成功経営者インタビュー

株式会社IBJ 代表取締役社長 石坂茂氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、石坂茂氏(株式会社IBJ 代表取締役社長)です。(2021年8月25日 2021年9月 1日 配信)

今回は、株式会社IBJの石坂茂社長にお越しいただきました。

婚活サービスの総合プラットフォームカンパニーとして、日本最大級の結婚相談所ネットワーク「日本結婚相談所連盟」を運営されています。
石坂社長は、婚活事業というセクターがまだ無い時代から、少子高齢化の歯止めとなるため、第一線で活動をしてこられました。以降、独自の価値を見出すことによって、日本で一番の成婚数を誇る社会的意義の高い企業にまで同社を成長させ、東証1部上場へと導かれました。その秘訣はある「仕組みづくり」にありました。経営のヒントが得られますので、ぜひインタビューをお聞きください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社IBJの石坂茂社長です。まずは経歴のご紹介です。1971年東京都浅草生まれ、東京大学経済学部卒業後、株式会社日本興業銀行に入行されます。その後、2001年にブライダルネット代表取締役社長にご就任。2006年には株式会社IBJを設立されました。さらに、2012年にはJASDAQ上場、東証2部を経て、2015年東証一部に銘柄指定変更をされました。本日はよろしくお願いします。

石坂茂:よろしくお願いします。

新谷哲:最初の質問です。ご出身は浅草ということで、江戸っ子ですね!

石坂茂:先祖を辿ると浅草に出てきて私で5代目なので、生粋の江戸っ子です。

新谷哲:小学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

石坂茂:小学校は、地元の公立学校に通いました。スポーツはそこそこでしたが、勉強はそれなりにできたので、リーダーシップをとる役割を先生に任されることが多くありました。また、浅草という土地柄、三社祭、花火大会などの祭りごとが大好きでした。家も商人家系なので「将来は自分が後を継ぐのだろう」と思っていました。

新谷哲:中学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

石坂茂:中学校からは中高一貫の私立男子校に通いました。公立学校にいた頃と比べ、勉強の順位は下がってしまいました。どちらかといえばスポーツや校内イベントに精を出す、活発な学生でした。

新谷哲:スポーツは何をされていたのですか?

石坂茂:中学、高校と柔道をやっていました。東京オリンピックでの阿部兄妹の試合は、夢中になって見ましたね。

新谷哲:少年時代は金メダルを目指されたりしていたのですか?

石坂茂:進学校だったのでそこまでではありません。「あわよくばスポーツが強い学校に勝って一泡吹かせよう!」という感じでした。

新谷哲:高校時代はどのようにお過ごしでしたか?

石坂茂:当時はバンカラの気風が残っていて、無茶なこともしましたが、運動部をずっと続けていたので、部活中心の生活をしていました。

新谷哲:その後、東京大学経済学部に進学されます。とても優秀ですね!

石坂茂:成績は中の中~中の下でした。浪人が確定していたので、高校時代は勉強以外のことに精を出し、卒業後は勉強のことだけを考え真面目に取り組みました。集中するタイプでしたね。

新谷哲:大学時代はどのようにお過ごしでしたか?

石坂茂:スポーツや友達との遊びに興じていて、楽しい学生生活でした。勉強したのは3年生から4年生にかけてと、テストの前くらいでしたね。

新谷哲:サークルなどに所属されていたのですか?

石坂茂:日本に入ってきたばかりだった、ラクロスをやっていました。スポーツ漬けの毎日で、20歳過ぎぐらいに「なんで俺、スポーツやっているのかな?」と疑問に思ったことがあるほどです(笑)

新谷哲:東京大学・イケメン・スポーツ万能の3拍子ですね!相当、おモテになったのでは?

石坂茂:普通です。当時は携帯電話も無かったので「彼女の親御さんにどのように取り入ろうか?」と考えるような、普通の恋愛をしていました。

新谷哲:大学卒業後は日本興業銀行に入行されます。こちらを選ばれた理由はございますか?

石坂茂:日本の戦後復興に貢献し、小説になるほど国に影響を与える「野武士的な銀行員集団」に憧れを抱いたのです。大学の先輩もいらしたのでOB訪問の機会を頂け、入行するきっかけとなりました。今思えば、天下国家について論じたりする方が多く、結構面白かったです。

新谷哲:日本興業銀行は、当時日本一の銀行でしたね。思い出はございますか?

