成功経営者インタビュー

一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事 嶋津 良智氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、嶋津 良智氏(一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事)です。(2017年7月26日 2017年8月 2日 配信)

今回は、もっと“稼ぐ”組織を作る「上司学」「組織づくりの12分野」メソッドの開発者であり、リーダー育成の第一人者でもある、嶋津良智氏にお越しいただきました。大学卒業後に入社したITベンチャー企業では、同期100名の中でトップセールスとして活躍し、その功績が認められ24歳の若さで最年少営業部長に抜擢。その後28歳で独立し、2004年には年商52億円の会社にまで育て、上場を果たされました。さらに出版した書籍は累計発行部数が140万部を超えています。経営者として、右肩上がりで輝かしい成功を掴んでいった嶋津良智氏の秘密とは? インタビューをぜひお聞きください!

新谷哲:今回の経営者インタビューは、著者としても、セミナー講師としても、研修講師としても有名な、嶋津良智社長にお越しいただきました。まずは経歴をご紹介します。大学ご卒業後、IT系ベンチャー企業に入社。同期100名の中でトップセールスマンとして活躍。その功績が認められ、24歳の若さで最年少営業部長に抜擢。就任3カ月で担当部門が全国ナンバーワンになりました。その後、28歳で独立して経営者となられ、2004年には年商50億円を超える企業となり、株式上場を果たしました。現在は、教育機関リーダーズアカデミーを設立し、その推進をされています。シリーズ100万部を突破したベストセラー『怒らない技術』の著書であり、研修コンサルタントでもある嶋津良智社長を、今日はお招きしております。よろしくお願いいたします。

嶋津良智:よろしくお願いします。

新谷哲:それでは最初の質問ですが、ご出身は東京ですか?

嶋津良智:はい、東京の東村山というところです。

新谷哲:おいくつくらいまで、東京にいらしたのですか?

嶋津良智:6歳です。

新谷哲:その頃の思い出は何か残ってらっしゃいますか?

嶋津良智:幼稚園の頃なので、ほとんどないです。お友達と「将来結婚しようね」と約束したことくらいですかね(笑)。

新谷哲:幼稚園からおモテになったのですね(笑)。その後、横須賀にお移りになったそうですが、小学校・中学校は横須賀ですか?

嶋津良智:そうですね。

新谷哲:その頃の思い出はございますか?

嶋津良智:大好きだった女の子が転校しちゃったとか、そんなことですかね(笑)。

新谷哲:嶋津良智社長が、こんなに女性話がお得意とは思いませんでした(笑)。

嶋津良智:思い出話と聞かれるとやっぱり、そういうことを思い出します(笑)。

新谷哲:小さい頃はどんなお子さんでしたか?

嶋津良智:勉強は全くしなかったですね。野球をやって、日が暮れるまで友達と遊ぶ毎日です。

新谷哲:意外ですね。研修講師をやっていらっしゃるので、頭の良いイメージを持っていました。高校は、横須賀とは別の場所になりますか?

嶋津良智:父の転勤があり、栃木の高校に進みました。

新谷哲:どんな高校時代をお過ごしになりましたか?

嶋津良智:全然勉強しなかったので、高校受験に失敗し、行きたくない高校に行くことになったのです。そして高校2年の時だったのですが、学年でアイドル的存在の女の子がいました。その女の子と偶然同じクラスになったのですが、彼女がとても賢くて美人だったのです。それで、「こいつと俺、何が違うのかな?」と思い、その時にはじめて「俺は努力をしてないんだ!」と気付きました。それで「努力をしたら彼女みたいになれるのかな?」と思って、初めて一生懸命勉強したのです。そしたら僕がクラスで2番になり「なんだ、やればできるじゃん!」と思って、大学に行くことを考えて一生懸命勉強しましたね。あとは、音楽に明け暮れました。

新谷哲:その美人の方とは、お付き合いをされましたか?

