本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。(2017年1月11日、1月18日 配信)
今回、ご紹介する経営者は、ネットストラテジーの代表取締役、平野敦士カール氏です。ベストセラー「プラットフォーム戦略」の著書であり、「ビジネス集中講義シリーズ」など、経営者必読の本を多く執筆されています。そんな平野敦士カール氏の生の声が聴けるインタビューは、経営者の皆様にとって多くのヒントを得ていただけることでしょう。
新谷哲:私たちは全国19万人を超える経営者向けに情報発信をしている、経営者向けネットメディアを運営しています。常日頃、経営者様とお会いすると「経営者は孤独だ」、「経営者は悶々と悩むもの」、「どう決断すればいいか経営者として悩む」といった声が多く聞かれます。
その答えを出すために、経営者のインタビューをお届けすることで一助となればと思い、この番組を始めました。多くの経営者様、経営者を目指す方、役員幹部の皆様にお聞きいただき、社長業とは何かを考えてほしいと思っております。
1回目は、私が大変尊敬している平野敦士カール氏です。本日はよろしくお願いいたします。
平野敦士カール:はい、よろしくお願いいたします。
新谷哲:まずは、平野敦士カール氏の経歴をご紹介させていただきます。平野敦士カール氏は東大経済学部を卒業後、日本興業銀行にお勤めになられ、その後NTTドコモに移られ、iモード企画部担当部長として、iモードを立ち上げられました。
その後、ハーバードビジネススクール教授陣と株式会社ネットストラテジーを創業し、かの有名な「プラットフォーム戦略」を執筆なさった先生が平野敦士カール氏です。それではまずご質問をさせていただきます。
ご経歴からですが、麻布高校、東大から通常だと官僚などを目指されるのではないかなと思ったのですが、何か日本興業銀行にご入行された理由はございますか?
平野敦士カール:先々週亡くなられたのですが、大学で貝塚啓明さんという東大名誉教授のゼミに入っておりまして、その方が金融財政の日本の大家だったのです。そういう意味では金融論をずっと大学の時から勉強しておりましたので、金融に行こうかなと思いました。
同じ私のゼミの同期が14人ぐらいいるのですが、うち11人が金融に行きまして、興銀も3名ですかね。あと日銀とか、他も銀行が多かったのです。それがあって、興銀に入社しました。当時は「天下の興銀」と言われていましたので、興銀に行ったという経緯でございますね。
新谷哲:じゃあ、金融分野で活躍しようというのが、一番だったということですね?
平野敦士カール:正直に言うと、あんまりよくわかっていなかったですね。
新谷哲:そうなのですか。
平野敦士カール:何がやりたいのかなというのもあまりなくて、何となく就職をしなければいけないと。初めは大学院に行くことも考えたのですが、一旦はちょっと世の中を見てみようと思い、何か特定の業種に絞るということができなかったのです。もちろんその時に、銀行以外にもJALさんとかも受けたのです。結局JALさんは組合が強すぎるということでやめて。
ただ夢があったので、私自身はJALに行きたかったのです。でも最終的には興銀が一番いろんなことができるのはないかと思いました。特に、業を興すというか、興業銀行ですので、何か産業を興すというところに非常に魅力を感じて、興銀マンになりました。
新谷哲:ありがとうございます。その後、興銀を辞められて、NTTドコモのほうに移られてiモードの立ち上げをしておられますが、何か興銀を辞められた理由ございますか?
