成功経営者インタビュー

SRCS International社 代表 佐々木 扶美 氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、佐々木 扶美 氏(SRCS International社 代表)です。(2017年9月20日 2017年9月27日 配信)

今回は、タイのバンコクにて金融業を中心に事業展開される、SRCS International 経営者の佐々木扶美氏にお越しいただきました!幼い頃は「普通にしていなさい」と言われることに疑問を持っていたという佐々木扶美氏。タイを訪れた際に、働く人々が、心の底から豊かに笑っている姿に感銘を受けたことがきっかけで、タイに移住、結婚、創業を実現されました。異国の地で、ひとりの経営者として、母として、笑顔で前向きに活躍する佐々木扶美氏は、多くの女性経営者にとってまさに理想の姿。お話を聞くと、パワフルに前進しつづけるその秘密が得られるかと存じます!

新谷哲:今回の経営者インタビューは、タイにお住いの女性経営者、佐々木扶美社長です。まずは経歴のほうをご紹介させていただきます。女子学院高校を卒業後、津田塾大学にご入学。津田塾大学を卒業後、2003年タイに渡られ、金融事業を中心に事業経営をしていらっしゃいます。ちなみに、タイの王族の方とご結婚もされていらっしゃいます。本日はよろしくお願いします。

佐々木扶美:お願いします。

新谷哲:それでは、最初のご質問ですが、ご出身は神奈川県でしょうか?

佐々木扶美:はい。

新谷哲:小学校・中学校時代は、どんな幼少期をお過ごしになりましたか?

佐々木扶美:自由な子だったので、やりたいようにやって周りから目立っていました(笑)。よく「普通にしていなさい」って言われていたのですが、どうやったら普通に暮らせるのか、と思いながら暮らしていました。

新谷哲:今の佐々木扶美社長と全く変わらないですね(笑)。先生から怒られなかったのですか?

佐々木扶美:成績が良かったので、それが免罪符になってあまり先生からは怒られなかったです。でも近所の人にはよく怒られていました。

新谷哲:高校は女子御三家の1つ、女子学院高校に進まれていますが、選ばれた理由はございますか?

佐々木扶美:私はルールや規則がすごく苦手なので、自由な校風に惹かれました。女子学院は、一応4つしか校則がなく、皆さん自立しているところに本当に惹かれました。

新谷哲:大学は津田塾に行かれていますが、こちらは選ばれた理由はございますか?

佐々木扶美:中学2年生の時にアメリカにホームステイをしてから、アメリカの大学に行きたくてずっと準備をしていました。でも家族から「アメリカに行くのは駄目だ。日本の大学を出なさい」と反対されたので、学校から推薦を頂いて大学に行きました、ですので、私が選んだというよりは、偶然、津田塾が選ばれたという感じです。

新谷哲:東大などに行かれたご友人は多いと思いますが、東大などを受験しようとは考えなかったのですか?

佐々木扶美:アメリカの大学を受けるつもりだったので、日本の大学にその時全く興味がありませんでした。受験勉強も一切しなかったので、全く考えていませんでした。

新谷哲:なるほど。佐々木扶美社長らしい自由な感じですね。大学卒業後は、航空関連の会社に新卒で入られたとお聞きしておりますが、こちらを選んだ理由は何ございますか?

佐々木扶美:実務経験を積みたいと思い選びました。全日空系のグループの会社なのですが、業務を実務部隊でやっているところだったので、すごく面白いと思いまして入りました。

新谷哲:タイに2003年に行かれていますが、きっかけはございますか?

佐々木扶美:入社して3年目か4年目だったと思うのですが、お休みを取ってタイに行きました。旅行関係者ということで素敵なホテルに泊まらせていただいたのですが、タイのホスピタリティを見た時に、「本当のホスピタリティは何か」と感じました。日系のホスピタリティは質が高いと言われますが、自分をすり減らして、どこまでサービスを提供できるかという部分があります。私も同じく、毎日徹夜だったり終電だったりという中で、どこまでお客様に笑顔を見せられるか、自分を切り詰めてサービスできるか、ということに疑問を感じました。

私は「それが本当のホスピタリティなのか」と疑問をもって働いていては、長く続けることはできないと思っていました。そんなときにタイに行き、タイの人たちが心の底から楽しそうに仕事をする姿をみて、「これが真のホスピタリティの姿なのではないか」とすごく惹かれました。そこで会社を退職して、向こうでオープンするホテルに就職をするという形でタイに移りました。

新谷哲:なるほど。タイに移るのに、ご家族のご反対とかはなかったのですか?