嶋津良智:全くないです。彼女は僕の親友と付き合ってました(笑)。

新谷哲:そうでらっしゃいますか(笑)。大学時代には、何をされたのですか?

嶋津良智:バイトとバンドに明け暮れました。

新谷哲:バンドは何系のバンドだったのですか?

嶋津良智:ハードロックです。

新谷哲:嶋津さんの年代だとガンズとか、そっちのジャンルですか?

嶋津良智:いや、もっと古いです。スタートは、KISSとかレインボーとか、ディープ・パープル。その後は、オリジナルでずっとやりました。

新谷哲:バンドでデビューしようとは考えなかったのですか?

嶋津良智:当時は思っていましたが、今から思うとただの願望です。

新谷哲:大学卒業後、ITベンチャー企業にお勤めになり、ご就職をされていますが、音楽を捨ててベンチャー企業を選ばれたのですか?

嶋津良智:捨てたっていうとカッコいいですけど、自分に才能がないのはわかっていたので、普通に就職活動をして入りました。僕は本当に頭が悪かったので、どこも雇ってくれないのです。内定が出たのが1社だけで、選択肢がなかったのでそこに入社しました。

新谷哲:私と一緒ですね。私も100社受けて、入社することになった1社だけしか受かりませんでした。嶋津良智社長は24歳で営業部長になられたわけですが、入社して2年~3年の時期ですか?

嶋津良智:そうですね。当時、社員は400名くらいの会社でしたが、俗にいうベンチャー企業でした。頑張ったら頑張っただけ評価をしてくれる会社だったので、評価されて25歳の時には、50名くらい部下持っていました。

新谷哲:入社当初から、営業成績は良かったのですか?

嶋津良智:全然売れなかったです。素晴らしいリーダーにたまたま出会い、僕が変わりました。この時の経験と、「育てる側が良くなれば、社会も企業も良くなる」という僕の思いがあって、今、リーダー育成という専門業を経営しています。

新谷哲:なるほど。できればこの時に出会ったリーダーの方のエピソードを教えて頂きたいのですが、変わったエピソードはございますか?

嶋津良智:僕の人生を変えてくれたのは、2人目のリーダーでした。1人目のリーダーは「見込みを作ったら同行してやるから、見込みを作ってこい」というタイプでした。今から思うと、同行するのが面倒くさかったのでしょう。2人目のリーダー「俺が必ずお前を売らせるようにしてやる」って言ってくれる頼もしいリーダーでした。1人目との最大の違いは「現場に同行して指導してくれたこと」です。それによって、営業現場の『行間』を掴めるようになりました。「こういう状況で提案するとお客さんはメリットを感じてくれる」とか、「こういう風に返すとお客さんは得してくれる」など、今まで見えなかったものが見えてくる。

さらに、リーダーが取った契約を「お前が取ったことにして会社に持ち帰れ」と言ってくれる。それによって、はじめて目標達成をして、成功の疑似体験をさせてもらったのです。ノルマが達成して起こることを感じさせてもらえたのです。人というのは、一回登った山を下りたがらないですよね? それで「今度こそ自分で頑張ってみよう」という気持ちも沸いてきて、ノルマを切らないような営業マンになれました。僕みたいになんの才能も取り柄もなくても、素晴らしいリーダーとの出会いによって変わることを体感したので、それを伝えたいという思いがあります。

新谷哲: 24歳で営業部長になられて、50名も部下がいた頃は、どのような苦労がございましたか?

嶋津良智:半端でない苦労がありました。24歳の小僧で、戦略がさっぱり分からない頃でしたから、ただ部下を鼓舞して煽って、部下に頑張ってもらいました。部下から反発を受けたり、辞めてしまったりとか、色んなことがありました。けれど、そこが僕の原点でもあり、マネージャーとしての原点でもあるので、後悔は一切していないんです。

新谷哲:3カ月で全国1位を取れたのは、マネジメントの能力や才能がおありだったからだと思いましたが、いかがでしょうか?