石坂茂:私は、東京生まれ東京育ちなのですが、入行して2日目に仙台支店勤務を命じられ、4年間東北で過ごすことになりました。地方投資家・事業会社経営者のお客様方とお仕事をすることで、日本の地域経済などを学ばせて頂き、非常に人生でプラスになりました。そして、本社に戻ってからは船舶金融、すなわち海運会社担当となりました。今では考えられませんが、その日のうちに帰れることが無いほど、本当によく働きました。これはこれで、よい経験だと感じています。

新谷哲:その後、2001年にブライダルネット代表取締役社長にご就任されました。こちらは創業されたのですか?

石坂茂:はい。1999年に日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行が合併するという話が出ました。会社は「銀行全体が無くなるのではないか」という、浮き足立つ雰囲気に包まれていました。一方世間では、銀行では解釈できなかったソフトウェアやIT産業が台頭し始めます。私はそちらに興味を持つようになり、日本興業銀行は好きでしたが「若いうちに挑戦したい、外の世界を見たい」と感じ退行を決意しました。何をするかも決めていなかったので、知人の事業を手伝いながら模索をしていると「出会いの掲示板の運営をしないか」とお声がけを頂きました。出会い掲示板と聞き少し躊躇しましたが「結婚に関する仕事であれば、日本社会にとって求められる大事な仕事だ」と感じ、取り組みを始めました。起業というより「掲示板をどう発展させていくか?」からのスタートでしたね。

新谷哲:冒頭のように、ご実家の商売を継ごうとは思わなかったのですか?

石坂茂:うちは下町商人の典型的な家庭で「大学には行かなくてもいいぞ」というタイプの親でした。しかし母親にうまく調子に乗せられ、私立学校から東大にまで行くことができました。両親も「当然就職をするだろう」という雰囲気になりましたね。私自身、就職をしたら最後まで務め上げるつもりだったので、起業をするとは考えてもいませんでした。しかし「商売人の血」のようなものがあったのでしょうか。安定を維持したいという考えや、独立、借金への抵抗感があまりなく、起業の世界に入っていました。

新谷哲:ブライダルネットから、どのような経緯で株式会社IBJを設立されたのですか?

石坂茂:当時から大手のオーネット、ツヴァイ、など結婚情報サービス会社はありました。そこをブライダルネットでは、日本初のインターネット専業結婚情報サービスとして取り組み始めました。出会い掲示板から結婚を目的としたものへと進化させ、既にある結婚情報サービスをインターネットのみで完結でき、価格設定は1/10という、ディスカウンターとして業界に参入をしたのです。タイミングも良く、運とサポートにも恵まれ、上手く黒字化できた段階でYahoo Japanの子会社として売却をしました。私は3年ほどグループ会社の社長を務め、従来のサービスを活かしながら新しいブランドを展開していきました。売上、会員数、マッチング数は順調に増えていきました。しかし、「結婚」という意思決定に至る人はほんのわずかで、結婚カップルを多く出すことに大変苦戦をしたのです。また、ネットサービスは真似されやすく参入障壁が構築しづらいため、どんな有名ブランドであっても結果は同様だと感じるようになりました。当時は「この事業を続けていくことに意義があるのか?一生続けていける仕事なのだろうか?」と葛藤していましたね。そんな時、日本の伝統的な「仲人おばさん」と呼ばれる、結婚相談所の方々に出会いました。そして、彼らの業態を研究して行くにつれ「手間暇がかかったとしても、人が大きな意思決定をするさいには、人の手による支援・サポートがとても重要な役割を担っている」と気づいたのです。ネットとリアルというと簡単ですが、システムやアルゴリズムはネットを活用し、仲人さん達を再構築したビジネスをしていきたいと感じ、2006年に株式会社IBJを設立しました。

新谷哲:思いを実現するために、会社設立に至ったのですね。株式会社IBJでは当初より上場をお考えでしたか?

石坂茂:目指していませんでした。当初は、事業として成り立たせ、一組でも多くの結婚カップルを作ることの実現だけを考えていました。

新谷哲:いつ頃から上場を意識されましたか?

石坂茂:IBJ設立3年目ごろです。事業は収益を上げ継続することが大切ですが、それと共に、社会的なニーズ・意義と事業ベクトルを一致させることがとても重要です。当時から問題視されていた少子高齢化を「結婚が解決する!」という意識はありました。しかし、結婚カップルが少なかった当初は、社会的意義を顕現化できずにいました。結婚カップルの数が増えてくるとともに、会社の存在を意識し始め、外部資本を入れ社会的な好機にしていこうと考えるようになりました。

新谷哲:上場に向けてのご苦労はございますか?

石坂茂:上場への道のりは極めて厳しかったです。当時は婚活事業という事業セクターが無く「出会い系サービスは上場できない」と証券会社の方に言われました。また、東証マザーズにも断られてしまったので、大阪ジャスダックを目指すことにしました。私共は経験値があるので問題ないと思っていることであっても、個人情報の管理、情報の信憑性、男女間でのトラブルなど、客観的に見た時になかなか理解が得られませんでした。

新谷哲:その苦労を突破したノウハウはございますか?