平野敦士カール:そうですね。興銀では、主にプロジェクトファイナンス、投資銀行業務ですね。それから国際業務の本部に長くおりましたので、ずっと本店におりました。最後は、大蔵省関係の仕事も携わらせていただきました。そういう中で非常に停滞している状況がありました。ある程度新しいことをやりたいなと思って。正直に言いますと、当時アメリカも、某有名投資銀行のほうに内々定をいただいていたのです。ただドコモが、ちょうど公募だったのです。全くの公募で人を募集しているということだったので、当時まだ携帯電話というのが普及し始めた間もない時だったのです。ちょっと金融はもうある程度自分の中ではやり尽くしたなと思いまして。大体7年ぐらいやると飽きてしまう性格なのです。ちょうど14年近くおりましたので、じゃあ何か違うもうひとつ、自分のメジャーというか、専攻を見つけたいなと考えました。それを掛け合わせると面白いことができるのではないかなと思いまして、あえてドコモに行きました。
ただ、たまたま初めは投資を担当する部署にいまして、ほとんど新しい「経営企画部」というところがあったのですけど、そこからちょうど分かれたばかりの投資などを担当する部署に行きました。ちょうどiモードが2月。私が1999年の5月にドコモに入りました。iモードが始まって3か月ぐらいですかね。ですから立ち上げというよりは、なかなか立ち上がらなかったのです。その時に初めは投資という形でお手伝いをして、その後iモード企画部のほうに移りまして、担当部長ということでおサイフケータイの普及とか、あるいはベンチャーへの投資などもやっておりました。
新谷哲:ちょっと前のお話しに戻りますが、MOF担だったということですが?
平野敦士カール:MOF担とは言っちゃいけないことになっているのです。
新谷哲:大変失礼いたしました。
平野敦士カール:今は財務省、当時の大蔵省のほうが、金融庁ですかね。銀行の不良債権の査定を行っておりまして。国内部隊が一応MOF担というのがおり、投資銀行グループというのがありまして。M&Aとか、プロジェクトファイナンスとか。そういった部隊の全体の取りまとめを担当常務と2人で担当しまして、それをまとめて大蔵省に出すという形の担当でした。
新谷哲:通常、銀行で考えると、いわゆる大蔵省担当部門ということは頭取候補だったはずですが。
平野敦士カール:そういう人もいたのだと思います。ただ、私の知り合いはほとんど皆、辞めちゃいましたね。
新谷哲:そうですか。
平野敦士カール:実態がわかるのですよね。不良債権がこんなにあるのかというので。私の知り合いの優秀な方も、先輩なんかもMOF担だったのですが、皆さんお辞めになりました。大学では文学部日本文学科で、古典とかを勉強したり、あるいは幸福論。人はどうしたら幸せになれるか、幸福論のゼミをやったり、それから戦後文学ですね。もういろいろやりました。大学に行くというよりもバイトしに行っていたような感じでもあります。
新谷哲:私も銀行コンサルタント出身なので、ついついお聞きしたくなってしまいましたが、元に戻します。iモードのほうをもうちょっとだけお教えいただきたいなと思います。iモードの開発をやられたのは何年ぐらいのお話しですか?
平野敦士カール:1999年の5月に入社をいたしまして、初めは企画部隊におりました。その後iモードと一緒にという部隊があり、そこと一緒に、iモード成長戦略というのを作成するプロジェクトチームがあったのです。それはボストンコンサルティングさんと一緒にやっていたのです。6~7人ぐらいのグループで。そこで例えば会員が1,000万人いたら広告をやろうとか、そういう形でやっていました。
初めは100万人いたらやろうという話だったのですが、結局できたのは1,000万人いった時になっちゃったのです。例えば電通さんと一緒に会社を作ったりとか、あるいは、いろんな会社に投資をしたりとかいうところからiモードには絡んできて、途中で1年半ぐらいしたところでiモードのほうに移って、iモード自体の成長戦略の企画を行ったということです。
新谷哲:iモードの開発というか、商品開発をされていらっしゃって、時代を感じたり、未来を感じたりとか、いろいろと感じられたことは覚えていらっしゃいますか?
平野敦士カール:まさに「プラットフォーム戦略」に出てくる話なのです。当時は「ポータル」なんて言い方をしていたと思うのですが、1番最初はiモードが出た時に公式サイトというのはあんまり数がなかったのです。
お願いに行って、何とか出してもらうという形だったのですが、ほとんど無料で皆さんやっていただいたのです。その時、やっぱりこのリスクを一緒に取ってくれる企業、これをいかにその方々に成功してもらうかと思いました。
これがやっぱり一番重要だなということを、そこですごく学びました。
その後、おサイフケータイが出た時にも、その普及を担当したのですが、初めはほとんど断られました。ところが先方様の、例えばローソンさんだと当時新浪さんがまだ社長でしたので、非常に親しくさせていただいていたので、最終的にはもう泣き落としでお願いをしたという感じだったのです。しかし、先方にも使われるかどうかわからないものにも投資していただく訳ですから、お互いにリスクをシェアするという形です。
必ず成功させましょうという形での一体感みたいなのが、会社を越えて行うということの楽しさと大変さと両方を経験した感じがしますね。まさに、プラットフォーム戦略だったと思いますね。
新谷哲:その後、かの有名な「プラットフォーム戦略」を著者として書かれていますが、きっかけは何かあるのですか?
