成功経営者インタビュー

株式会社NATTY SWANKYホールディングス 代表取締役社長 井石裕二氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、井石裕二氏(株式会社NATTY SWANKYホールディングス代表取締役社長)です。(2023年10月4日 2023年10月11日 配信)

今回は、「肉汁餃子のダンダダン」を全国に展開する、株式会社NATTY SWANKYホールディングスの井石裕二氏にお越し頂きました。「餃子とビールは文化です。」をキャッチコピーに創業。当時は餃子居酒屋が世の中になく、ラーメン屋や中華料理屋と勘違いされることもあった。しかしブランドを育て続け、上場をされたエピソードから経営のヒントが得られます。ぜひ、インタビューをお聞きください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社NATTY SWANKYホールディングスの井石裕二社長です。まずは、経歴をご紹介します。2001年有限会社NATTY SWANKY(現・株式会社NATTY SWANKYホールディングス)の取締役にご就任されます。2007年には取締社長、2018年に代表取締社長にご就任され、2019年には、東証マザーズ(現・グロース市場)に上場をされました。井石裕二社長、本日はよろしくお願いします。

井石裕二:よろしくお願いします。

新谷哲:最初のご質問です。ご出身どちらでしょうか?

井石裕二:生まれは愛知県ですが、父親が転勤族でした。幼稚園は九州の宮崎に行くなど、小さい頃は各地を転々としていました。中学2年生から、東京に定着しました。

新谷哲:では、小学校時代も各地を転々としたのですか?

井石裕二:そうですね、小学校は3つ行っています。小学校6年生ぐらいの時に、父親が東京都の多摩市に家を買いました。そこから家族で引っ越すのではなく、父親だけ単身赴任で移動しました。

新谷哲:小学校時代の思い出はございますか?

井石裕二:常に転校生のような感じでしたので、コミュニティの中にどう溶け込むかを考えていました。

新谷哲:中学校時代はどのようにお過ごしになられましたか?

井石裕二:特に特徴もないというか、ごく普通です(笑)。さほど勉強が好きでもなく、極端に勉強しなかったわけでもなく、成績なども普通という、ごく普通の中学生です。部活動にも所属していませんでした。

新谷哲:東京都内の高校に進まれますが、どのようにお過ごしになられましたか?

井石裕二:中学生時代に部活に入っていなかったので「高校に入ったらなにかやろう」と思いバレーボール部に入りました。部活の他には、アルバイトも結構していました。

新谷哲:バレーボールを選ばれたのは、お好きだったからでしょうか?

井石裕二:いえ、好きだったわけではありません。サッカーや野球などの人気スポーツだと、高校から始めても試合に出られないと思いました。バレーボールは当時マイナーだったので、やっている人が少なく「バレーボールなら試合に出られるのでは」という単純な考えで選びました。

新谷哲:戦略的に選ばれたのですね。大学はどちらに進まれたのでしょうか?

井石裕二:明星大学というところに入りましたが、すぐに行かなくなってしまい、そのまま中退しました。

新谷哲:大学に行かなくなった理由はございますか?

井石裕二:いくつかありますが、高いお金を払って勉強しに行こうと思っていたのに、大学の皆さんに勉強する気がなかったことが理由の1つです。当時はまだネットなどがなく、学校に掲示板がありました。そこで休校など当日の予定が分かります。朝早く起きて学校に行った休校だったなどの理不尽さに納得ができず「もういいか」みたいになりました(笑)。他にも、学校の都合で休校になったのに授業料が返ってこないのはおかしいとも感じました。休校はそんな理不尽なのに周りは「よし、今日は休校だ」と喜んでいます。社会に出たり、高校の塾などでは許されません。しかし「なんで大学だけ許されているのだろう?」と思いモヤモヤして「もういいや」と退学をしました。

新谷哲:大学中退後はどうなさったんですか?

井石裕二:しばらくフリーターをやっていました。その時に知り合った人から「会社を新しく作るから手伝わないか」とお誘いがありました。暇をしていたので「やります」と言い最初は日雇いのアルバイトみたいな感じで入ります。すぐに正社員になって、その会社を6年ほど勤めました。

新谷哲:どのような業種だったのでしょうか?

井石裕二:小学校から大学までを含めた、学校のパソコン教室を作るみたいな仕事でした。職員室などからLANを引っ張って、サーバーを立てて、 パソコン教室内の配線をしたり、ソフトのインストールをするなどの仕事をしていました。

新谷哲:学ばれたことや、思い出などはございますか?

