成功経営者インタビュー

ドリームベッド株式会社 代表取締役社長 小出克己氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、小出克己氏(ドリームベッド株式会社 代表取締役社長)です。(2022年12月7日 2022年12月14日 配信)

今回は、創業1950年から続く日本を代表するベッドメーカーである、ドリームベッド株式会社の小出克己社長にお越し頂きました。同族経営からの正常化を実現することで、同社を東証2部(現・東証スタンダード)上場にまで導かれたエピソードから経営のヒントが得られます。ぜひ、インタビューをお読みください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、ドリームベッド株式会社の小出克己社長です。まずは経歴のご紹介です。山口県出身。近畿大学卒業後、1971年 株式会社広島銀行へ入行。多くの支店長を歴任された後、2003年 ドリームベッドに出向。2004年 同社へ移籍し、2017年 代表取締役社長にご就任をされました。そして、2021年には東証二部(現・スタンダード市場)に上場をされています。本日はよろしくお願いします。

小出克己:よろしくお願いいたします。

新谷哲:最初の質問です。小学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

小出克己:家の近くに海や山があり、自然に恵まれた環境の中で育ちました。性格は控えめでリーダーシップを取るタイプではありませんでしたが、一度やると決めたら前に出て取り組んでいました。

新谷哲:中学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

小出克己:私は団塊世代のど真ん中なので、田舎の中学校ですが生徒数がとても多かったです。学年1クラスは50人ほどで、それが5クラスもあり、今では信じられない教育環境ですね。その中でも成績はよい方だったと思います。部活動はバスケットボール部に入りました。今でもバスケットが好きでよく観戦するのですが、アメリカで活躍をしている選手を見ては「私もこんなプレイができたらな~!」と感じています(笑)。

新谷哲:高校時代はどのようにお過ごしでしたか?

小出克己:地元にある、柳井商工高等学校の商業科に進学しました。ここでは、今も役立つ学びを色々と得たのですが、印象深いことが3つあります。1つ目は、商業実践という授業です。銀行、卸、小売といった業態を任され経営を疑似体験する、とても面白い授業でした。2つ目は、簿記です。ただの会計様式だけではなく、直線的に仕分けをする方法など、とても実践的でした。また、当時は計算機がないので、そろばんは必修でした。私はあまり得意では無かったので先生に特訓をしてもらい、なんとか単位をもらいました。今でも頭の体操としてそろばんを弾く時があります(笑)。3つ目は、課外活動です。バスケットボール部、柔道部、簿記クラブ、園芸部など、いくつも掛け持ちをして、非常に楽しませてもらいました。当時の友人たちと集まっては、懐かしい話に花を咲かせています。

新谷哲:その後、近畿大学に進学されます。こちらを選ばれた理由はございますか?

小出克己:実は、最初は大学に進学するつもりはありませんでした。実家がカマボコを製造する事業を営んでおり、親は「家業を継ぐのだから大学に行く必要はない」という考えでした。私も最初は同じ考えでしたが「これからの時代、大学を出なければ社会で生き残るのは難しくなる」と感じるようになりました。当時は商業高校から大学へ行くのは珍しく、進学できた生徒は300人中10人足らずでした。無謀な挑戦のように感じましたが、高校3年生から受験勉強を始め、なんとか近畿大学に入ることができました。

新谷哲:大学時代はどのようにお過ごしでしたか?

小出克己:近畿大学では、ゼミで思いっきり鍛えて頂きました。当時は学生運動が華やかで、その影響により講義が無くなることが度々ありました。教授たちは少人数で進められるゼミ活動に非常に力を入れており、私は会計ゼミや税理士研究会に入会をします。勉強の機会が限られていたので、集中して吸収できました。高校で簿記実践を学び、大学では会社経営を考える上でのベースとなる基礎知識を学べたので、非常によかったです。

新谷哲:大学卒業後、1971年に株式会社広島銀行へ入行されます。こちらを選ばれた理由はございますか?

小出克己:叔父の紹介がきっかけです。東京や関西で就職することも考えていましたが、親から「地元に帰ってこい」と強い要望があり、悩んでいました。そんな時に叔父から広島銀行を紹介され、入社試験を受けたところ合格できたので、入行を決めました。親は規模も大きくないカマボコ屋に引き戻す必要はないと考えたのか「後を継げ」と言われることも無くなりました。

新谷哲:広島銀行では、多くの支店長を歴任されています。当時の思い出はございますか?

