提供して、そのメーリングリストに対して広告を付ける事業を経営しました。

新谷哲:当時としては、画期的だったのではないですか?

中村崇則:今でいうとFacebookに近いイメージなので、当時としては画期的でしたね。

新谷哲:NTTは、入社から2年で退職されますが、これはDNSの経営が面白かったからですか?

中村崇則:そうです。小学校時代から協調性があまりないので、大企業では力を発揮しにくい環境でした。そのことに気付いたことと、「インターネットでもっとできることがあるのではないか?」と感じたので、2年で退職することを決心しました。

新谷哲:退職後はDNSの経営に専念するのですか?

中村崇則:そうですが、辞めた時は売上が全然なかったので、「食べていけるか分からない」という状態でした。でも「何とかなるか」と思っていました(笑)。

新谷哲:大企業を辞めて、経営者として独立することに「怖さ」などは感じましたか?

中村崇則:会社経営が上手くいかなくても、「コンビニのアルバイトをすれば食べていける。食べるものと住むところさえあればどうにかなる」と思っていたので、怖さはなかったです。

新谷哲:もう1つご質問をいたしますが、現在は副業ブームがございますが、当時のNTTでは副業は認められていないと思うのですが、いかがでしたか?

中村崇則:就業規則では、問題があった可能性はあります。ただ売上0円だったので、「実家の農業を手伝っているイメージ」という解釈をしていました。

新谷哲:NTT時代の上司は、会社の経営をしていることを知らなかったのですか?

中村崇則:言ったのか言っていないのか、ちょっと覚えていないです(笑)。

新谷哲:合資会社DNSはその後、株式会社インフォキャストに改組されて、最後は楽天に売却されることになります。これは、「良いビジネスができたから楽天に売ろう」とご決断されたということですか?

中村崇則:ライバル会社が日本に入ってきたので、「単独で戦っていくのは厳しいな」と思ったので売却を決意しました。

新谷哲:どのような企業がライバルだったのですか?

中村崇則:ヤフーです。アメリカのヤフーが、「イーグループス」を買収して、そのサービスを日本のヤフーが展開するという状況でした。

新谷哲:DNSを売却後、すぐに株式会社アイティーブースト(現・株式会社ラクス)を起業されていますが、何を目指して2社目を起業したのでしょうか?

中村崇則:1社目は売却してプラスで終わったのですが、起業するときに誘ったNTT時代の後輩達から「次に何の事業を経営する?」と聞かれました。さすがに「知りません」と答えるわけにはいかないので、アイティーブーストを起業しました。

新谷哲:起業されるとき、どのような事業を経営しようと考えていたのですか?

中村崇則:当時はITエンジニアの数、オープンソース技術者の数が少なかったので、「オープンソースを教える学校を作って、エンジニアの数を増やす」という事業の経営を考えました。

新谷哲:現在、経営されている事業とは少しズレている気がするのですが、なぜこの事業の経営を考えたのですか?

中村崇則:何かしらのサービスを作るためにも、エンジニアの数が必要です。しかし当時は、エンジニアの数が少なく採用できませんでした。エンジニアの数が増えるのを待つよりは、自分達でエンジニアを作りだす方が早いと考えます。エンジニアを教育する事業を経営することで、「エンジニアを増やし、その中から弊社に入ってくれる人が出てきて、開発力がついて、サービスを作る」という流れを考えました。

新谷哲:では、その流れの中から、弊社でも使用している「配配メール」などのサービスが出てくるのですか?

中村崇則:そうです。当時経営していたスクールの卒業生の中には、弊社に就職して社員になった方もおります。

新谷哲: 2015年には東証マザーズに上場を果たしますが、起業当初から上場を目指して経営をしていたのですか?

中村崇則: 上場は、1社目を起業した時から意識していました。2社目も同じで、「上場しても耐えられるような透明性の高い経営」を意識して経営していました。

新谷哲:それは上場に関する勉強をし、知識を得ていたということですか?

