株式会社Globee 代表取締役社長 幾嶋研三郎氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、幾嶋研三郎氏(株式会社Globee 代表取締役社長)です。(2023年1月18日 2023年1月25日 配信)

今回は、株式会社Globeeの幾嶋研三郎社長にお越し頂きました。学生起業からスタートし、現在では累計ユーザー数270万人を突破する、AI英語教材「abceed」等を展開している、今注目の経営者です。事業の立ち上げが上手くいく起業家と、そうでない起業家とでは、何が違うのでしょうか?経営のヒントが得られますので、ぜひインタビューをお聞きください。

新谷哲: 本日の経営者インタビューは、株式会社Globeeの幾嶋研三郎社長です。まずは経歴のご紹介です。2015年3月に慶應義塾大学法学部卒業。2014年6月に大学在学中に株式会社Globeeを創業。英語学校の運営を通して、IT英語教育の可能性を感じ、現在は、学習量×学習効率の最大化をミッションとしたAI英語教材等を事業とされています。本日はよろしくお願いいたします。

幾嶋研三郎:よろしくお願いいたします。

新谷哲:最初の質問です。ご出身はどちらですか?

幾嶋研三郎:埼玉県の岩槻です。

新谷哲:小学校時代はどのようにお過ごしになられましたか?

幾嶋研三郎:小学生のころは、喘息持ちで体が弱かったです。体力をつけるため、水泳を習ったり、休み時間はドッジボールやバスケなど運動をするようにしていました。また、3つ年上の兄と、テレビゲーム、カードゲームでよく遊んでいました。

新谷哲:中学時代はどのようにお過ごしになられましたか?

幾嶋研三郎:中学生のころには、喘息で悩むこともなくなり、県大会などを目指して部活動に取り組みました。また、カードゲームにも熱中していました。カードに熱心な友達ができ、一緒に全国大会に出たりしていました。

新谷哲:カードゲームはどんなものですか?

幾嶋研三郎:遊戯王、デュエル・マスターズ、当時流行していた金色のガッシュベルなど、色々です。

新谷哲:高校時代はどのようにお過ごしになられましたか?

幾嶋研三郎:埼玉県の春日部高校で、部活一色の生活でした。ソフトテニス部に所属し、個人戦、団体戦ともに、県でベスト4に入り、関東大会にも出場しました。高校3年の初めまで、ずっと部活の毎日でした。

新谷哲:大学は慶応大学に進まれましたが、慶応大学を選ばれたのはなぜですか?

幾嶋研三郎:大学受験では、現役時代には受験勉強に身が入らず、志望校には不合格となりました。滑り止めの大学に進学するか、浪人して再チャレンジするかを考えているときに、株式会社マザーハウスを創業された山口絵理子さんの本に出会ったのです。その本を読んだ際に「こんなエネルギッシュな女性がいるのか!」と刺激を受けました。山口さんが慶応大学生時代からマザーハウスの会社設立に携わられたことに憧れに近い思いを抱き「自分もそのような活動をしてみたい、自分も慶応大学行こう」と決めて慶応大学を目指しました。

新谷哲:大学時代はどう過ごされましたか?

幾嶋研三郎:入学すると、これまでの世界とは全然違っていて、色々な刺激を受けました。特に衝撃的だったのは、英語がペラペラの同学年の学生と自分とのギャップでした。自分は受験勉強でかなりの量の勉強をしたのに、彼らよりも英語力が低かったのです。そこで、1年の終わりごろから1年間、英会話に力を入れます。留学生や帰国子女の友人と一緒に渋谷で遊んだり、フィリピンとカリフォルニアに4週間ほど短期留学したりして、英語力を身に付けました。そうすると、周りの友人から「どうやって英語が上手くなったの?」と聞かれるようになりました。そこで「英語教育を提供する側で活動しよう」と考えます。大学3年の時にサークル団体を立ち上げ、英語教育の分野に足を踏み入れました。これがGlobeeのきっかけです。大学4年の時に株式会社Globeeを設立して、留学生のネイティブの友人たちに協力してもらい、英会話コース、TOEFL対策コースをつくります。私自身もTOEICコースを受け持ち、中目黒と渋谷で店舗型の英語学校の運営を始めました。

新谷哲:大学生時代に起業することに対して、怖さ、不安は感じませんでしたか?