嶋津良智:僕がマネージャーになる前のチームの上司が、嫌なタイプの上司でした。僕はその上司を反面教師的にやったので、当時の部下が「嫌だったことが全部解消された」と感じて、一気に駆け上がったと思います。

新谷哲:嶋津良智社長のお話を聞いていると、スマートにうまくやって、あんまり苦労したようには思えませんが、本当に苦労されたのですか(笑)。

嶋津良智:いやいや(笑)。私が書いた本には色々あった苦労が書いてあるので、ぜひ読んで欲しいです!

新谷哲:分かりました(笑)。そして、入社から4年後の28歳で独立され、経営者になられたのですか?

嶋津良智:そうですね、28歳の時に独立して、経営者になりました。

新谷哲:なぜ独立・起業されたのですか?

嶋津良智:理由は3つあります。1つは、僕の上に担当役員しかいなかったこと。実力主義の会社でしたが、上に行けば行くほど年功序列があり、「次の役員は俺じゃない」と思った時に先が見えなくなりました。2つ目が、お客さんに対する考え方の相違。会社は「新規でお客様を増やす」方針で、僕は「お客さんを守るべきじゃないか」と思っていましたので、その違いから。3つ目が決定的で「自分の考えや思いを自由に反映したい」と思ったこと。でも、独立志向はありませんでした。しかし「仕事を辞める」と話をしたら、何人かの人間から「僕らも辞めたいので一緒に何かやりましょう」と言ってくれたので、独立して経営者の道を歩むことになりました。

新谷哲:経営者になるつもりは、全くなかったのですか?

嶋津良智:経営のセンスや才能があるとは思ってなかったので、経営者になるつもりは全くなかったです。

新谷哲:では、経営者をされてから才能に気が付いたのですか?

嶋津良智:才能というのかわかりませんが、僕の人生最大の財産は、「成果にレバレッジをかける」ことを覚えたことです。要するに「自分にない能力は人から借りる。協力者を探して協力してもらう。自分じゃなくても出来ることは、人に任せられる」ことを覚えたことで、僕の能力には見合ってない成果をあげられるようになりました。

新谷哲:大変勉強になります。会社経営は順調に進んだのですか?

嶋津良智:おかげさまで、経営は結構順調に進みました。

新谷哲:その後、上場を目指すわけですが、上場を目指すきっかけをお教えいただけますか?

嶋津良智:物販をやっていたので、取引先のメーカーがいました。そのメーカーの代理店の集まりには、お年を召した経営者が多かったのですが、若めの経営者が僕と他に2名いました。そこから、若い経営者3人で交流を深めます。その後、メーカー売上に乗じて、取引の金額・条件を変える制度に変わり、「今の取引高だと一番安い仕切り値で商品が仕入れられないので、3社共同の仕入れ会社を作ろう」となりました。そこからM&Aをして上場を目指したという形ですね。

新谷哲:それで、上場できてしまうわけですよね?

嶋津良智:そうです。

新谷哲:上場できた理由というのは何かございますか?

嶋津良智:僕より優れた経営者たちと組んだからです。

新谷哲:おふたりの経営者は、どの点が嶋津良智社長よりも経営者として優れていましたか?

嶋津良智:1人は、営業的な部分で僕より優れた経営者でした。もう1人は物凄く突破力のある経営者です。僕は平和主義なタイプだったので、3人の経営者が全く違う個性を持っていました。だから上手くいったところはあると思います。

新谷哲:素晴らしいですね。では、別のご質問をさせていただきます。好きなことは「身体を動かすこと」ということですが、運動がお好きなのですか?

嶋津良智:ジムに定期的に行っているのと、少林寺拳法をやっています。

新谷哲:少林寺拳法は小さい頃からですか?

嶋津良智: 39歳から始めました。

新谷哲:39歳ですか!?その年齢から始められた理由は何かございますか?