井石裕二:それまでのアルバイトも含めてそれぞれ勉強になりました。正社員になった会社は少人数で、皆さん真面目に仕事をしていました。人生的な向上心はあまり持っていませんでしたが、仕事に対する向上心は皆さんすごく持っていました。今日より明日、もっと早く終わるにはどうすればいいか、みたいなことを考えながら仕事をしたので、効率を求める意識は高まったと思います。

新谷哲:その後、NATTY SWANKYに移られたのですか?

井石裕二:移ったというか、一緒に会社を作った感じです。現在の副社長が、高校卒業をしてラーメン屋で修業をしていました。私はそこのラーメンが好きで、多い時には週5回食べに行く常連でした。そのため彼に顔を覚えられて、別のところで会って話をするようになります。飲みに行って将来の夢を語ったりもすることがありました。彼は将来独立したい思いがあり、私も自分で事業をやりたいと思っていたので、話の流れで一生にやろうと作ったのが今の会社です。

新谷哲:では、共同創業のような感じだったのですね。独立する時に怖さはございましたか?

井石裕二:私は失うものがなかったので、特に感じませんでした。

新谷哲:創業当初より上場は考えていたのですか?

井石裕二:いえいえ、もう本当に夢にも思ってなかったです(笑)。

新谷哲:では、当初から「飲食店経営1本で行こう」という感じでしたか?

井石裕二:はい、そうです。私たちに出来ることを考えて、飲食店を選びました。食べに行くのも飲むに行くのも好きでしたので。そして、創業はラーメン屋でした。最初の1年~2年くらい、私は雇われサラリーマンをしながら手伝いました。でも「飲食店でお店を増やしていけたらいいね」と話をしていましたが、その程度です。

新谷哲:なにか苦労された点はございますか?

井石裕二:休みもなく、寝ないで朝まで働きました。はたから見たら苦労ですが、私は結構楽しかったです。

新谷哲:働くことや、会社を大きくすることにワクワクしていた感じでしょうか?

井石裕二:その時にもよりますが、ワクワクしましたね。しかし、停滞した時などは「やらざるを得ないからやる」という感じになることもありました。でも「将来、絶対に会社を大きくする」という反骨精神みたいなものを持っていました。

新谷哲:途中で代表取締役社長に就任されますが、どのような経緯でしょうか?

井石裕二:創業10年目に「肉汁餃子のダンダダン」を作りました。このコンセプトを作ったのは私で、ブランド展開も私中心に行いました。また、上場前に外からの見え方もあるので代表をはっきりした方がいいと、副社長と話し合って決めました。

新谷哲:上場はどのぐらいのタイミングから、目指されたのですか?

井石裕二:2016年に上場を目指しました。2015年から月に1店舗ずつ出店し、出す店出す店繁盛しました。このペースで出店をすれば3年後には売上がこのくらい、社員や利益はこのくらい、と想像をして「このままではヤバい」と感じました。これまでは個人商店レベルの体制で、本社もアルバイトが1人という状態でした。内部統制や細かなアライアンス、労働関係が色々と雑で、永続的に会社が成長できる体制を作りたいと思います。その時期に、上場や監査法人の話を聞く機会がございました。上場準備をすれば「会社経営のなんたるか」が理解できるだろうと思い、上場を1つの目標として2年半やってきたという感じです。

新谷哲:上場に対しての苦労などはございましたか?

井石裕二:0からやり直したところがあるので、本当に色々ありました。私は「これは社長の仕事でないのでやらないで」と言われ、やることが減ったこともあります。しかし、管理部門や店舗運営部門では、時間に追われて必死になる姿を見ました。私は彼らがスケジュール通りにやれるかを確認するのがメインだったので、苦労したのは部下たちですね。

新谷哲:株式会社NATTY SWANKYホールディングスの事業内容をお聞かせいただきますか?

井石裕二:事業内容はシンプルに「肉汁餃子のダンダダン」という餃子がメインの大衆居酒屋を、現在130店舗ほど展開しています。他のお店をやっていない単一業態で、現在はブランドを全国展開しています。

新谷哲:ここからは全く違う質問をいたします。事前に好きなこと、好きなものをお聞きして「餃子、お酒を飲むこと(日本酒と白ワイン以外)、ゴルフ、旅行、家族サービス、本を読むこと」とお答えいただきました。餃子が最初に出たのはさすがだと思いますが、別の事をお聞きします。お酒がお好きということですが、どんな種類を飲まれますか?

