成功経営者インタビュー

株式会社OKAN 代表取締役CEO 沢木 恵太氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、「オフィスおかん」を展開する沢木 恵太氏(株式会社OKAN 代表取締役CEO)です。(2017年8月 9日 2017年8月16日 配信)

「働くヒトのライフスタイルを豊かにする」をミッションに掲げ、法人向けぷち社食サービス「オフィスおかん」、個人向け惣菜定期仕送りサービスなどを展開している、株式会社OKAN代表取締役CEO の沢木恵太氏にお越しいただきました。奥様と、0歳と2歳のお子様がいる中で起業・会社経営を決意したという沢木恵太氏。まずやってみる「チャレンジ精神」と、成果が出るまでに諦めずにやり抜く「胆力」を大切にしながら会社経営を軌道に載せたストーリーは、深い気づきをもらえるインタビューとなっております。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社OKANの沢木恵太社長です。沢木恵太社長は、前職で私の後輩でもありました。今、流行りの「オフィスおかん」というサービスをスタートさせた経営者です。まずは、経歴をご紹介します。1985年長野県生まれ、中央大学卒業後、東証1部上場企業のベンチャー・リンクに入社し、新規事業開発をされました。その後、ベンチャー企業でゲームプロデューサーを経て、株式会社すららの立ち上げをされます。2012年に退職され、株式会社OKANを設立。主力サービスの「オフィスおかん」導入企業数は1500を突破しており、多数のメディアにも取り上げられている注目の経営者です。本日はどうぞよろしくお願いします。

沢木恵太:よろしくお願いします。

新谷哲:では、最初の質問ですが、ご出身は長野県ですか?

沢木恵太:はい、長野県出身でございます。

新谷哲:小学校、中学校はどのような幼少期をお過ごしになりましたか?

沢木恵太:中学校のときに、ハンドボール部に入部しました。ハンドボールはメジャーなスポーツではないです。私が入学した中学校でも、どんどん部員が減っており、僕の代で終わりにするという話になっていました。私の同期は1人もいない。でも最後に大会に出て結果を出したいと思いました。ハンドボールには7人必要なため、他の部活から人を集めました。それも借りてくるのではなく、全員辞めさせてハンドボール部に入部させ、練習して大会に臨みました。

新谷哲:なるほど、中学の頃からリーダーシップがあったということですね?

沢木恵太:もともと、リーダーシップがある人間ではないと思っていましたが、今振り返るとそういう経験は、中学時代にあって特徴的だと思っています。その時のスカウト術を今思い出して採用に使いたいのですが、なぜそんなに引き抜けたのか私も不思議です(笑)。

新谷哲:何か熱い思いがあったということですね(笑)。

沢木恵太:そうですね、みんな来てくれました(笑)。

新谷哲:そして、高校に行かれていますが、長野の高校ですか?

沢木恵太:そうです。

新谷哲:高校の時は、どんな時間を過ごされましたか?

沢木恵太:高校は、普通科ではなく、英語科でした。どちらかというと不真面目で面倒くさい生徒だったはずです。怪しい時もありましたが授業も一応出て、テストとかやるべきところはやって、バランスをとっていました。それは、大学も結構似たような感じです。

新谷哲:面倒くさいとは、先生と揉めたとかですか?

沢木恵太:悪いことはしないのですが、真っ当になんでも言うことを聞くような生徒ではなかったです。要領よく、ずる賢い部分はありました。

新谷哲:大学は中央大学ですが、選んだ理由はございますか?

沢木恵太:長野の出身でしたので、あまり都心のほうに行きたくなかったのです。当時、一定レベル以上で、メインキャンパスが多摩の緑豊かな地域にあったのが中央大学でした。すごい意識が低い選択方法でした(笑)。

新谷哲:長野は、どちらのご出身ですか?

沢木恵太:諏訪の近くの茅野市というところです。

新谷哲:なるほど、茅野に似た多摩を選んだのですね?

沢木恵太:実際、住み心地はすごく良かったです。

新谷哲:大学時代は、どのようにして過ごされましたか?

沢木恵太:2つあります。1つはサークルを自分で立ち上げ。人間関係を学び、メンバーを募って活動することをやっていました。もう1つは、ダブルスクールという形で会計の勉強を専門学校で行ったこと。自分が事業を作り、仕組みを作ることに興味が出たためです。

新谷哲:卒業後は、私も在籍したベンチャー・リンクに入社なさいますが、会計士を目指そうとは思わなかったのですか?

沢木恵太:最初は、税理士になろうと思って勉強をしていました。税理士の観点から経営に携わろうと考えていましたので。しかし、自分で経営をやりたいという思いが強くなり、そのため、事業会社を前提に就活を行いました。

新谷哲:最終的にベンチャー・リンクを選んだ理由は何だったのですか?

沢木恵太:大学の時から、仕組みを作るというのを考えていました。仕組みというのは、政治かビジネスの中でやるかしかないと思っていました。世界的にうまく広がっている仕組みはフランチャイズだと思っていて、当時ベンチャー・リンクは、フランチャイズにおいては非常に力があり、伸びていました。そこに興味を持って、入社をしました。

新谷哲:もともとリーダーシップもあり、仕組みについて考えられていて、私の後輩や先輩たちと比べると珍しいタイプですね。ベンチャー・リンクには、何年くらいいらっしゃいましたか?