平野敦士カール:もともとその前に著者デビューというのはたまたま…。バンダイナムコの社長、大下さんという方と親しくさせていただいていて。辞めた後、その方とたまたまお食事のランチをしました。「昨日出版社の社長とゴルフだったんですよ」という話をされたので「平野さん、本を書けばいいじゃない」と言われたのがきっかけです。
おサイフケータイを作ったクレジット事業というのは、僕が発案をしたので。今はiDという名前になっていますが「そういう話を書いたら面白いんじゃない?」と言われました。今は会長ですが、当時ゴマブックスの社長だった嬉野(うれしの)さんをご紹介いただいたのです。初めに「アライアンス仕事術」という本を執筆させていただいて。これはAmazonでも1位になって、2万部強売れました。そこで、企業とのアライアンスをどうするべきかとか、個人としてもどう人脈を広げるとか、勉強法とかいろんなことを書いたのです。その中で一番、読者さんの反応があったのが、「自分をプラットフォーム化する、プラットフォームを作りましょう」というところでした。それが基で、プラットフォームというものにやっぱり皆さん興味があるのだと気づきました。
私はドコモを辞めて、アメリカのボストンにあるMPDというマーケットプラットフォームダイナミクスという、アメリカのハーバード大学の先生とかシカゴ大学の先生とかMITのスローンスクールというビジネススクールの学部長等が作った会社の、シニアアドバイザーに2年ぐらいやっていたのです。
そこがまさにプラットフォーム戦略を研究している、コンサルティングファームだったのです。そのメンバーが12月に日本に来るので、また会います。これちょっと先出しですが、実はそのメンバーが書いた新しい本を私また翻訳監修で来年出しますが、それがまさにプラットフォーム戦略です。自分がやってきた経験をどう理論化するかというところをMPDでのノウハウというものと一緒にして、日本に紹介しようと。それがハギウさんというハーバードの先生と一緒に教授になったという経緯です。ハギウさんもそのMPDのメンバーでした。
新谷哲:このプラットフォーム戦略って、誰でもできる戦略なのでしょうか?
平野敦士カール:実際に成功するのは難しいというか、大変です。ただ、今非常にハードルが下がってきていると思うのです。
昔でしたら、イメージとしては銀座の4丁目の角に自分のお店を持つというのはなかなか大変ですが、今はインターネットの世界で、しかも特に最近はWordPressとかが出てきました。WordPressであれば、ニューヨークタイムズもWordPressです。同じようなツールを大企業でも個人でも使えます。そしてあとは人が集まるような場を作るというのは、それ程難しくはなくなっています。
そういう意味では誰でもできます。今はプラットフォームとして成功している企業の多くも、ほとんどが部品。例えばAppleもパソコンメーカーでしたし。Microsoftなんかはソフト屋さんですよね。ですので、誰でもプラットフォームになっています。Amazonももともとは本のオンライン書店ですよね、いわゆる。そこからプラットフォームになっていったので。初めからプラットフォームというよりは、むしろ途中からプラットフォーム化していったということだと思いますね。
新谷哲:教授が見られていて、今後、プラットフォーム戦略をやっている企業で、こんなビジネスモデル流行るのではないかなと、注目されているビジネスはございますか?
