成功経営者インタビュー

経営者インタビュー ベース株式会社 代表取締役社長  中山克成氏

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、中山克成氏(ベース株式会社 代表取締役社長)です。(2020年10月21日 10月28日 配信)

中山氏は、中国の上海出身。専門学校で技術を学び、中国でSEとして活躍されました。その後、来日。日本に来た理由は起業したいとの思いから中国から渡日。そして、日本で10年間経験を積み、1997年にベース株式会社を創業されました。起業当初から上場を目指し、2019年に東証二部へと上場を果たされます。(現在東証一部上場)故郷を飛び出し、日本で起業した行動力溢れるお話から、経営のヒントが得られます。ぜひ、経営者インタビューをお聞きください。

追記※ 2020年12月 東京証券取引所市場第一部銘柄へと指定されました。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、ベース株式会社の中山克成社長です。まずは経歴をご紹介します。中国上海出身。専門学校で技術を学び、中国でSEとして経験を積まれました。起業をしたいとお考えでしたが、当時の中国では難しいため、1987年30歳の時に来日。最初は日本語も話せず、アルバイトをしながら日本語学校に通われました。その後、「10年後に起業するので修行をさせて下さい」と宣言し、ソフトハウス会社に入社。宣言通り10年後、1997年ベース株式会社を設立。その後2019年12月東京証券取引所市場第二部に上場されました。本日はよろしくお願いいたします。

中山克成:よろしくお願いします。

新谷哲:最初のご質問です。ご出身は中国との事ですが、小学校・中学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

中山克成:小学校・中学校の時期は、文化大革命の真最中でした。当時は勉強を真面目にやるという環境ではなく、友達と遊びながら成長してきました。

新谷哲:コンピューターやSEに興味を持たれたのはいつ頃ですか?

中山克成:20歳を過ぎた頃から、落ち着いて勉強をしなければ、と考えるようになりました。選択肢はいろいろありましたが、当時パーソナルコンピューターが流行り始め、「これは非常に良いビジネスチャンスだ!」と意欲が湧き、勉強をはじめました。

新谷哲:コンピューター系の専門学校に進まれたのですか?

中山克成:はい。ソフトウェアの専門学校で3年間勉強しました。

新谷哲:専門学校卒業後は、中国国内でのお勤めですか?

中山克成:はい。当時はまだ社会主義で、卒業したら国の意向で働く場所の指定がありました。その指定企業で、コンピューターのプログラムをやり始めました。

新谷哲:では約10年間、中国でプログラマーとしてお仕事をされたのですね。

中山克成:はい。しかし当時の中国ではあまりSEの資料はなく、アメリカの資料を見ながら勉強をしてきました。その経験は今になっても非常に重要な経験です。

新谷哲:当時の思い出はございますか?

中山克成:今ではWindowsなど色々なOSがありますが、当時はまともなOSや、便利なツールはありませんでした。アセンブラと言う言語を使い、裸の状態のマシンに対し色々コントロールしながら制御し、プログラムをしていました。今の若い子達は聞いたこともないような時代ですね(笑)そのため、本当の意味でのパソコンの基礎を、何もない時期からマスターできたのは良い思い出です。

新谷哲:1987年に来日されましたが、どのような思いでいらっしゃいましたか?

中山克成:私は、起業をしたいという思いを持っていました。現在の中国は繁栄し発達しておりますが、当時は貧しく社会主義で好き勝手もできず、資本主義社会に憧れをいだき外に出ようと決意しました。アメリカか日本かと考えていたところ親戚が日本にいると知り、これはチャンスだと日本に参りました。

新谷哲:当時の中国でそのようなお考えの方は、非常に少なかったと思いますがいかがですか?

中山克成:はい。国営企業の中で自分の職業を全うするのが普通で、今のように皆が起業する事ができる訳ではありませんでした。異端児というか、違う考え方を持っていたのかもしれません。

新谷哲:来日にはかなり勇気が必要だったのではないですか?

中山克成:相当の勇気が必要でした。お金の話で恐縮ですが、中国にいた時の私の月給は約68元でした。当時のレートでいうと日本円で1,000円ぐらいです。実は、1,000円の月給でありながら十数万円の借金を背負い日本へ来ました。日本で失敗したら帰れなくなってしまう重い借金を作ったことは、若さもありますが、無茶をやりました(笑)

新谷哲:今の日本で考えると、新卒社員が2000万円~3000万円ほど借金して来ると言う事ですか!?

中山克成:感覚的にはそれ以上かもしれません。要するに月給の十数年分の借金を背負って日本に参りましたので、大変な話です。

新谷哲:素晴らしいお話です。来日後、日本語学校にアルバイトをしながら通われ、その後、ソフトハウスの会社に勤められました。当初からコンピューター系の職業に就こうという思いはありましたか?

中山克成:フォーカスははっきりしていました。私は、それまでもSEの道を歩んできたので、最初から日本でSEの会社を作ろうと決めていました。日本には日本の商習慣や、やり方があります。日本語学校とアルバイトもそれを学ぶための経験の一つです。そして、「10年後に独立します」と宣言した上で、ある中堅のソフトハウス会社で修行をさせて頂きました。今思えば生意気な話ですが、お陰様で10年後、社長にOKを頂いてスムーズに独立する事ができました。

新谷哲:日本の会社で苦労されたことはありますか?

中山克成:中国のやり方や、考え方とはズレがあり、文化の差に苦労をしました。私は、日本独特のやり方を尊重し、勉強してからビジネスを始めるべきだと考えました。文化的な部分や習慣、特に考え方などは、短期間でマスターするのは難しく、10年間お世話になったソフトハウス会社では、じっくり勉強をさせていただきました。振り返ると、この10年間は私にとって非常に大きな意味を持つ期間となりました。

新谷哲:ベース株式会社はインターネット革命が始まった時代といわれる1997年に創業をされました。当時から上場を目指していましたか?