沢木恵太:1年くらいです。

新谷哲:なにか、勉強になったことはございますか?

沢木恵太:とても濃い時間を過ごさせていただきました。同じ学年・年代の新卒と比べて、成長したという実感はありました。何より、他の会社で通用する、仕事の仕方みたいな部分がとてもためになりました。仕事の立て方、ブレイクダウンの仕方を大切にしていた上司だったので、基礎の部分は叩き込まれたのが非常に良かったです。

新谷哲:その後、ゲームの会社に入社されていますが、経緯はございますか?

沢木恵太:将来、事業を立ち上げるとき、ITの力は絶対必要だと考えておりました。当時、IT業界で伸びていたのがソーシャルゲームでした。とりあえず伸びている業界に行ってひと通り経験してみようと、この業界に飛び込みました。

新谷哲:何年くらい、いらっしゃいましたか?

沢木恵太:2年くらいです。

新谷哲:2年後、すららに入社なさっています。すららは、元々ベンチャー・リンクの子会社で、独立して上場を目指している会社ですが、戻って来いというような声掛けがあったのですか?

沢木恵太:お声掛けもいただきましたし、ゲームをしていた時に感じていたのが、将来、事業をやる時に、「どれだけ強い思いを持って、胆力を持って事業をやるか」が重要だと思っていました。正直、ゲームに対する私個人のモチベーションが強く持てなかったのです。そうした時に、非日常的なゲームではなく、より日常的な生活インフラ領域をやれることはプラスだと感じました。ちょうど、ベンチャー・リンクから独立するタイミングで、経営計画などを一緒に作るフェーズが出来るため、将来の起業へ向けて移りました。

新谷哲:話に出て気になりましたが、「胆力が必要」というのは、この時に気付いたのですか?

沢木恵太:潰れかけているものを立て直し、やり続けることで成果が伴うことは、今までの経験で感じていました。今振り返ると、この考えを持って判断をしていたと思います。

新谷哲:もともと、経営者としての素質があったのですね。私も、論語を勉強していて、知識、見識、胆識の中でも、胆識の胆力が大変重要だというのを勉強しながら、自分は、経営者が向かないと感じています。その後、すららは、どれくらい在籍したのですか?

沢木恵太:2年くらいです。

新谷哲:そのあと、独立起業しているのですが、きっかけは何だったのですか?

沢木恵太:当時27歳で、「30歳までに自分オリジナルの事業を作ること」を目指している中で、転職して新規事業の立ち上げをするのか、自分で事業を立ち上げるのか、いろいろ迷いました。退職まで半年間引き継ぎ期間がありましたので、半年間でいいアイデアが浮かんだら、起業と考えておりました。そうしましたら、起業のいいアイデアが浮かんだので起業を選びました。

新谷哲:辞めることを決めたのが先なのですね!珍しいですね。

沢木恵太:ベンチャー・リンクも辞めてから転職活動をしたので、ずっとそのような感じです(笑)。

新谷哲:チャレンジャーですね(笑)。少し事業のことを教えていただきたいのですが、沢木恵太社長が展開なさっている「オフィスおかん」はどのような事業なのですか?

沢木恵太:弊社は、働く人を豊かにすることをミッションに行動し、働いている人の食事・健康・育児などの総合バランスのご支援をメインに行っています。「オフィスおかん」は、オフィスに冷蔵庫などの専用設備を設置させていただいて、真空包装されたお惣菜を置き販売するサービスです。大手のお菓子メーカーさんの置き菓子販売ですとか、置き薬に近いモデルです。

「オフィスおかん」では、健康的な食品、国産や添加物使用を制限した製品を常設販売し、企業は導入するで、従業員に対してロイヤリティを上げるソリューションを提供できます。10名程度の企業様から1000名規模の上場されている企業様まで、いろいろなところでお使いいただいているサービスになります。

新谷哲:「オフィスおかん」のビジネスモデルは、どうやって思いついたのですか?

沢木恵太:ベンチャー・リンク時代に置き菓子を非常に多用しておりました。間食としては素晴らしいのですが、主食と勘違いしてたくさん食べてしまい体調を崩しました。当時は、忙しかったので「お菓子ではなく、もっと健康的なものがあったらいい」と思いました。なんとなくの感覚でしたが、思い返し見ると一つのビジネスチャンスになるのではと感じました。

新谷哲: 2012年創業され、5年経過しましたが、この5年で苦労されたことはありますか?

沢木恵太:最初の1年間は、非常に厳しかったです。現在の主力は「オフィスおかん」ですですが、その前に真空包装したお惣菜を個人ご家庭にお送りする「リコマス」というサービスをやっていました。今も行っていて、お客様に使っていただいているのですが、計画通り行きませんでした。私、子供が2人いて起業しておりましたので、最初の1年は食べていけませんでした。もう辞めようと考える中で、構想していた法人向けをスタートして、お客様から良い反響をいただき、何とかなっています。

新谷哲:お子様は、当時おいくつだったのですか?

