成功経営者インタビュー

株式会社ALiNK インターネット 代表取締役CEO 池田洋人氏 インタビュー 

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、池田洋人氏(株式会社ALiNK インターネット代表取締役CEO)です。(2021年12月15日 2021年12月 22日 配信)

今回は、株式会社ALiNK インターネットの池田洋人社長にお越し頂きました。
日本最大級の情報量と利用者数を誇る、天気予報専門メディア「tenki.jp」を運営する、マザーズ上場企業の経営者です。

池田洋人氏は、入社試験で「気象業界の未来像を自由に記入してください」という問いに対し、豆の木が天まで伸びていき雲を突き抜ける「ジャックと豆の木」の絵を描かれたそうです。

あなたは、自社の業界にどのような未来像を描きますか?
経営のヒントが得られますので、ぜひインタビューをお読みください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社ALiNK インターネットの池田洋人社長です。まずは経歴のご紹介です。株式会社ハレックス入社後、気象予報士資格を取得。その後、株式会社ウェザーライン(現・株式会社ライフビジネスウェザー)、ヤフー株式会社にてご活躍されます。そして、株式会社ありんくに移られ、取締役COOを経て、株式会社ALiNK インターネットを設立し、代表取締役CEOにご就任されました。2019年には東証マザーズに上場されています。本日はよろしくお願いします。

池田洋人:よろしくお願いいたします。

新谷哲:最初の質問です。ご出身はどちらですか?

池田洋人:埼玉県寄居町です。

新谷哲:小学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

池田洋人:田舎町だったので、よく山でカブトムシをとったり川で遊んだりしていました。

新谷哲:中学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

池田洋人:小学校時代と同様、外で遊ぶことが好きで勉強はあまりしていませんでしたね(笑)。また、当時は野球に夢中でした。

新谷哲:高校時代はどのようにお過ごしでしたか?

池田洋人:「将来はプロ野球選手になりたい」と考えるようになり、埼玉県で野球が一番強かった熊谷市の高校に進学をしました。自分よりも優れている人が大勢いて「世間は広い」と思い知りました。

新谷哲:野球三昧の生活をされていたのですか?

池田洋人:はい。しかし、腰を壊してしまいドクターストップがかかったので、野球は断念しました。

新谷哲:その後、東京国際大学商学部へ進学されます。こちらを選ばれた理由はございますか?

池田洋人:専門学校へ進学をしようと考えていましたが、指定校推薦枠で大学に入れることになり、家から近い東京国際大学商学部に進学することを決めました。

新谷哲:大学卒業後、株式会社ハレックスにご入社されます。こちらを選ばれた理由はございますか?

池田洋人:もともと就職活動では、人と接する仕事や、企画をする仕事を探していました。銀行やメーカーなどをまわっていると、天気予報を扱っている株式会社ハレックスが目に留まりました。天気予報といえば気象庁、くらいの知識しかありませんでしたが「形のないものを扱う会社とは、面白そうだ!」と感じ応募をしました。

新谷哲:大学の新卒でお天気業界に入られるとは、たいへん珍しいですね!どのように選ばれたのですか?

池田洋人:内定に至るまでには、入社試験と面接がありました。試験はあまりできず「これは駄目だ……」と思っていましたが、最後に「気象業界への想い・未来像を自由に記入してください」という問いがありました。当時の気象業界は、まだまだ新しい業界でした。そのため私は「ジャックと豆の木」の絵を描いて「豆の木が雲を突き抜けて伸びていく、これが気象業界の未来です」と書きました。絵を描いたのは私だけだったようで「ちょっと変わっている」と目に留めてもらえたのが入社のきっかけでした。

新谷哲:絵がお上手なのですか?

池田洋人:特に絵心はありません(笑)。

新谷哲:入社後は、気象予報士を取得されていますね!

池田洋人:企画営業職で入社をしましたが、せっかくなので気象予報士の資格を取得することにました。私は文系だったので、実家から中学校の理系科目の参考書を送ってもらい、微分積分や低気圧など、1から勉強しました。資格を取得するまでには、実質2年半かかりましたね。

新谷哲:連続テレビ小説「おかえりモネ」の作中で、女優・清原果耶が気象予報士取得を目指すもなかなか勉強が進まず、お医者さんに教えてもらっていたシーンと池田洋人社長のお姿が被ります。気象予報士を取得されるまでには相当な努力が必要だと感じます。その後、株式会社ウェザーライン(現・株式会社ライフビジネスウェザー)に転職をされます。何か、きっかけはございますか?