小出克己:当時の銀行は、いわゆる“親方日の丸”な要素があり、どちらかというと「貸してやる」といった強気の経営でした。現代のように、金利でどうこう言われることも無く、在籍する人にとっては過ごしやすい環境だったと感じます。ご多分に漏れず、私も銀行員としての生活を楽しんでいました。最初に配属されたのは柳井支店で、出身高校のある縁深い地域で知人も多く、ボーナス時期になると高校の先生のところへ伺うということもありました(笑)。一方で厳しい側面もあり、融資係をしていた時には、色々な中小企業の社長さんから「できるだけ多くの融資をしてくれ!」と責められることもありました。限られた資金をどうやって配分するかに苦労することが多かったと思います。

新谷哲:その後、ドリームベッド株式会社に出向されます。どういった経緯でしょうか。

小出克己:職位の定年が近づく中で、銀行から「次はどうするのか」とずっと言われていました。私は30年も銀行に勤めたので、外に出たいと思い「地域の中で受け入れていただける企業があれば紹介して欲しい」と銀行側に言っておりました。人事から「ドリームベッドという会社がある」と紹介をいただき、当時の社長、つまり私の前任の社長の面接を受け「まずは出向」という形で入れていただきました。

新谷哲:ドリームベッド株式会社では、取締役、常務取締役、専務、と出世されていますが、出世をするコツはありますか?

小出克己:私の場合は「上手くやった」と思っていません。今は上場をしていますが、出向した当時は非常に厳しい状態でした。出向の際も、銀行から会社の事情を聞かされませんでした。ある日「会社の会議があるので出てくれないか」と言われます。会社の雰囲気を知るため出席したら、銀行団とのバンクミーティングでした。会議の中で、私の役目も理解しました。そこからの約10年間は、会社をどう正常化するかを考え続けます。私は出世をしようと考えていませんでしたが、前任の社長から、取締役、常務、専務という形でご指名を受けて、現在に至っております。

新谷哲:小出克己社長はご謙遜されているので、私から解説をいたします。バンクミーティングは、借入れをしている銀行を集めて色々な交渉をする場です。「借金を少し減らしてくれ」とか「金利だけ払えるようにして少し期間を延ばさせてくれ」という話が出るので、銀行側は開くことを嫌がります。企業側も、頭を下げなければいけないので大変です。小出克己社長はそうした困難を乗り越えて、ドリームベッド株式会社を素晴らしい企業へと変えたことでご出世していると思います。2017年に社長にご就任されましたが、これは経営が正常化された時期にあたりますか?

小出克己:そうです。経営が正常化された時期になります。20年前のドリームベッド株式会社は製造と販売が分かれており、それぞれ11社ほどある同族経営の会社でした。それを現在の1社に統合を行い、同族の大半が会社を去り、前任の社長が1人残る形で再生をしました。しかし、2017年に前任の社長が突然亡くなられ、誰かが社長を継がなければならない状況になります。色々と話をする中で、当時専務だった私にお願いしたいと指名が入りました。私も若くないので悩みましたが「頑張って正常化したのだから、次の成長の道筋をつけねばならない」と思い、社長を引き受けました。

新谷哲:社長にご就任なさった時から、上場を目指し始めたのでしょうか?

小出克己:会社を統合して改善計画を作る中で、金融機関に支援をいただいたので「どこかで出口を見つけないといけない」と思っていました。前任の社長も上場の意向が強く、10年〜20年ぐらいかけて少しずつ準備をしてきました。社員も同じ思いを持って頑張ってきたので、上場を選びました。

新谷哲:上場に向けてご苦労はありましたでしょうか?

小出克己:長い歴史の中で培った社風、社員の考え方を変えるのに、非常に苦労しました。同族経営の歴史が長いため、上位下達の体制が出来上がっていました。つまり、ボトムアップな組織運営が非常に弱いのです。色々な改善計画を作っていく過程で、社員の様々な意見を聞き、段々と社員たちに「自分達の会社」という意識を持っていただいきました。ただ、規則や仕組みを作ることはできますが「上場直前には運用して、上場後にはアウトプットが確実に出せる体制にしてください」と言われたことが一番しんどかったです。社員にも同様の成果を求めましたので、社員も苦労しました。よく頑張ってついてきてくれたと思います。

新谷哲:よろしければ、ドリームベッド株式会社の事業内容をお教えいただけますか?