幾嶋研三郎:はい、ありました。周りが大企業に就職する中、自分は英語学校をやっていました。だから「自分は何のために慶応に入ったのか、チャンスを捨てているのではないか?」という気持ちになりました。大学4年の6月ごろに英語学校をスタートして気付いたのは、これが本当に泥臭い活動で、一生続けていくことに課題感のようなものを感じました。大学卒業が近づく中で「Globeeの経営を続けるのか、または大企業に入るのか」と非常に悩みました。

新谷哲:ご両親はGlobeeを創業する時に反対されましたか?

幾嶋研三郎:親は「自分のやりたいことをやれ」というスタンスで、起業に関して反対されることはありませんでした。ただ「大学中退はやめてくれ、卒業はするように」とは言われていました。

新谷哲:大学卒業後は、Globeeだけをお続けになられたのですか?

幾嶋研三郎:実は、在学中に就職活動も行っています。当時、ソフトバンクの人事部長の方から「面白いね。ソフトバンクも起業家育成に非常に力を入れているから、自分の会社をやりながらでもいいので、うちに来ないか」と言っていただきました。当時は悩んでいましたし、創業社長の孫正義氏が一代で有数の大企業に成長させたソフトバンクが面白そうでしたので、ソフトバンクに入社するという決断をしました。

新谷哲:ソフトバンクに新卒で入られて、Globeeも続けるという、ダブルワークのような形になったのですか?

幾嶋研三郎:はい。平日夜および週末はGlobeeの仕事で、平日の日中はソフトバンクの仕事をしていました。

新谷哲:両方やるのは大変ではないですか?

幾嶋研三郎:大変ですが、好きでしたから「やらせてもらえるだけでも幸せだ」と感じていました。

新谷哲:ソフトバンクで学ばれたことはありましたか?

幾嶋研三郎:ソフトバンクの大きな強みは、ビジネスモデルです。孫正義氏は自身のことをよくスティーブジョブズと比較して「スティーブジョブズはテクノロジー×アートの人で、自分はテクノロジー×数字だ」とおっしゃっていました。孫正義氏は折々に「どういう考え方で今のソフトバンクを作り上げたか」を話されたので吸収するものがありました。また、私が配属されたのが新規事業の立ち上げ部署でした。ヤフーの子会社であるYJキャピタル株式会社のCEOや、ソフトバンク投資分野のM&A担当役員の方などが、経営会議でどのような話をされるのかを間近に聞くことができました。「ビジネスモデルとは何なのか、ビジネスはどのように考えて拡大させていくのか」といったことを吸収することができ、大きな学びを得たと思います。

新谷哲:ソフトバンクを卒業されてからは、株式会社Globee一本に集中されていますが、どのような経緯ですか?

幾嶋研三郎:ソフトバンクに入社してしばらくは「二足のわらじでやっていける、辞める必要はない」と感じていました。考えが変わったのは、色々な起業家を調査するリサーチ業務を担当する中で、アメリカや日本の起業家の創業ストーリーを調べてからです。調べたことで「上手くいく起業家と上手くいかない起業家の何が違うのだろうか?」と考えました。ビジネスモデル、アイデア、経験、お金、と色々考えましたが、結論はどれでもありません。とにもかくにも「泥臭く諦めないこと」が上手くいく大きな要因であると感じました。そんな中「Globeeという会社を120%フルコミットでやっている自分と、二足のわらじでやっている自分、どちらの成功確率が高いか」を考えます。間違いなく「退職して120%フルコミットした自分」が成功しますし、Globeeを続ける覚悟もありました。そのため、入社2年目の9月頃には上司に退職の意向を伝え、12月いっぱいで退職しました。

新谷哲:次は株式会社 Globeeの事業内容をご説明いただけますか?

幾嶋研三郎:我々はAI英語教材abceedというサービスを開発しています。これまでの英語教材は画一的です。例えば単語帳であれば、ターゲット1900など、誰が使っても1900単語は固定されているというのが特徴です。でも自分が大学受験を目指した時に、本当にその1900単語を全部覚える必要はあるでしょうか?すでに知っている単語が1900の中にあるのではないでしょうか?こういう課題を解決できるのが、AI教材の強みです。AI教材は、これまでの出る単語帳、出る問題集の中から、1人ひとりに合った問題を絞り込みます。さらに解く順番も、自分に合った形になるという特徴を持っています。これを英語分野で展開し、TOEICや英検といった資格対策はもちろん、学校の教科書や大学受験といった学校分野にも広げています。こうした幅広い英語教材が自己最適化されて学習できるプラットフォームを提供しています。

新谷哲:上場は狙っておられますか?