池田洋人:気象予報士資格の取得後、高校時代に負った腰の怪我が再発し、体が動かなくなってしまいました。そのため株式会社ハレックスを退職し、約2年間自宅療養に専念しました。その期間、インターネット業界が伸びていたため、Webの勉強を開始しました。広告収入を得るための自作ホームページ運営などにもチャレンジし、ほぼ寝たきりではありましたが、その時間は決して無駄ではありませんでした。腰の完治後は、学んだ知識を活かし株式会社ウェザーラインという天気の会社に再就職をしました。

新谷哲:その後、ヤフー株式会社に入社され、Yahoo!天気情報プロデューサーにご就任されました。移られた理由はございましたか?

池田洋人:株式会社ウェザーラインでは気象データの販売をしていたので、「Yahoo!天気」を運営していたヤフー株式会社は顧客候補でした。当時、Yahoo!ニュースは大きく伸びていましたが、Yahoo!天気はまだまだ小さいサイトで「もっと大きくなってほしい」という思いがありました。しかし、ヤフー株式会社には天気に詳しい人はおらず、他社から気象情報の提供を受けている現状で、データ提供会社の営業として提案をしているだけでは、限界がありました。そのため「Yahoo!天気をしっかり作りなおしたい!」と、中途採用の門をたたきました。

新谷哲:その後、株式会社ありんくに入社し取締役COOへとご就任されます。こちらはヘッドハンティングですか?

池田洋人:いいえ。株式会社ありんくは、田舎で父が営んでいる印刷会社です。ヤフー株式会社で勤めた2年半の間に、ある程度まで思い描くYahoo!天気を作り上げることができました。そんな時、一般財団法人日本気象協会から「仕事を手伝ってくれないか」とお声がけをいただきました。私は個人事業主として契約をしようと考えましたが、「会社を起こしてほしい」ということで、父の会社に席を置くことにしました。

新谷哲:その後、株式会社ALiNK インターネットを設立された理由はございますか?

池田洋人:会社が大きくなるにつれて、事業ドメインの開きが顕著になってきたため会社を分けたほうがいいと判断しました。私は、株式会社ありんくの社員として一般財団法人日本気象協会と契約を結び、「tenki.jp」という天気予報メディアを共同事業で運営を開始しました。当初は常駐で業務にあたっていたのですが、次第に社員が増えていったため、しばらくはインターネットのメッセージでやりとりをしたり、ファミレスで集まったり、ノマドのようなワークスタイルで仕事をしていました。しかし、印刷対応の社員とWeb対応の社員では業務内容が大きく変わってきます。お客様からは「ありんくさん」と呼んでいただいていたので、名前はそのまま継承し、株式会社ALiNK インターネットを設立しました。

新谷哲:2019年には東証マザーズに上場をされました。当初から上場をお考えでしたか?

池田洋人:全く考えていませんでした。「起業をしたい」の次には「上場をしたい」と考えられる経営者の方が多いと思います。しかし私の場合は、「起業をしたい」と言うよりも、起業がベストな選択でした。そして上場も「tenki.jpをどのように大きくしていくか?」の選択肢の1つです。目線は常に目の前の業務を向いていました。

新谷哲:いつごろから上場を目指し始めましたか?

池田洋人:4期~5期に差し掛かったあたりからです。野村證券株式会社からのお問い合わせがきっかけで、上場を目指すようになりました。野村證券株式会社の営業の方に貸与されていた携帯電話の中には、「tenki.jp」のアプリがはじめからインストールがされていたそうです。そこから「このサービスは面白い。どういう会社がやっているのだろう?」と気に留めて頂き、当社ホームページからご連絡を下さいました。お会いしていろいろとお話を伺う中で、共同事業をする日本気象協会は一般財団法人なので、株式上場は難しいと考えていましたが、当社であれば上場を目指すことが可能だと知りました。私は、「tenki.jpをもっと伸ばし、気象のインフラを構築していきたい」と言う気持ちをもっていたので「パブリックな事業に向かうことで、目標に近づいていけるのではないか」と気持ちが高ぶっていきました。また弊社のように、共同事業として単一事業を展開する会社が上場するというのは、あまり事例がないそうです。「オープンイノベーションで、ここまで事業成長させることができるのだ!」という道をつくりたいという思いも、上場を目指した1つの理由です。

新谷哲:2019年には東証マザーズに上場を果たされました。それまでのご苦労はございますか?