中山克成:創業時「10年で上場します」と宣言をしていました。私には、生意気にも人生計画があります。20歳で仕事を始め、30歳で日本に参りまして、40歳で会社を作り、50歳で上場をし、60歳で引退するという計画です。しかし、株式状況の移り変わりなど現実は厳しいこともあり、計画通りきれいにはいきませんでしたが、しっかりした経営を継続することで、上場を果たす事ができました。上場を目指し、初年度から23年間一回も赤字を出さずやってきた事は、一つの自慢です。

新谷哲:上場に至るまでの約20年間、どのような苦労がありましたか?

中山克成:私の根っこはSEですので、会社を作り経営者になると様々な問題がでてきました。例えば、営業です。世間一般的な営業活動とされるお酒、カラオケ、ゴルフ。私は、お酒は一滴も飲めないし、歌は一個も歌えない、ゴルフはやったこともなく全滅でした。独立して初めて分かった事は、経営者はすべての面で、自分でやる必要があるということです。その為、営業の能力や知識、いろんな方と仲良くしていくためのテクニックは非常に重要であり、苦労をしました。現在でも自分なりに試行錯誤をしています。

新谷哲:ありがとうございます。よろしければ、ベース株式会社の事業内容をお教えいただけますか?

中山克成:ソフトハウス会社として事業運営しています。ソフトハウスには、コンサルティング会社、開発、テスト会社など様々なタイプがあります。弊社は、システム開発がメインで、運用保守なども行っている会社です。また、中国の上海と無錫という小さい都市に、BCHという会社を作りました。日本法人の正社員では700名以上。無錫と上海拠点で、130人~140人ぐらい。更に数百名のビジネスパートナーに応援していただき、今では1000人以上のメンバーで一緒に仕事をしています。

新谷哲:ありがとうございます。ここからは、違う質問をさせていただきます。好きなもの、好きなことお聞きして「革製品、ゴルフ」とお答えいただきました。先ほどゴルフは苦手、とお話がありましたがお好きでいらっしゃいますか?

中山克成:先ほどお話した、お酒、カラオケ、ゴルフの中で、唯一自分の努力でなんとかなると思ったのがゴルフで、10年前からやり始めました。ゴルフをすることで、普段意識しない季節の変わりを感じれ、1日お客さんと過ごすことでコミュニケーションもとれます。今も、スコアはずっと悪いままですが(笑)、非常に良いスポーツなのでこれからもやっていこうと思っています。

新谷哲:座右の銘もお聞きして「誠心誠意」とお答えいただきました。会社の経営理念にも入れているとの事ですが、選ばれた理由はございますか?

中山克成:日本と中国で、文化の共通点はたくさんあります。その中でも、「誠心誠意お客さんに尽くしていくこと」は両国とも重視しています。我々はハイテクで、一見かっこいい仕事ですが、お客さんあってのビジネスであり、それが原点です。弊社のプログラム、システム設計、システム開発でどのようにお客様に答えていくか、誠心誠意取り組むことが大切だと考えています。今までもその気持ちで頑張ってきました。弊社の経営理念は3つあり、1つ目は相互尊重、2つ目は誠心誠意、3つ目はベストを尽くすことです。1つ目の相互尊重は、弊社の社員は日本人と中国人で半々ぐらいなので、日本人の社員も中国人の社員も、このベース株式会社の一員として尊重しあうということです。そして、やはりお客様あってのベース株式会社なので、誠心誠意ベストを尽くすと言う事です。

新谷哲:ありがとうございます。次が最後のご質問です。全国の経営者やこれから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。

中山克成:秘訣というほどではありませんが、やはり誠心誠意、継続することが重要です。一見、今の時代は、スピードを重視することも一つの成功の道とも取れますが、コロナなど様々な問題に直面した時に、成長し会社として存続できるかどうかは、誠心誠意を継続する事にかかっています。ゴルフで例えると、ショートカットで、リスクを犯すのではなく、フェアウェイキープしていくのが普通のやり方です。弊社は、創業当時からソフトハウス一本と決めていて、これからも追及していきます。この継続する事こそ、次の力に繋がっていくと考えています。

新谷哲:中山克成社長、本日はありがとうございました。

中山克成:ありがとうございました。

編集後記

今回は、ベース株式会社の中山克成社長でした。当時の中国は、今の中国とは違います。そんな中、給料の十数年分の借金を背負い来日し、上場企業を作り上げるのはすごい勇気です。我々起業家たち、アントレプレナーは見習うべきですし、勇気をもってチャレンジしないことには何も成しえないということを表しています。そして、成功の秘訣は誠心誠意と継続と仰いましたが、まさに成功している社長から必ず出てくるお言葉です。インタビューをお読みの皆様も、誠心誠意、継続する事で成功社長を目指していきましょう。

中山克成氏
ベース株式会社 代表取締役社長

中国の上海出身。専門学校で技術を学び、中国でSEとして活躍。起業したい思いをお持ちでしたが、市場開放がされる前だったため来日を決意。日本で10年間経験を積み、1997年にベース株式会社を創業。2019年に東証二部へと上場、2020年12月には東京証券取引所市場第一部銘柄へと指定替えをされました。業界の最先端を行く技術力・機動力を武器に、新しい価値を提供し続けている。

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本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、中山克成氏(ベース株式会社 代表取締役社長)の経営者インタビューを取り上げました。

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