井石裕二:日本酒と白ワイン以外は、いつも飲んでいます。でも居酒屋に行くことが多いので、最初にビールを1杯飲んで、その後にお茶割、焼酎、レモンサワー、ハイボールなどを飲むことが多いですね。洋食の店に行ったら赤ワインを飲んだりもします。

新谷哲:では、肉汁餃子のダンダダンは、井石裕二社長がお酒を飲むのがお好きで作られた業態ということでしょうか?

井石裕二:私は特別な感覚やセンスを持っていると思っていません。ごく普通の、一般的な感覚だと思っているので「私が食べたいもの、飲みたいものを置けば、多くの人が同じように思ってくれる」という感覚があります。なので、普通の居酒屋よりちょっと良いお酒を置くなど、意識してこだわっています。

新谷哲:次に座右の銘をお聞きして「餃子とビールは文化です。」とお答えいただきました。ここまで徹底されていると尊敬してしまいますが、こちらを選ばれた理由をお教えいただけますか?

井石裕二:これは当店のキャッチコピーです。1号店をオープンした2011年頃は、餃子居酒屋が世の中にほとんどなく、中華料理屋かラーメン屋でないと餃子が食べられませんでした。でも、餃子とビールの相性は本当にいいのですが、中華料理屋で餃子を食べながらビールを飲むことを、若い人たちや女性はなかなかやりません。ラーメン屋で餃子とビールをゆっくり楽しんでいると「早くラーメン食べて帰ってくれ」という空気になったりもします。「餃子を食べながら、ゆっくりビールを飲んで、仲間と語り合う場所がない」と思い、餃子メインの居酒屋を作りました。ただ、当時は餃子居酒屋がないので、町の人から中華屋だと思われました。お客さんから「ラーメンやチャーハンがないなら帰る」と言われたり「餃子屋なのになんでないんだ!」と怒ってしまう人もいました。餃子居酒屋が文化として定着していけばいいと思い「餃子とビールは文化です。」というキャッチコピーを作りました。

新谷哲:次が最後のご質問です。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。

井石裕二:成功しているかと言われると微妙なところですが「常に自分が頑張らなきゃいけない環境に、自分を置いたこと」が成功した要因の1つだと思っています。弊社は私と副社長の二人三脚でやってきました。2人とも失うものがなにもなかったと言いますか、お金もコネもないところから始めたので、必死にやらないと自分たちが食えませんでした。会社が大きくなると社員が増え、社員が結婚して子供が生まれたらその家族まで食べさせなければいけません。上場をすると株主を始めとした色々なステークホルダーから見られますので、どんどんプレッシャーが大きくなります。人間は立派な人じゃないとサボると思いますし、私は自分を怠け者だと思っています。そのため、怠けられない環境に常に自分や会社を置くことが成功の秘訣だったと思います。

新谷哲:井石裕二社長、本日はありがとうございました。

井石裕二:こちらこそ、ありがとうございました。

編集後記

今回は、株式会社NATTY SWANKYホールディングスの井石裕二社長でした。お話を聞いていたら餃子の印象が強く、餃子が食べたくなってしまいました(笑)。しかし、成功の秘訣でギリギリの状況で頑張るとおっしゃっていましたが、本当にそうですね。私も経験がありますが、ギリギリで頑張ると成長する可能性は高いと思っています。また、永続的に会社が成長できる体制を作りたいと上場をされたのも素晴らしいです。やはり未上場と上場企業ではガバナンスやコンプライアンスは全然違いますので、経営のレベルが全く違ってきます。経営者の皆様もぜひ、井石裕二社長のように上場を目指して、成功経営者になっていただければと思います。

井石裕二氏
株式会社NATTY SWANKYホールディングス 代表取締役社長

2001年11月、有限会社ナッティースワンキー(現 株式会社NATTY SWANKYホールディングス)取締役 就任。2007年10月、取締役社長  就任。2017年6月、株式会社swanky(現 株式会社BORA)設立、代表取締役 就任。2018年1月、株式会社NATTY SWANKYホールディングス、代表取締役社長 就任。

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本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は井石裕二氏(株式会社NATTY SWANKYホールディングス代表取締役社長)の経営者インタビューを取り上げました。

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