池田洋人:もともと5人で運営している小さな会社なので、組織化し事業を回していく経験が乏しく、その点は今でも苦労をしています。上場準備では、CFOや管理部門が必要になってくるので、まずは人材採用へと取り掛かりました。結果的に社員数9名で上場をし、当時は少人数での上場ということが話題になりました。

新谷哲:9名で上場とは、たいへん珍しいケースですね!もしよろしければ、株式会社ALiNK インターネットの事業内容をお教えいただけますか?

池田洋人:一般財団法人日本気象協会と「tenki.jp」という天気予報の専門メディアを共同運営しています。基本的にはWebサイトや、Apple・Androidアプリで展開をしています。概ねが広告収入で成り立っているのですが、最近はコロナの影響から広告市場が低迷しているので、部分的に課金のビジネスモデルを構築しています。

新谷哲:ありがとうございます。ここからは違う質問をさせていただきます。好きなもの、好きなことをお聞きして「ブラックコーヒー、おいしいお米、革靴、インターネット、1人で町探索、旅行、旅、サーフィン、登山、座禅、そして最近はゴルフを学び中」と多岐にお答えいただきました。座禅ははじめられてから長いのですか?

池田洋人:はい。以前、座禅をやっていた先輩からお寺を紹介していただいたので、私も行ってみることにしました。山奥の電気も通っていないお寺で、自分で薪を割り、お風呂を焚いて、座禅を組みます。すごく頭の整理ができたので、現在でも寝る前に20分程度座禅のアプリを活用しています。

新谷哲:座右の銘もお聞きして「いつかは笑い話」とお答えいただきました。こちらを選ばれた理由はございますか?

池田洋人:私は石橋をたたいて渡るタイプなので、自分の背中を押すためにも、この言葉を直近の座右の銘にしています。1歩を踏み出すことに迷いが生じても「うまくいってもいかなくても、数年後にはきっと笑い話になっている」と思うと、次へのステップが踏み出しやすくなります。

新谷哲:素晴らしいお話です。次が最後のご質問です。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。

池田洋人:私はまだ成功していませんが、いま学びたいと思っているのは「聞く力」です。成功されている社長様は、話を聞くのがとても上手な方が多いです。そしてものすごく優雅だと感じる回答をされます。社長は情報を発信する側になりやすく、アウトプットの準備にばかり力を入れがちですが、「聞く」という行為は、経営者として重要だと感じています。

新谷哲:大変参考になるお話でした! 池田洋人社長、本日はありがとうございました。

編集後記

今回は池田洋人社長でした。お若く聡明な、素晴らしい経営者です。私は「tenki.jp」をよく使っているので、お会いできて光栄でした。ぜひ皆様も使ってみていただければと思います。また、上場時は9名、現在は約20名の社員さんがいらっしゃるようです。証券会社によると、社員数5名で上場した会社もあるようで、重要なことは会社の大きい、小さいではないということがよくわかりますね。ぜひ皆様も参考に、共に成功社長を目指していきましょう!

池田洋人氏
株式会社ALiNK インターネット 代表取締役CEO

埼玉県寄居町出身。東京国際大学商学部卒業後、1997年に株式会社ハレックスへとご入社され、気象予報士を取得されます。しかし、学生時代の怪我が再発してしまい、2年間の自宅療養をすることに。その期間に学ばれたインターネットの知識を活かし、 2002年に株式会社ウェザーライン(現:株式会社ライフビジネスウェザー)へとご入社されます。2003年にはヤフー株式会社へと移られ、Yahoo!天気の総合プロデューサーとして全面的なリニューアルに携わります。さらに、2005年には株式会社ありんくに席を置き、一般財団法人日本気象協会と共同事業として「tenki.jp」の運営を開始。日本最大級の情報量と利用者数を誇る天気予報専門メディアへと導かれました。そして、2013年に株式会社ALiNK インターネットを設立し、2019年には、社員数9名という少人数での東証マザーズ上場を果たされました。「未来の予定を晴れにする」という経営理念のもと、気象のインフラ構築、お客様への情報最適化に尽力をされています。

※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。

本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、池田洋人氏(株式会社ALiNK インターネット代表取締役CEO)の経営者インタビューを取り上げました。

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