成功経営者インタビュー

経営者インタビュー 森田昌宏氏(株式会社gamba 代表取締役社長)

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、森田昌宏氏(株式会社gamba 代表取締役社長)です。(2020年 10月7日 10月14日 配信)

森田昌宏氏は、高校時代にNECのPC8000シリーズに触れ、プログラミングなどを学ばれました。そして大学院を卒業後、NTT研究所や楽天トラベルを経験し、2012年に株式会社gambaを創業。
SNS型日報アプリ「gamba!」を、累計15,000社を超える企業が活用する日本最大級の日報アプリへと成長させたエピソードから、経営のヒントが得られます。ぜひインタビューをお読みください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社gambaの、森田昌宏社長です。まず経歴のご紹介をします。北陸先端科学技術大学院大学を卒業後、NTT研究所にご入社し、暗号技術の研究開発を担当されました。そして、NTTコミュニケーションズで経営企画部新規事業担当にご就任。その後、KLab株式会社に入社し、社長直轄となる新規事業開発部にてプロダクト部長をお務めになります。さらに、楽天トラベル社長室に勤務し、データ分析と事業戦略を担当。そちらでは、三木谷さんと一緒に業務改善を行っていらっしゃいました。そして株式会社gambaを創業され、「日本最大級の日報アプリ」を運営する会社経営をされています。本日はよろしくお願いします。

森田昌宏:よろしくお願いします。

新谷哲:最初のご質問です。ご出身は愛知県とのことですが、小学校・中学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

森田昌宏:小学校・中学校時代は、目立たない地味な子供で、物を作る事が好きでした。また、当時、NECのPC-8000と言うパソコンが発売され、夢中になりました。それが、今のエンジニアの道に繋がったきっかけだと感じています。

新谷哲:当時はNECの66シリーズ、60シリーズ、80シリーズ、98シリーズなどが発売され、パソコンの草創期、黎明期時代でしたね。

森田昌宏:まさにそんな時代です!

新谷哲:高校も愛知県ですか?

森田昌宏:はい。

新谷哲:高校時代の思い出はございますか?

森田昌宏:高校に入り、親父がPC-9800と言う、当時16bitの高価なパソコンを奮発して買ってくれました。その為、高校時代はずっとパソコンをいじっていました。

新谷哲:プログラミングなどもされていましたか?

森田昌宏:はい。当時はまだ慣れていませんでしたが、C言語のコンパイラをなんとか手に入れ、雑誌についている物を片端から打ち込んでいました。

新谷哲:独自のゲーム作りなどもされましたか?

森田昌宏:ゲームより、使い勝手を上げるツールを沢山作っていました。

新谷哲:今の日報アプリに通ずる部分が当時よりあったのですね!

森田昌宏:そんな気がします。

新谷哲:その後、北陸先端科学技術大学院大学に進学されます。選ばれた理由はございますか?

森田昌宏:北陸先端科学技術大学院大学の前に、名古屋工業大学に進学をしました。名古屋工業大学では、コンピュータに関しての専門の学部は無く、自分には合わないと感じていました。そんな時、北陸先端科学技術大学院大学という、飛び級でも良い情報系の専門の大学院があると知り、1年飛び級で入学することにしました。

新谷哲:コンピュータ系の道に突き進みたいと感じたのですね。大学院時代の思い出はございますか?

森田昌宏:ひたすらプログラムを組み、それだけで1日が終わっていた事も多かったです。様々なツールの作成や、ボランティアでネットワークの管理者になり、設備管理などしていました。

新谷哲:本当にパソコンがお好きだったのですね。

森田昌宏:はい。それ以外ではスキーをしていたくらいです。

新谷哲:卒業後、NTT研究所に就職されます。なかなか入る事の出来ない難関ですが、選ばれた理由はございますか?