佐々木扶美:もちろんもう大反対です(笑)。親からは「なぜアメリカとかヨーロッパじゃないんだ。何でタイになんだ。どうしてアジアの新興国に行かなくてはいけないんだ」とかなり反対されました。

新谷哲:どのように説得されたのですか?

佐々木扶美:説得というよりは、強行突破で行きました(笑)。もう社会人でしたので、親が何か言う前に就職先を決め、会社も辞めて就職先も決めてタイにいきました。

新谷哲:そこら辺も自由ですね(笑)。今はタイで創業して経営者をしていらっしゃいますが、創業のきっかけはございますか?

佐々木扶美:ホテルのオープンを行った後、ビーチリゾートからバンコクの近郊に移り、日系の金融の会社に勤めました。その後、結婚をして子どもを産んだタイミングで、会社に勤めるのか、自分で会社を経営するのかを考えました。私は郊外に住んでいましたが、大体、会社というのは中心部にあります。通勤時間も含めて、私はお母さんになって仕事と両立してやっていけるのかを考え、子どもを中心に生活を組んでいこうと思い、起業・独立をすることを選びました。

新谷哲:お聞きしていると、海外に住み、子育てをしながら起業・独立するという、日本の女性の理想像を実現されていますね。タイで行っている事業は、どのようなものでしょうか?

佐々木扶美:1つは、日本の投資家がタイに投資をされる際、お手伝いをさせていただいております。日本語ができるタイ人のスタッフがおりますので、基本的には日本語でサポートができるようにしています。しかし気をつけないと「外国の人にはあまり良くない投資案件を勧め、目先の手数料で稼げば良い」という考え方になります。なので、基本的にはタイの人達がやる良い案件を皆様にお届けすること、売り買いの最後まで責任を持つというサポートすることにしています。

2つ目は、中小企業のタイ進出のご支援。うちは大企業はやらないので、中小企業がタイに進出される際に日本とタイの双方のためになる、双方の社会のためになるのであれば、どんな業種でもお手伝いをします。

3つ目は、地方創生に関わるような部分。地方自治体とタイを直接繋いで、タイから地方を元気にするお手伝いです。今ご縁がありますのは、北から言うと北海道、小樽、熊本、長崎などの事業体、あるいは自治体と組んでプロジェクトを進めております。

新谷哲:熊本産の材料・資材で和室をタイに作る、ということも手伝いなさったとお聞きしていますが、これはどういう縁で始められたのですか??

佐々木扶美:今のタイでは、日本がトレンドなのです。食でも洋服でも文化でもアニメでも旅行でも何でも、タイの人は日本のものが大好きなので、住宅でもそのトレンドがきています。タイの開発業者が日本スタイルの住宅を作っていて、日本よりも日本らしい和室があったり、畳のお部屋がいっぱいあったり、木がふんだんに使われているような住宅が今のトレンドになっています。

しかし、品質があまり良くないという問題もあります。そこで、自分達が扱う住宅のプロジェクトでは、日本のきちんとした品質のもの、そしてタイの高齢化に向けてバリアフリーの住宅を作る方針にし、ファンドをちょうど組んでいる時に熊本で地震がありました。いくつか支援をさせていただきましたが、寄付金などは長く続かないので、何か直接的に関わって復興支援をしたいという思いで、お話をしました。それで、熊本県の林業振興課の方々と一緒に、パッケージとして熊本の木材、あとは井草などを取り入れた住宅をタイで作りましょうというご縁です。

新谷哲:熊本県と一緒に事業を行う感じですね。

佐々木扶美:そうですね。

新谷哲:創業されて、経営者として何か苦労されたことはございますか?