嶋津良智:キザな話ですが、新婚旅行で妻とパリに行った時にひったくりに遭ったのです。それで妻が肩の骨を折って大変だったのですが、「何かあった時に妻を守れるようになろう」と思い、始めました。

新谷哲:嶋津良智社長は女性がらみの話が色々出てくるので、やっぱりおモテになるのですね(笑)。

嶋津良智:言われてみればそうですね(笑)。

新谷哲:もう1つ、好きなものが「子供が食べるもの、ラーメンとかハンバーグ」といただきました。僕の嶋津良智社長のイメージと全く違いますが、そんな子供っぽい面があったのですね?

嶋津良智:フランス料理とかイタリアンとか、専門的なものがあまり好きじゃないんです。カレーとか、ラーメンとか、ハンバーグのような、お子様系の食べ物が大好きです(笑)。

新谷哲:今もそうですか?

嶋津良智:今もそうですね。昔に比べたら多少舌も肥えたので、イタリアンもフレンチも食べに行きますけど、未だにそういうのは好きですね。

新谷哲:では、奥様の手料理が一番お好きという感じですね(笑)。

嶋津良智:そうですね(笑)。

新谷哲:次に、座右の銘ですが、「人生1回、作楽(さくら)咲く」。「作に楽」でさくらと読む、ということで大変珍しい。これを座右の銘にされた理由をお聞かせいただけますか?

嶋津良智:僕の座右の銘はずっと「人生1回」でした。意味は「人生1回なのだから後悔しないように生きよう」というものです。たまたま、3.11(東日本大震災)の後に東北へ訪れた時に、ぺんぺん草も生えない状況だったのですが、丘の上に津波を免れた小さな神社がありました。その神社の名前が、作るに楽しいと書いて「作楽神社」。それを見た瞬間に「ビビビ、これだ」と思って、座右の銘を「人生1回、作楽咲く」にしました。僕が作った造語です。

新谷哲:大変深いお話です。最後のご質問ですが、全国の経営者、もしくはこれから起業する方に向けて、経営者として成功する秘訣をお教えて頂けたら思います。

嶋津良智:ゲームとかスポーツにもルールというものがあって、このルールを知らずしてやると、勝てるゲームも勝てない。同じよう、人づくりとか組織づくりとか経営とかも、ルールがあると思っています。そのルールを知ってやるのと知らずにやるのとでは、会社経営の成功の確率が変わってきます。僕はこのルールのことを設計図という呼び方をしています。設計図というのは、僕の中では事業計画とは違うのです。例えばビルとかもそうです。設計図を作ってビルを建て始めるのと、設計図がない状況でビルを建てるのとでは、結果は明白です。これは経営も一緒で、設計図をもって経営にあたるのと、設計図のない状況で経営にあたるのとでは、天と地の差が出てくる。行き当たりばったりな経営は、崩壊すると思っています。設計図があるから絶対に上手くいくわけではありませんが、設計図をもってしっかり経営すると、成功の確率を圧倒的に上げられます。なので、その設計図をしっかり持って取り組んでいただけたらと思います。

新谷哲:設計図が大切だというお話で、私ももう一度、設計図を見直したいと思います。嶋津良智社長、本日はどうもありがとうございました。

嶋津良智:ありがとうございました。

編集後記

嶋津良智社長のお話をお聞きし、特に、設計というお話が大変勉強になりました。私も、部下には「設計をし続ける日々を過ごしなさい」と言っていますので、嶋津良智社長のお話は、私自身が一番心に響きました。是非、皆様方もご参考にしていただき、素晴らしい経営者、素晴らしい経営を行って頂ければと思います。

嶋津 良智 氏
一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事

1965年1月26日生まれ。日本の著述家、評論家。リーダーズアカデミー学長。セミナーズアカデミー学長。一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事。早稲田大学エクステンションセンター講師を務める。

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本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は嶋津 良智氏(一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事)の経営者インタビューを取り上げました。

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