幾嶋研三郎:はい。2年、3年ほど前から準備を始めて、いよいよ、というフェーズに入っています。

新谷哲:コラムのお読みの方々はぜひ、株式会社 Globeeが上場したら、幾嶋研三郎社長の会社だと思い出していただければと思います。ここからは全く違う質問になります。好きなもの、好きなことを事前にお聞きしたところ「トップガン マーヴェリック」と「ものづくり」とお答えいただきました。「トップガン マーヴェリック」を出されたということは、映画好きということですか?

幾嶋研三郎:いえ、映画を観に行く頻度は高くありません。しかし、今年一番の衝撃を受けたのが「トップガン マーヴェリック」という映画だったのです。最近、ネットフリックスやSVODなど、オンデマンドで映画が観れる時代になっているので、映画館に行く意味が分かりませんでした。しかし、実際に映画館に行ってみて「映画ってこんなに進化しているのだ」と驚きました。戦闘機の爆音、バイクの風を切るような振動が感じられるような作品ですと、臨場感が全然違います。感動のあまり、もう一回行こう、もう一回行こう、となり気付いたら5回も行っていました。ここまで夢中にさせてくれた作品はこれまでなかったので「トップガン マーヴェリック」が今年のナンバーワンとして入ってくると思いました。

新谷哲:古い方のトップガンは観られましたか?

幾嶋研三郎:はい、ネットフリックスでも何度も観ますし、マーヴェリックを同時上映しているものも何度も観て、どっぷり浸かっていました。

新谷哲:ありがとうございます。座右の銘もお聞きして「好きこそものの上手なれ」とお答えいただきました。こちらを選ばれた理由はございますか?

幾嶋研三郎:子供の頃から感じ続けてきたことです。スポーツ、カードゲーム、勉強、仕事の全てで「好きな人には勝てない」と思いました。ですので「上手くなりたいと思ったら、自分が一番好きなことをやるに越したことはない」と考えています。未だに考えが変わってので、的を射た考えだと思います。

新谷哲:次が最後のご質問です。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。

幾嶋研三郎:どの分野であれ「思い描いたやりたいことを形にする」のが社長の役割だと思っています。私に関しては、それが英語教育という分野でした。当初は「お金もない、人もいない、経験もない、出版社から英語教材のライセンスもとれない」と無いことづくしで本当に大変でした。ですが、無いからやめるのではなく「無くても何が何でも実現したい夢」が見つかると、人生に大きな影響を与えると感じています。それを追及したことが、私の人生において非常に大きかったです。ですので、何が成功なのかというと、まさに「自分が描いた絵を描けたこと」だと思っています。自分が描いた絵は、どんどんアップデートされますし、やりたいこともどんどん増えていきます。今後も引き続きこれができるよう、健康にも気をつけて経営をやっていきたいと考えています。

新谷哲:大変すばらしいお話でした。幾嶋研三郎社長、本日はどうもありがとうございました。

幾嶋研三郎:ありがとうございました。

編集後記

今回は、株式会社Globeeの幾嶋研三郎社長でした。慶応大出身で、イケメンで、スマートで、学生起業家として創業され、上場準備も着実に進めておられる経営者です。私もこういうイケメンのスマートな社長に生まれたかったと思ってしまう魅力的な方でした。全国の経営者様も幾嶋研三郎社長の真似をしていただいて、上場などを狙っていただけたらと思います。

幾嶋研三郎氏
株式会社Globee 代表取締役社長

埼玉県さいたま市岩槻区出身。2015年3月慶應義塾大学法学部卒業。2014年6月に大学在学中に株式会社Globeeを創業。英語学校の運営を通して、IT英語教育の可能性を感じ、現在は、学習量×学習効率の最大化をミッションとしたAI英語教材等を事業とされています。

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本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、幾嶋研三郎氏(株式会社Globee 代表取締役社長)の経営者インタビューを取り上げました。

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