本コーナーでは、経営者、社長、後継経営者、起業予定者などから頂戴する会社経営に関するご相談に対して、WizBiz株式会社の代表であり、経営コンサルタントである新谷哲が独自の視点で経営上のアドバイスや解決方法をご提示いたします。なお、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の「3分コンサルティング」を編集して掲載しております。
相談内容:「息子に会社を継いでもらうためのよい手立てはありますか?」
- 相談者:Y社様
- 業 種:メーカー
引退をして息子に会社を譲ろうと思い始めていた矢先に、「別会社を作って自分で仕事をしたい」と切り出されました。聞けば数年前より「社長になってもジリ貧の先行きしか見えない。うちの会社はもうダメだ」と思っていたそうです。確かに、ここ10年はじりじりと売上を下げており、利益はトントンがいいところで赤字が続いています。引き止めようにも言葉が出ず、「1回預からせてくれ」と言うのが精一杯でした。どうにか息子を引き止める手立てはないものでしょうか。
ご相談者へ回答(回答者:新谷 哲)
親子関係は難しいですね。結論から申しますと、息子さんが別会社を作って仕事をしたいと言っている以上は、継いで頂くことは難しいでしょう。先日も、知人のお父様が息子さんに会社を継がせようと考えていたそうですが、思うようにはいかず会社を整理してしまったという話を伺いました。多くの場合、ご子息が会社を継ぎたがらないのには明確な理由が存在します。ですから、その理由を解消することができれば、結果は変わってくるかもしれません。
会社を継ぎたがらない理由としては、Y社様の息子さんも仰っている通り「儲かっていないから」が一番多いです。仮に社長様が、儲けが多く未来のある良い企業を作ったならば、きっと息子さんもそれ以外の方も継ぎたがるでしょう。また、M&Aで高く売却するという選択肢も生まれます。どうしても会社を継がせたいとお考えならば、まずは業績を良くし、息子さんが働きたいと思うような会社にすることが最優先です。
しかし、世の中には儲かっていない会社を継ぎ、成功をされている社長様もいます。
大企業のサラリーマンとして出世街道に乗っていたA様という方のお話なのですが、お父様が急に亡くなられてしまったので、決算書を確認するために会社の金庫へ向いました。中を開けると、とても悪い業績だったのですが、その場で経理の方に腕を掴まれ「どうにかしてください、逃げないでください」と涙ながらに引き止められたそうです。さらに、葬儀の最中に金融機関の支店長がいらして「息子さんが会社を継いでくださるのでしょう?」と詰められ、しぶしぶ年商よりも借金が多い会社を継がれることになります。こうしてやるしかない状況まで追い詰められたA様は、奥様と数百日分の日めくりカレンダーを作り「これでダメだったら心中しよう」と覚悟を固め、事業立て直しに邁進されます。その後、無借金経営までもっていき大成功をされたということです。
またある有名な建設関連企業のB様という方の場合は、お父様の死後に経営をされていた3社の財務状況を確認したところ、資金繰りが全く回っていなかったのですが「俺がなんとかしよう」と覚悟を決められたそうです。そうして、無借金経営の優良企業にまで成長をさせていらっしゃいます。
会社を経営するには覚悟が必要です。どのような会社を継ぐにせよ「自分がなんとかする!」という覚悟が無ければ、成功しません。昔、日本酒メーカー獺祭の桜井博志会長は「社長は育てられない。社長は勝手に育つ」と仰っていました。私も大変共感しています。ご息子がその覚悟を持てないようならば、プランを立て直し他の承継者を探すことや、M&Aでの売却、社長様の代で会社を清算することを視野に入れた方がよいと思います。ご希望がございましたら無料でオンライン経営相談も行っていますので、ぜひお声がけください。
新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長
1971年 東京生まれ。大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。銀行、信用金庫の融資開拓コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年に独立し、WizBiz株式会社を設立。現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。日本国内では、経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年間300回以上のセミナーを開催し、年間4000名を越す経営者が参加。その集客力は、各方面からも注目を集めている。
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本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の3分コンサルティング経営者の課題解決!「息子に会社を継いでもらうには?」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
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