石坂茂:客観的に認めていただくため、結婚を視野に入れた人に絞り、トラブルが起きない仕組みを作っていきました。このようにしてIBJ独自の価値を広く認識させていけるよう努力しました。

新谷哲:ありがとうございます。もしよろしければ、株式会社IBJの事業内容をお教えいただけますか?

石坂茂:弊社は、婚活サービスの総合プラットフォームカンパニーです。結婚を目的・目標とした婚活サイト、結婚を視野に入れたパーティー・イベント、結婚相談所などを運営しています。全国に結婚相談所の加盟店数約2,800社、仲人数約5,000名、登録会員数72,000名の規模を誇り、日本最大級の結婚相談所ネットワーク基盤を作っています。単純なシステムネットワークだけでなく、仲人さんのコミュニティを作り、人垣の基盤を構築することに専心しています。結婚相談所を運用するためのインフラ・ノウハウ・教育機関を仲人さんへと提供し「成婚カップルを生み出そう!」と一致団結しています。2020年には、日本の婚姻組数約53万組のうち、1.8%をIBJから創出しました。日本で最も結婚カップルを生み出し、社会課題の解決へと取り組む、価値の高い会社です。

新谷哲:今注目の、日本一の婚活会社です。ぜひ、加盟をご検討されてみてはいかがですか?ここからは違う質問をさせていただきます。好きなもの、好きなことをお聞きして「読書、ピラティス、ゴルフ、愛猫」とお答えいただきました。ピラティスとは何ですか?

石坂茂:ヨガのような体操です。私も50歳になり腰痛を感じるようになりました。「姿勢が悪いからでは?」と妻に勧められて、老化防止のために始めたのがきっかけです。ムキムキになるような激しい運動ではなく、体幹が鍛えられ姿勢を良くするので、ゴルフのスイングが安定してきました。圧倒的に女性が多いですが、ぜひ男性の方もトライしてください。

新谷哲:座右の銘もお聞きして「物来順応」とお答えいただきました。こちらを選ばれた理由はございますか?

石坂茂:読んで字の如し「自分に訪れるどんな出来事も避けずに順応していこう」ということです。IBJは「ご縁がある人を大切にする」というシンプルなキーワードを経営理念にしています。私は、多少嫌だなと感じることがあっても、ご縁のあるものにはなるべく合わせ、順応して行くことを変わらないスタンスにしています。自身の生き方が込められているようで、好きな言葉です。

新谷哲:ありがとうございます。次が最後のご質問です。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。

石坂茂:私の考える成功の秘訣は「直感を信じる」です。もちろん、合理的な理由、原資、周りの理解なども大切です。それらを抱えながらも、自分のやりたいこと、直感を信じ、成功まで演じ続けることが大事だと思います。

新谷哲:大変参考になるお話でした!石坂茂社長、本日はありがとうございました。

石坂茂:ありがとうございました。

編集後記

今回は、石坂茂社長でした。東京大学出身の東証一部上場企業経営者というだけあり、非常に聡明でスマートです。物腰も柔らかく、座右の銘の通り、どんな出来事にも順応していく柔軟性が素晴らしいと感じました。ぜひ皆様も参考に、共に成功社長を目指していきましょう!

石坂茂氏
株式会社IBJ 代表取締役社長

1971年、東京都浅草生まれ。東京大学経済学部をご卒業後、株式会社日本興業銀行へ入行されました。2001年には、日本初インターネット専業で結婚情報サービスを展開する、ブライダルネットの代表取締役社長にご就任。そして2006年、株式会社IBJを設立。2012年に、東京証券取引所JASDAQ市場へ上場し、2015年には東京証券取引所第一部に指定替えをされました。「ご縁がある皆様を幸せにする」を経営理念に掲げ、全国に加盟店数約2,800社、登録会員数72,000名の規模を誇る日本最大級の結婚相談所ネットワーク「日本結婚相談所連盟」を始めとする婚活事業を基軸に、ライフデザインビジネス(ウエディング、保険、住まい、ハネムーンなど)の分野へも取り組まれています。2020年には、日本の婚姻組数約53万組のうち、約1.8%(9,732組)を創出する企業へと成長させられました。日本の深刻な人口減少問題に対して、IBJから成婚カップルを生み出すことで、直接的に人口増加へ寄与し、2027年までに日本の婚姻組数の5%創出を目標に邁進されています。

※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。

本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、石坂茂氏(株式会社IBJ 代表取締役社長)の経営者インタビューを取り上げました。

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