平野敦士カール:CtoCで、シェアリングエコノミーって最近は言われています。AirbnbとかUberとかですね。とてつもない時価総額で今度上場するという噂が出ております。ひとつ彼らがすごいのが、余っているもの、皆さんの家で使っていないもの。例えばゴルフバッグとかね。別に毎日使っていらっしゃいませんよね。そういうものを、例えば近所の人に貸すとか、そういったものだけでももうひとつの取引が起きる訳ですよね。そういう意味ではCtoCのプラットフォームというのは限りなくある訳で、本棚もそうですし、洋服ダンスもそうですし。あらゆるものが多分プラットフォーム化できるのではないかなと思っていますね。
新谷哲:では我々も是非プラットフォームを作って、頑張っていきたいと思っております。
新谷哲:話は変わるのですが、平野さんはコーヒー牛乳を毎回毎回飲んでいる人なのです。教授にしてはお茶目な一面だと思うのですが(笑)。他に何か好きなこととか、好きなものとかはございますか?
平野敦士カール:食べ物とかですか?
新谷哲:何でも構いません。
平野敦士カール:コーヒー牛乳はもう必須のものです。あとは悪い習慣で、たばこがずっとやめられなくて。やめる気もないのですけれども…。たばことコーヒー牛乳を飲んで、本を読むと、あるいは書くというのが非常に自分にとっては幸せな時間だという感じですね。あとは肉類とか、何でも食べますけど、結構自分で作るのも好きです。
新谷哲:料理をされるのですね。
平野敦士カール:料理はものすごい、自分でいうのもあれですけど得意なので、最後は料理本でいこうかなと思っています(笑)
新谷哲:じゃあ、料理本のプラットフォーム戦略の本ですか(笑)
平野敦士カール:それは冗談ですが。でも料理は、結構効率的な仕事の仕方を考える上で非常に役立つのです。例えば、同時進行で何かをやるということを多分主婦の方はやられていて。洗い物をしながら、煮物をやったりとか、焼き物をやったりとか。その時間配分とか。そういったものをものすごく効率的にやるのは、実は主婦の方というのは長けているのではないかなと実感できます。あとスーパーも行きますので、物価。例えば野菜がどのぐらい上がっているのかを肌で感じるようにしていて。今レタスとか急激に上がったりとか。経済というのを現場で見るという言い方はあれですが、実態で見るようにはしていますね。あとは寝ることですかね。
新谷哲:料理でもビジネスというか、経済を見ていらっしゃるというお話しで、さすが平野敦士カール氏はちょっと違うのだなと感じます。
平野敦士カール:でも面白いですよ。
新谷哲:ちょっとまた少し違う質問ですが、今後未来に向かって、経営者はどのようなビジネスモデルを作っていくべきかというのは、どうお考えでいらっしゃいますか?
平野敦士カール:最近思うのは、一部上場会社さんを始め色々な会社へコンサルティングをしているのですが、新規事業をいくつか立ち上げる中で、なかなか実行に移せないのですよね。検討に次ぐ検討をして、「やっちゃえばいいのにな」と思うようなことでも、意外とリスクを潰していく。それが日本の企業の特徴なのです。
ただ社長がすごく思い入れがあったりすると、一気に進んでしまったりとか、結構そういう心理的な部分があります。そういう中で逆に今、日本企業は元気がない訳です。世界的にも日本の企業は落ちていますし、GDPなんかもそうです。1人当たりGDPは26位ですから、アジアでも先進国の最低のレベルに落ちてしまっている訳です。これも国の政策が悪いということももちろんあるのですけど、誰かのせいにするよりは、まさに自らを変えなければいけないというのが今の企業のトップが考えなければいけないことだと思います。いつまでも計画していないで、なるべく実行をスムーズにして。
ビジネスモデルを作るのは重要で、非常に大切なのですが、それをいかに実行するか、その実行フレーズというのはもっと重要です。特にインターネットが今普及しましたので、「駄目だったらやめる」「10個ぐらい立ち上げて、1個ぐらい成功する」くらいでもかなり確率は高いと思うのです。ベンチャーなんて千三つと言われている世界な訳ですから。最近はそうでもないです。ですのでもっと実行をやらせてみるということが、僕は必要なのではないかなという気はしますよね。
新谷哲:じゃあ、経営者様達にも是非どんどん実行していただくというのが良いということですね。
平野敦士カール:本当そうだと思います。今ベンチャーキャピタルを含めて、投資をしたい人は山ほどいるのですが、やりたいという人が非常に少ない。これが最大の問題だと思うのです。