佐々木扶美:私は雇われることが得意でなかったので、独立・起業をしたことで、精神的ストレスがなくやっています。けれども、外国人がタイで起業したという部分では、信頼できる知り合いがいないことで苦労しました。信頼できる人達と知り合い、一緒に仕事ができるようになるまでに、5年~7年かかっています。その間には本当にいろいろトラブルもありました。タイの人達はすごくいつも笑顔で前向きでハングリーなので、一緒に仕事をしていて学ぶことが多いのです。けれども、のんびりし過ぎているような人も、約束を守らないみたいな人もいました。今は、取引先や関係会社の皆さん本当に信頼できるところとしかお仕事をしていないので、ここ数年は常に心地良くお仕事ができるような状態にはなりましたが、そこにくるまでは、もう夜中も腹が立って寝られない夜もありました。

ただ、女性経営者という意味では、多分、日本の皆さんのほうが苦労されています。タイは女性経営者、大企業でも女性の幹部はすごく多いので、その苦労はなく、すごくやりやすくやってきました。

新谷哲:タイは女性経営者が多いのですか?

佐々木扶美:多いです。一時期首相も女性だった時もあります。

新谷哲:ところで、好きなものに「海、桃、子ども」、好きなことに「寝ること、旅、新しいことを知ること、人に会うことということ」とお答えいただきました。佐々木扶美社長らしいお答えなのですが、人と会うのはそんなにお好きなのですか?

佐々木扶美:人と会うことは大好きです。タイにいる時も視察にいらしていただいたり、日本にいる時もいろんな方々とお会いしました。1日に多い時だと7件も8件もアポイントがありました。でも、基本的に好きな方としかお会いしていないので、私のキーは大好きで信頼できる人とだけ仕事をすることです。プライベートはもちろんですけど。

新谷哲:素晴らしいですね。座右の銘は、「いつも真摯に豊かさとともに」。佐々木扶美社長らしい座右の銘なのですが、この言葉を座右の銘にされた理由はございますか?

佐々木扶美:すみません。あまり座右の銘を考えたことがなかったので、今回聞かれてちょっと思いついたものを書きました(笑)。ただ、常に毎日真摯に誠実にいるということは、今までもずっと心がけてきました。特に今は、日本で法人を立ち上げる準備もしています。新しいことをいつもやってきたので、いろいろ難しいことにぶち当たることもありますし、後から考えればもっと良い道が本当はあったな、と振り返れば思うことはありますが、その時その時、試行錯誤をしながら真摯に一番良い道を進んでいくというところをするしかないのだと感じています。

新谷哲:真面目な佐々木扶美社長の一面が出てきて、ちょっとびっくりしています(笑)。最後の質問なのですが、全国の経営者向け、これから起業する方に向けて経営者として成功する秘訣・方法を、お教えいただけないでしょうか?

佐々木扶美:まだ私は経営者としては成功していないと思いますが、自分が心がけていることは、自分というものが何を基軸に生きているか、ということ。起業は、「社会に対して何をしたいか」ということが始まると思うので、そこを常に見つめること。それが社会を変えていくということだと思います。

サラリーマンでもできることはたくさんありますが、1人ひとりの方々が、毎日何のために生きて、何のためにどういう行動するかということ考え、希望を持ちながら先の明るい未来を見ながら動いていくという積み重ねが、社会を変えていくのだなと思っています。ぜひ、一緒に変えていきましょう。

新谷哲:なるほど。成功の秘訣というよりは、ご一緒にということですので、是非、皆様方もご一緒に社会を佐々木扶美社長とご一緒に変えていっていただければと思います。佐々木扶美社長、本日はどうもありがとうございました。

佐々木扶美:ありがとうございました。

編集後記

佐々木扶美社長は昔から存じ上げておりますが、本当に自由ですね(笑)。でも、最後には大変真面目なことをお話しされてびっくりしました。社会のためというのは、テーマの1つでございます。経営者の皆様方も、社会のために起業されたのではないかと思います。佐々木扶美社長はお若いのにしっかりされています。子育てもしながら経営者をされ、タイと日本を行ったり来たりしている。皆様の憧れる経営者なのではないでしょうか。是非ご参考にしていただければと思います。

佐々木 扶美 氏
SRCS International社代表

津田塾大学卒業。2004年タイへ渡り、バンコクでの日系金融会社勤務などを経て現在に至る。現在は不動産運営管理会社、資産運用・税務コンサルティングを行う会社を各1社経営する。

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本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、佐々木 扶美 氏(SRCS International社 代表)の経営者インタビューを取り上げました。

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