森田昌宏:大学の研究室で論文を書いて終わるのではなく、自分が考え、作った物を形にし、世に出したい。そして、お客さんに実際に使って頂き、「これいいね!」と言って頂ける、そんな仕事に就きたいと考えていたからです。その為には、企業の研究所が近いのでは?と思い選びました。

新谷哲:NTT研究所での思い出はございますか?

森田昌宏:NTT研究所の仕事は、私の考えていたものではありませんでした。自分でプログラムを書くのではなく、外注業者に仕事を依頼し、プロジェクトをマネジメントする側に立つ事が多く、歯がゆい思いをしました。「もっとお客さんに近い仕事がしたい」と要望を出し、5~6年後にNTTコミュニケーションズに異動となりました。

新谷哲:NTTコミュニケーションズでは新規事業をなさっていたのですか?

森田昌宏:はい。私がNTTコミュニケーションズの経営企画に移った時は、Yahoo! BBなどのブロードバンド回線が出始めた時期でした。NTTでは、OCNをブロードバンドにして、アッカ・ネットワークスなどのADSL回線の企画をしていました。それを何に使うか?コンテンツはどうするか?どのように広めお客様に認知してもらうか?など、今の当たり前が当時は最新だったので、受け入れていただけるよう一生懸命考えていました。

新谷哲:その後、KLab株式会社に移られますが、理由はございますか?

森田昌宏:当時、携帯のiモードなどのコンテンツや、サイバード、DeNAの様なベンチャー企業が多数出て「そっちに行ったら面白い仕事ができるのでは?」と思い転職活動を始めます。すると、KLab株式会社の創業者である真田哲弥さんが「だったらうちにおいでよ」と言ってくださり、思い切って転職をする事に決めました。

新谷哲:KLab株式会社でも、新規事業の立ち上げをご担当されましたか?

森田昌宏:はい。様々な経験をさせていただきました。法人向けブロードバンド、携帯を絡めたソリューション事業の立ち上げや、メール配信サーバー、ウェブサイト、iモードサイトを簡単に立ち上げる為のツールなどの企画、開発、販売、マーケティングと多岐にわたります。

新谷哲:印象に残る思い出はございますか?

森田昌宏:KLab株式会社の仕事は、サラリーマン時代の中で一番楽しかったです。エンジニアの方が、いろんな物を作ってくれるので、それを「どの様な形にしてお客様に届けるか?」など本当に沢山の議論をして製品を作り上げていきました。

新谷哲:その後、楽天トラベルに移られますが、理由はございますか?

森田昌宏: KLabの上司が楽天に転職し、「お前もおいでよ!」と誘われました。「もっと違うことができるかもしれない」と思い転職を決めました。

新谷哲:楽天トラベルでは、データ分析と事業戦略の立案を担当されたと伺いました。具体的にどのような事をされましたか?

森田昌宏:楽天トラベルでは、様々なデータを駆使し、どのように全体の売上を上げるか?などを取り組んでいました。例えば、国内、海外の予約状況により、一ヶ月先・半年先の予約の予測を組み立て、計算するなどしていました。また、ホテルは日にち、部屋ごとに料金は全て違います。その料金をどのようにデータを用いて計算するか?や、どのような価格設定をすると売り上げが伸びるか?などを作りこんでいました。データ分析をしていた経験は、今の日報アプリにも繋がっています。

新谷哲:では、現在のホテルの価格が変動するシステムは、森田昌宏社長が作られたと言う事ですか?

森田昌宏:私だけではありませんが、計算しやすいものへ出来るよう取り組みました。オンラインの旅行事業では、楽天トラベルだけで国内の10%ほどのシェアがあります。その為、楽天トラベルのデータだけでほとんどの予測ができるのです。そうして、作ったものをホテル側に販売していました。

新谷哲:楽天株式会社の創業者である三木谷さんと一緒にお仕事をされていますが、どういう方でしたか?