沢木恵太:当時、2歳と0歳でした。

新谷哲:それで、起業するのを奥様はお許しになったのですか?

沢木恵太:妻がベンチャー・リンクの出身ですので、起業家体質を妻も受け継いでおりました。非常に応援してくれております。

新谷哲:素晴らしい奥様ですね。違う質問をさせていただきます。好きなことで「ロードバイクとアクアリウム」とお伺いしましたが、アクアリウムってなんですか?

沢木恵太:水槽のことです。水草と熱帯魚を育てる水槽をアクアリウムと言います。

新谷哲:ロードバイクとアクアリウム、両極端ですね(笑)。

沢木恵太:まさに、静と動という感じです(笑)。どうしても自分で経営を行っていると常日頃から仕事のことを考えてしまう。そのため、無我夢中に仕事のことを忘れられる時間は意図的に作らなくてはいけない。動であるロードバイクは、50km、100kmと乗ってしまいます。漕いでいる間は、つらくて仕事のことは忘れてしまいます。アクアリウムは、水草をトリミングして、思い通りの水形を造る。正に盆栽のようです。その時ものめり込んでいますので、経営のことを忘れられます。自分の精神のバランスをとるための意味もありましてやっていますね。

新谷哲:なるほど、経営のために趣味を選んでいらっしゃるのですね。

沢木恵太:もちろん趣味としても大好きです(笑)。

新谷哲:さらに、好きなものとして「日本酒と和食」。今日のお話を聞いて大人なイメージを持ちましたが、おいくつですか?

沢木恵太:31歳です。

新谷哲:31歳の若者と思えないくらいのお答えです。日本酒と和食は、もともとお好きなのですか?

沢木恵太:20代中盤ぐらいからです。それこそベンチャー・リンク時代の上司が日本酒が好きで、そこから飲むようになりました。奥深さや食事との組み合わせや、食を扱っている事業を行っておりますので興味関心が強いので、どうしても飲んでしまいます。飲み過ぎてしまいますけど(笑)。

新谷哲:私の後輩とは思えないくらい素晴らしい経営者です。座右の銘は、「理想は描かないと叶わない」。この言葉を選ばれた理由は何かありますか?

沢木恵太:ゼロから今までにない仕組みを作ることが起業家のやることですが、イメージできるには限界があります。イノベーティブなことを実現するには、夢や理想を描いてそれをどう実現するかを未来から逆算する。まさに、ベンチャー・リンクで学んだブレイクダウンです。そういったことを行うのが、夢・理想に近づく近道なのではないかと思います。実際、ここまでやってみると、将来仕組みを作りたいということを考え、キャリア的には転々としていますが、結果的には最短で進んでいると考えておりますので重要だと強く感じております。

新谷哲:それでは、最後のご質問なのですが、全国の経営者、これから起業する方に向けて、経営者として成功する秘訣をお教えいただけたらと思います。

沢木恵太:「まずやってみること」だと思います。事業もそうですし、いろいろな課題もとりあえずやってみる。おそらく、経営自体が2回目、3回目の方はいなくて、初めての方が多いかと思いますので、答えがないと思います。事業もやってみて反響がある、ニーズがあると気づきます。もちろんやってみるには、ハードルが大きいこともあると思います。そこは、小さく細かく分解して、小さなことからでもやると新しいことが見えると信じております。そのため、とにかくやってみることを私も常日頃考えて会社経営しております。

新谷哲:ありがとうございます。ぜひ、私も真似して何でもやってみたいと思います。沢木恵太社長ありがとうございました。

沢木恵太:ありがとうございました。

編集後記

沢木恵太社長のお話を聞いて、こんな優秀な後輩が前職にいたのかと驚きました。「なぜ、当時、私のいた部署には、配属してくれなかったのか」と嫉妬もしております(笑)。経営者になるべくして経営者になった方なのではないでしょうか。また、「オフィスおかん」というサービスの発想力、いろんな場所を見てニーズがあるのではないかとチャレンジする姿、そして失敗しても、もう一度チャレンジをする力、それを含めて沢木恵太社長らしいです。論理性と勇気、チャレンジ精神を兼ね備えた経営者ではないかと感じました。皆さまもぜひご参考にされていただきたいです。

沢木 恵太 氏
株式会社OKAN 代表取締役CEO

1985年長野県茅野市生まれ、中央大学商学部卒。フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業にて新規事業開発、ベンチャー企業でゲームプロデューサー兼事業責任者を経て、EdTech領域のスタートアップに初期メンバーとして参画。その後、2012年12月に株式会社OKAN(当時CHISAN)を設立し現職。「働くヒトのライフスタイルを豊かにする」をミッションに、2014年3月には、ぷち社食サービス「オフィスおかん」をリリースし、多数のメディアで紹介されるなど注目を集めている。

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本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、沢木 恵太氏(株式会社OKAN 代表取締役CEO)の経営者インタビューを取り上げました。

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