従業員持株会はやるべき?メリットデメリットをわかりやすく解説

本コーナーでは、経営者、社長、後継経営者、起業予定者などから頂戴する会社経営に関するご相談に対して、WizBiz株式会社の代表であり、経営コンサルタントである新谷哲が独自の視点で経営上のアドバイスや解決方法をご提示いたします。なお、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の「3分コンサルティング」を編集して掲載しております。

相談内容:「従業員持株会とは、事業承継対策に活用できますか?」

  • ご相談者:J様 
  • 業種:不動産業

新谷さんこんにちは。Jと申します。今回ご相談をしたいのは、従業員持株会についてです。現在、私が全ての自社株を保有しています。先日、事業承継対策として、従業員持株会を活用することが有効だと聞きました。従業員持株会とはどのような制度で、どのように設立・運営すればよいのでしょうか?また、従業員持株会のメリット、デメリット等お伺いしたいです。何卒よろしくお願いいたします。

ご相談者へ回答(回答者:新谷 哲)

J様のご質問の意図は、例えば「一億円の資産がある場合、従業員に持株を一千万円ほど持たせれば資産が九千万円になるので、自社株財産の減少となり事業継承の相続税対策になるのか?」ということだと思います。結論から申し上げますと、従業員持ち株会を事業継承の相続税対策として使用することはできますが、上場を目指さないのであればおすすめはしません。

未上場企業が事業継承の税金対策として従業員持ち株会を利用するデメリットは2つあります。1つ目は、従業員と企業双方へリスクがあることです。社員が会社を辞める時には、株を現金化して渡す必要があります。そのため、業績が上がっていれば株価も上がり、退職者が相次げば会社の資金繰りが悪化するという運営の難しさがあります。また、業績が下がっていれば株価も下がるので、現金化した際に従業員は損をする可能性が出てきます。2つ目は、業績の向上に伴い課税額が増えることです。業績がいい時に自社株評価をすると資産価値は高まります。もし、20%株価が上がっていれば、一億円の資産は一億二千万円と増えるので、税金はむしろ増えてしまうのです。

一方、上場を目指す企業様であれば、従業員持株会の利用はおすすめです。私が新卒入社をした会社は、内定時には未上場でしたが、入社時には店頭市場へ公開し、最終的には東証一部上場にまで上がりました。そのため、未上場の時から従業員持株会を活用していた社員の中からは、なんと、一億円以上の資産を手に入れた者が20人ほど現れたのです。未上場時から自社株を保有していれば、上場時には株価が何倍にも膨れ上がり、社員は大きな資産を手に入れることができる可能性があります。そのため、従業員持株会制度を利用し社員の財産形成への一助や、モチベーションアップに繋げることで、業績向上へと導くことができるというメリットがあります。

従業員持株会を設立し運営していく方法は、証券会社、主幹事証券会社に相談をすれば詳細にご説明頂けます。弊社でも、上場を目指し活用しているところです。従業員持株会を事業承継対策に繋げるには、貴社の状況に添ったご提案が必要となります。ご希望がございましたら無料のオンライン経営相談に乗らせていただきますので、ぜひお声がけください。

新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長

新谷 哲

1971年 東京生まれ。大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。銀行、信用金庫の融資開拓コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年に独立し、WizBiz株式会社を設立。現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。日本国内では、経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年間300回以上のセミナーを開催し、年間4000名を越す経営者が参加。その集客力は、各方面からも注目を集めている。

※新谷哲に経営相談をご希望の方はこちらよりお問い合わせください。初回のみ無料で承ります。

本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の3分コンサルティング経営者の課題解決!「従業員持株会のメリット、デメリット」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

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