森田昌宏:なかなかおっかない人でした(笑)。例えば、どうしても今日中に重要な資料を確認していただければならないとします。三木谷さんは、朝7時頃に出勤をするので、その時間に合わせ車寄せまで行き、社長室に上がるエレベータの中で、ものの数分の間に説明をし、了承を得るなんて言う事もあります。当時の三木谷さんは、40個位の事業を見ていらっしゃいました。その為、一つ一つの案件に関わる時間は本当にわずかで、その中でどうコミュニケーションをとるかが非常に大変でした。

新谷哲:本当の大企業ですね!その後、株式会社gambaを創業されましたが、独立のきっかけはございますか?

森田昌宏:様々なネット業界を見てきて、最後は自分で経営者をやりたいと考えていました。楽天にいた時に、こんなものがあったら便利だろうと思い作ったものがあります。楽天では幹部クラスになると、ほぼ一週間、朝から晩まで定例ミーティングで埋まると言う事が良くありました。では、そのミーティングでどのような事を話し合われているのか?と言うと、ほとんどが進捗確認で、かなりの時間が浪費されていたのです。皆ノートパソコンを開きメールを書き、自分の番になると喋りだすといった状況でした。このようなミーティングに意味はあるのか?と感じ、改善するツールを作り始めました。それが、現在のgamba!の前身です。当時は機能も低水準でしたが、デモのアプリを作り改良を重ねていきました。

新谷哲:そのプログラミングされたアプリが動き始めたことをきっかけに、独立を考えたのですか?

森田昌宏:最初は、このアプリで行けるという自信はありませんでした。色んな方に実際に使って頂き、お話を聞く中で、株式会社サムライインキュベートの榊原健太郎さんとの出会いがありました。そこで、私の構想をお話したところ、「じゃあやってみようよ!」と言って頂き、とんとん拍子に話は進みました。2012年の6月~7月頃にお話しをして、2012年の11月頃には会社を創業する事になりました。

新谷哲:榊原健太郎さんとの出会いが独立のきっかけだったのですね。ご存知ない方もいらっしゃると思うので、補足します。株式会社サムライインキュベートの榊原健太郎さんは、VCの中でも少し特異なVCです。本当のハンズオンで、場合によりオフィスの提供をして、自分も会議に参加されたりする様なVCを運営されています。フジテレビと組んでお仕事をされたり、最近はイスラエルに住むとか住まないとかって話を聞きました。

森田昌宏:イスラエルはもう立ち上がって、現地の部隊に任せているようです。

新谷哲:私がお会いしたのは10年ほど前ですが、現在は戻っていらっしゃるのですね! 榊原さんの出会いから株式会社gambaを創業され、苦労などございましたか?

森田昌宏:「とにかく面白いものができたからやってみよう!」と勢いで起業したため、経営について分からないことも多く、非常に苦労しました。

新谷哲:どのような苦労がありましたか?

森田昌宏:まずお金の話から始まり、採用、広告などです。また、開発も非常に苦労しました。まとまった形での開発は経験が無く、どのようにマネジメントすればよいかも分かりませんでした。とにかくイベントがあれば顔を出し、「使ってみてください!」とアピールし、コードを作り、なんとかユーザーを集めていきました。

新谷哲:株式会社gambaを創業し、学ばれたことはございますか?

森田昌宏:全てが学びでした。どのように物ができていくか?お客様は何を求めているか?など、経験をしながら学んでいきました。

新谷哲:ありがとうございます。よろしければ、株式会社gambaの事業内容をご説明いただけますか?