なぜかというと、何か失敗した時にもう二度と立ち上がれないような社会というか、そういうものになってしまっているのです。もっと失敗しても立ち上がれるような社会にしないといけない。何かやらないで、なるべく何もやらないほうが出世するような、そういうカルチャーというのがやっぱりまだまだ強いと思うので。そこを経営者の皆さんには、「やって失敗したほうが、やらないで何もしない人よりも高く評価する」、そういうカルチャーに変えていっていただきたいなと思うのです。
新谷哲:ちょうど最新の本が出ていまして、私も今読んでいますが、「7日間起業」の中でも実行について書かれていますね。
平野敦士カール:これはもともとの経緯を申しますと、この「THE 7DAY STARTUP」というのはオーストラリアの起業家の方が書いた本で、実は全米ベストセラーで企業部門1位になっていたのです。
私、最近kindleで、ほとんど日本の本を読まないのです。献本をいただいた本は読みますが、自分で買って読むというのはほとんど今ないのです。
洋書を、特に全米ベストセラーなどのビジネス経営で、特にSTARTUPとか、自分の興味があるものについてはほとんどチェックをしています。その中でどれもそこそこ良い本は多いのですが、この「7日間起業」という本は、非常にささりました。読んで、メールアドレスがwebサイトに載っていましたので、すぐに著者のダン・ノリスさんという人にメールをして、「これ日本に紹介をしたいのだけどいいか?」という話をしたら、「是非やってくれ」ということでした。すぐに出版社の方に連絡をして。あとは翻訳エージェントも私が知っている方がいたので、そこにも連絡をして、まだ翻訳権が取られていないということだったのですぐに押さえて、翻訳をしました。そして2016年11月18日に発売をした、そういう経緯があります。
ゼロから最小リスクで最速で成功する方法という、副タイトルをつけ「誰でもネット1つでとりあえず始めてみよう」「とりあえず始めて7日間で、7日目にもうwebサイトをローンチする」「やってみて駄目だったら、次を考えろ」と。ひと言でいうとそんな感じなのです。
この本で特にすごいなと思ったのは、多くのSTARTUPは「Wantrepreneur(起業家になりたい)」が多いという点。「Entrepreneur(起業家)」と「want(したい)」ですね。「Wantrepreneur」が多くて、そういう人達というのはいつもスタートアップの会とか、集会に行ったりとか、飲み会やったりとか。そんなことをやる暇があったら、早く最初のお客を見つけてこいという点。それが非常に僕はささってですね。計画、ビジネスモデルの講座というのもWizBizさんでやらせていただいていますが、やっぱり作っただけで終わってしまって、そこで疲れ果ててしまっているという場合が多いです。いかにそれを「execution(実行)」するかというところに非常にフォーカスしている本なのです。
新谷哲:私も読ませていただきまして、大変興奮しながら読んでいる本なのです。私どもの会社でも平野敦士カール氏に「エバンジェリスト講座」をやっていただいているのですが、今度またこれでも講座を作ろうという計画しているとお聞きしました。
平野敦士カール:先程申しましたようにビジネスモデルを構築する7ステップというのがありまして、これも世界で1500人以上が受講している講座です。これは英語版で、日本ではWizBizさんとやらせていただいています。ビジネスモデルを作った後にどうそれをローンチするかというところを実際に7日間なのかどうかは別として。具体的には例えばコピーライティング、それから例えばWordpressのようなwebサイトの構築、それからSEO対策とか。あるいはGoogleアナリティクスのような、実際の分析、あるいはキーワードを基にコンテンツを作っていくのかというコンテンツマーケティングですね。
こういったものを網羅的に学んで、実際に7日間、7営業日なのか7週間かわかりませんが、そういったもので立ち上げていくというものを今認定のコンサルタントの方と一緒に講座を作っていくということで動き始めています。
新谷哲:大変楽しみで、私もこの本は本当にお勧めですので、是非、皆様方もお買い求めいただければと思っております。もう1つだけ平野敦士カール氏にお聞きしたいのですが、弊社と一緒にやっています「ビジネスモデルの構築講座」について宣伝を少しだけお願いします。