中村崇則:そうですね。1社目でVC(ベンチャーキャピタル)に出資いただいていたので、上場するにはどうすればいいか、という指導を受けていました。例えば「月次の役員会」は早い段階からスタートしていました。

新谷哲:2社目の時は、VCから出資を受けたのですか?

中村崇則:2社目は受けていないです。1社目を売却した資金があったので、それ使って起業しました。

新谷哲:経営をする中で、上場への苦労などはございましたか?

中村崇則:上場するためには、上場に耐えうるだけの管理体制を作る必要があり、コストがかかりました。売上の規模が小さい中、費用は1億円ぐらいかかったので、費用を捻出することに苦労しました。

新谷哲:未上場の時と上場後で、環境の変化などはございましたか?

中村崇則:もともと上場を意識して経営していたので、あまり変わっていないです。ただ、毎日株価はつきますので、そこは一番大きな変化だと思います。

新谷哲:もしよろしければ、株式会社ラクスが経営している事業についてお教えいただけますか?

中村崇則:中小企業向けの様々なクラウドサービスを、月額でレンタルする事業を経営しています。代表的なサービスとしては、「楽楽精算」という経費精算のサービス。これは経費精算の効率化に繋がるサービスで、経費精算が煩雑になってくる30名以上の企業を対象としものです。他にも様々なサービスがあり、それらを月額2万円、3万円という低価格のサービスで提供する事業を経営しています。

新谷哲:ここからは、違う質問をいたします。好きなもの・好きなことで、「映画・海外ドラマ・アニメ・漫画・テニス・旅行」とお答えいただきました。アニメがお好きなのですか?

中村崇則:そうです。フィクションではありますが、色々な人間模様、例えば裏切ったり裏切られたりとか、あとはどうなった、どういうふうに動くか、という部分が非常に面白いし、勉強になります。

新谷哲:なるほど。座右の銘もお聞きしましたが、「常在戦場(じょうざいせんじょう)」とお答えいただきました。なぜこちらを選ばれたのですか?

中村崇則:会社を発展させていこうと思う中で、「のほほんと日々を過ごすのではなく、常に戦場にあるみたいな気持ちで学びながら経営をしよう」と思い、「常在戦場」を座右の銘にしました。

新谷哲:勉強になります。次が最後の質問です。全国の経営者、これから起業する方に向けて経営者として成功の秘訣・方法をお教え下さい。

中村崇則:経営者として成功する秘訣・方法は「当たり前のことを当たり前にやる」ことだと思います。当たり前のことはどこに書いてあるというと、経営の本にあると思っています。例えば「戦略をどうするべきか?」や「マーケティングをどうするべき?」などを知るためには、本を読み込んで、本に書いてあることの本質的な部分を見つけ、日々、粛々と行うことが、経営者として成功の秘訣・方法だと思います。魔法みたいな手段は1つもないので、本当に当たり前のことを当たり前に、しかも突き詰めてやっていくことが大事です。

新谷哲:大変勉強になるお言葉をいただきありがとうございます。中村崇則社長、本日はどうもありがとうございました。

中村崇則:ありがとうございました。

編集後記

中村崇則社長は、「自分には協調性がない」とおっしゃいましたが、「協調性がないところは、ちょっと私に似ているかも?」と共感しました。経営者として成功する秘訣では、「当たり前のことを粛々と行う」では、「本当にその通りだ」と思いますし、私自身がもっと粛々と突き詰めて経営をしなければならないと反省しました。

中村崇則氏
株式会社ラクス 代表取締役

神戸大学経営学部を卒業後、1996年4月に日本電信電話株式会社(NTT)入社。同社退職後にメーリングリストサービスを提供する株式会社インフォキャストを設立し、取締役に就任。株式会社インフォキャストを楽天株式会社に売却。2000年11月に株式会社アイティーブーストを設立し、代表取締役社長に就任。2010年1月に株式会社ラクスに社名を変更。2015年に東証マザーズに上場。

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本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、中村崇則氏(株式会社ラクス 代表取締役)の経営者インタビューを取り上げました。

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