森田昌宏:私たちは、日報共有アプリ「gamba!」の提供をしています。文字通り日報を書いて共有するためのアプリです。皆さん会社を育てるために、どのような取り組みをされているでしょうか?お仕事をされる中で、計画通りにうまくいくこともあれば、うまくいかなない事もあります。どんな状況でも、仕事がうまくいく状態をいかに増やしていくか?が、会社を育てるために一番重要です。日報というのは、うまくいかなかったこと、うまくいったことの要因を皆で共有し、うまくいく状態を増やしていくためのツールだと思っています。日々の活動を日報に書き、それに対し皆でコミュニケーションをとったり、社長がフィードバックを返したりして、会社をより良くしていくための仕組み作りができます。そんな仕組み作りを、如何にやりやすいコミュニケーションツールに仕上げるか?を追求しているところです。

新谷哲:お教えいただきありがとうございます。ここからは違う質問をいたします。事前に好きなもの、好きなことをお聞きして「プログラムを書くこと、海外旅行一人旅、ひとりで飲み歩き、キックボクシング(空手黒帯)」とお答えいただきました。お一人で過ごす事がお好きですか?

森田昌宏:はい。あまり人とつるんでどこかに行くことはしません。

新谷哲:私も一人酒は好きです。部下たちに、「飲み行きたい人~?」と言うと皆に断られます(笑)お一人で飲み歩くのが好きな理由はございますか?

森田昌宏:たまたま隣に座った人とお話をすることが好きです。旅にも共通していますが、その行った先でどの様な人がいるのか?という事にとても興味があります。去年、香港に行った時に、たまたま同じドミトリーに泊まった方と意気投合し、マカオに一緒に行きました。予想だにしない突然の出会いや出来事が好きです。

新谷哲:まさに起業家、創業家のお考えです!次の質問にまいります。座右の銘をお聞きして「好きの力を信じる」とお答えいただきました。こちらを選ばれた理由ございますか?

森田昌宏:弊社では、「笑顔で働く人を増やす」という企業理念を掲げています。嫌いな仕事、苦手な仕事で、成果を出すのはとても難しいことです。最大限、社員皆の仕事が、その人にとって好きな仕事、得意な仕事だけで構成される会社にしていきたいと考えています。例えば、私はプログラムが好きですが、絶対に嫌だと言う人もいます。好きな仕事であれば、そのうち得意になる可能性が高く効率的です。弊社の採用では、その仕事が好か?と言う事を多角的に見極めます。そして、徹底的に「好き」を追求してもらう環境作りを整備しています。

新谷哲:ありがとうございます。次が最後のご質問です。全国の経営者これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。

森田昌宏:成功したとは全然思っておりません。会社の規模、売上の状況から考えてもまだまだです。私は、会社としても、個人としてもやりたい事がたくさんあり、それを成し遂げていく事が大切だと考えています。現在コロナの状況で、オフィスを半分に減らし、ダウンサイジングをしました。もし、これが上手くいったら例えば、海外で仕事をしてみたいと思っています。やってない事をどんどん形にしていきたい。その一つの、山を乗り越えてきたところです。

新谷哲:森田昌宏社長、本日はどうもありがとうございました。

森田昌宏:ありがとうございました。

編集後記

今回は森田昌宏社長でした。小中学生時代のパソコンのお話はとてもなつかしいです。当時からプログラミングができるほど優秀であればどんな事業にでも携われ創業、起業まで行かれるでしょう。そして、時代に適応するという事も成功する上での要因だと思います。ご興味のある方は是非、日報共有アプリ「gamba!」をお使いになられて生産性向上に繋げていかれてはいかがでしょうか?

森田昌宏氏
株式会社gamba 代表取締役社長

愛知県出身。小学生時代からパソコンに魅了され、北陸先端科学技術大学院大学に入学。
卒業後、NTT研究所に入社し、暗号技術の研究開発を担当。その後、NTTコミュニケーションズで経営企画部新規事業担当に就任。その後、KLab株式会社に入社し、社長直轄となる新規事業開発部にてプロダクト部長を務める。その後、楽天トラベル社長室に勤務し、データ分析と事業戦略を担当。そして2012年に株式会社gambaを創業され、累計15,000社を超える企業が活用する「日本最大級の日報アプリ」を運営する会社へと成長させる。

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本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、森田昌宏氏(株式会社gamba 代表取締役社長)の経営者インタビューを取り上げました。

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