平野敦士カール:ビジネスモデル構築エバンジェリストというのと、プラットフォーム戦略コンサルタント講座というのが2つあるのです。プラットフォーム戦略コンサルタント講座を最終的なゴールにしておりますが、その前提としてまずビジネスモデルというのをわかっていなければいけないということで、ビジネスモデルの構築方法を学ぶ講座というのがあります。その講座を修了しますとDVDが渡されまして、これを使って自らのプラットフォームを作ることができる。要は勉強会の主催者になれるのです。そこには私がもうビジネスモデル構築の内容を入れておりますので、そこで実際に講師の方がワークショップをやる。実際にその場にいる生徒さんを集めて、そこでいろんなビジネスモデルを皆さんに作ってもらう。こういう機能がビジネスモデル構築エバンジェリストということですね。講師になれるということです。それを修了した後に、プラットフォーム戦略コンサルタントということで、プラットフォーム戦略について集中的に3か月間、今回4か月間ぐらいやりまして、そこで問題集、ディスカッション、ワークショップをやって、晴れて認定コンサルタントになれる。今は20名弱ぐらいいらっしゃいます。認定コンサルタントのFacebookグループがありまして、ほぼ毎日のように今もう議論が進んでいます。先程申しました「7日間起業」の新しい講座を作っていくとか、あるいは皆さんの…大体それこそゴールドマンサックスのアジア本部長だった方とか、有名なコンサルティングファームのマネジメントディレクターだった方とか、錚々たるメンバーが皆さん入っていらっしゃいます。あとは経営者様も多いです、あとは会計士さんとか、そういうプロフェッショナルな方が多いですが、そういう方の悩みとかご相談も私が24時間365日対応する。こういう仕組みになっている訳です。
新谷哲:ありがとうございます。私も先生の講座を受けさせていただいて、非常に勉強になりますし、あまりの知識量にちょっと私の頭がついていけないぐらいでした。素晴らしい講座だと思いましたので、是非皆様方もしよろしければご参加してみていただければと思っております。よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、先生ありがとうございました。
平野敦士カール:どうもありがとうございました。
新谷哲:またよろしくお願いいたします。
編集後記
平野敦士カール氏のお話をお聞きし、もしかすると本来は高級官僚であったはずの平野敦士カール氏が、ビジネスモデル作りの指導をされていることに大きな驚きを隠せません。
人生とはわからないものだなと思います。
もし仮にプラットフォーム戦略という本が世に出せていなかったなら、日本のネットを中心としたビジネス社会は世界に大きく遅れていたかもしれないと思える程です。ある意味平野敦士カール氏が高級官僚ではなく、作家、コンサルタント、教授の道を選んでいただき、有り難いとさえ思えてきます。次の最新本も勉強になることと存じます。是非お読みいただければ幸いに存じます。
平野敦士カール氏(ネットストラテジー 代表取締役)
経営コンサルタント 株式会社ネットストラテジー代表取締役社長、社団法人プラットフォーム戦略協会代表理事。
麻布中学・高校卒業、東京大学経済学部卒業。日本興業銀行、NTTドコモiモード企画部担当部長を経て2007年ハーバードビジネススクールHagiu准教授とコンサルティング&研修会社㈱ネットストラテジーを創業し社長に就任。米国イリノイ州生まれ。ハーバードビジネススクール招待講師、早稲田MBA非常勤講師、BBT大学教授、楽天オークション取締役、タワーレコード取締役 ドコモ・ドットコム取締役を歴任。米国・中国・韓国・シンガポール他海外での講演多数。
平野敦士カール氏著書に『プラットフォーム戦略』(東洋経済新報社)、「ビジネスモデル超入門」(ディスカヴァー21)『新・プラットフォーム思考』『シリーズ 経営戦略・ビジネスモデル・マーケティング・金融・ファイナンス』(朝日新聞出版)など多数。韓国台湾中国タイなど海外でも翻訳出版されている。
※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。
本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、ネットストラテジーの代表取締役、平野敦士カール氏の経営者インタビューを取り上げました。
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