 

小出克己:弊社は、ベッド、マットレスを作るメーカーです。主に卸主体で、家具販売専門店向けが約8割になります。大手の家具専門店には、ほとんど弊社の製品を卸しています。残り2割は、少しずつ拡大を進めている分野になりますが、ショップ、ショールームにて直接販売をしています。他メーカーと違う点としては、弊社は海外ブランドを国内でライセンス生産し、それを販売している点です。現在はアメリカのSerta社、ドイツのruf社、ハウスブランドのドリームベッドの3ブランドを展開しています。他にもソファを中心としたリビング家具も製造しています。フランスのligne roset社のライセンスを取得をして、国内で製造販売しています。ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、マットレスのウォーターベッドは、日本で取り扱いをしている会社はおらず、弊社がほぼ100%供給しています。

新谷哲:ありがとうございます。ここからは違う質問をさせていただきます。好きなもの、好きなことをお聞きして「海・読書・映画鑑賞」とお答えいただきました。小さい頃は海が近いとおっしゃっていましたが、海は今でも近いのですか?釣りはされないですか?

小出克己:目の前に海がありますので、休日は必ず一定時間海を眺めにいきます。釣りも好きでやりますし、船も好きです。

新谷哲:座右の銘もお聞きして「死して後已む」とお答えいただきました。死ぬまで努力をするという意味で、吉田松陰の言葉ということですが、こちらを選ばれた理由はございますか?

小出克己:私は努力し続ければ、失敗とないと考えています。人から言われたからでなく、自分が思ったからやる。そう決めたことは少々の障害があろうが、何を周りから言われようが、やり続けます。この「自分が決めたことを最後までやり切る」ことは、自分が続けてきたことなので選びました。やり切った後、最後の評価や結果は他の人がすることなので、それを気にしても仕方がないという意味合いもあります。

新谷哲:ありがとうございます。次が最後のご質問です。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。

小出克己:私は「社長だから」という思いは全く持っておりません。それでも今の立場になれたのは、学生時代の知識を吸収しなければならない時期に、一定の知識を吸収したからだと思います。先ほどの座右の銘にもつながりますが、ずっと続けてきたというのも、成功の一要素になっています。それともう一つ、私は極端になることをあまりしません。どんなことがあっても、必ずバランスを取るようにしています。そうした上で、自分の考え方をまとめ、実行すべきことは着実に実行するようにしてきました。今があるのは、そうした生き方をしてきたからだと思います。

新谷哲:大変参考になるお話でした!小出克己社長、本日はありがとうございました。

編集後記

本日の社長に聞くin WizBizは、ドリームベッド株式会社の小出克己社長でした。高校、大学で勉強したことを銀行で活かし、ドリームベッドの企業再生で活かし、そして最後は上場請負までされています。企業再生請負人、上場請負人の両方をご経験なさった素晴らしい社長です。朴訥な方で、頭脳明晰、お話も面白く、私はとても尊敬しております。座右の銘も「死して後已む」死ぬまで努力を続けるという意味で素晴らしいですね。私も死ぬまで努力しなければと思いました。そして他人の評価は関係ないという話も最後にされていましたが、本当に同感ですし、私も小出克己社長のようになりたいと思いました。本日も最後までお聞きいただきまして、ありがとうございました。ぜひ皆様も参考にしていただけたらと思います。

小出 克己氏
ドリームベッド株式会社 代表取締役社長

1948年生まれ。山口県出身。近畿大学卒業後、広島銀行へご入社されます。多くの支店長を歴任された後、2003年にドリームベッドに出向。2004年10月に同社へ移籍し、取締役、専務取締役を経て2017年3月には代表取締役社長にご就任されました。創業1950年から培った長年のノウハウや技術を活かしながらも、時代の先を読んだ改革に着手し業績を向上させ、2021年06月23日には東証2部(現・東証スタンダード)上場を果たされました。

※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。

本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、小出 克己氏(ドリームベッド株式会社 代表取締役社長)の経営者インタビューを取り上げました。

『社長の孤独力』抜粋版(PDF29ページ)
無料プレゼント中!

『社長の孤独力』(新谷哲/著) の【抜粋版】を無料プレゼントしております!

71の課題の中から「資金・人材・売上・採用・後継者」の5つを抜粋いたしました。銀行からお金が借りれない社員がすぐに辞めてしまう売上を伸ばしたい、など、具体的なお悩みの解決策が掴めます。ぜひご覧ください。

無料プレゼントの詳細はこちら