成功経営者インタビュー

株式会社Lib Work 代表取締役社長兼CEO 瀬口 力氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、瀬口 力氏(株式会社Lib Work 代表取締役社長兼CEO)です。(2021年6月30日 2021年7月 7日 配信)

今回は、株式会社Lib Workの瀬口力社長にお越しいただきました。

瀬口氏は、大学院在学中に父親が病気に倒れ、有限会社瀬口工務店(現・株式会社Lib Work)の2代目として事業承継をされました。そして、承継当初から上場を目指し、従業員4人~5人の小さな工務店を、福岡証券取引所Q-Board、東京証券取引所マザーズに重複上場をする企業にまで導かれました。

独自のデジタルマーケティングにより家づくりの常識を覆し、住宅テック企業として業界にイノベーションを起こし続けています。
最近では、同社YouTubeチャンネル視聴者から「家を建てたい」と言って頂けるところにまで訴求が出来ているのだとか!経営のヒントが得られますので、ぜひインタビューをお読みください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社Lib Workの瀬口力社長です。まずは経歴のご紹介です。熊本大学大学院法学研究科修了。同院在学中の1999年に、有限会社瀬口工務店(現・株式会社Lib Work)入社。翌年には、代表取締役へとご就任されました。以来、独自のデジタルマーケティングによる業績拡大をおこない「ロボットが案内するモデルハウス」「異業種コラボ商品」「ショッピングモール内の実物大モデルハウス」など、様々な改革を起こされます。2015年8月福岡証券取引所Q-Board上場、2019年6月には東京証券取引所マザーズに重複上場をされています。本日はよろしくお願いします。

瀬口力:よろしくお願いします。

新谷哲:最初の質問です。ご出身は熊本とのことですが、小学校・中学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

瀬口力:取り立てて目立つわけでも、成績が優秀なわけでもない本当に普通の学生でした。あまり勉強はしていませんでしたが、野球部に入り、帰宅後にも一生懸命に素振りをしているような野球少年でしたね。

新谷哲:野球部では、どのようなポジションをご担当されていたのですか?

瀬口力:1番バッターで、センターやレフトを守っていました。今はぽっちゃり体型ですが、当時はスリムで足が速かったのです(笑)

新谷哲:高校時代はどのようにお過ごしでしたか?

瀬口力:高校は、家から自転車で20分程度の地元高校に通いました。進学校ではありませんが、友達がたくさんいる地元がいいという理由で選びました。そして、硬式テニス部へと所属をしました。実は、甲子園に行った友人より野球の数字は良かったのですが、私の進学した高校では甲子園を目指せる土台がありませんでした。団体競技で日本一になることは難しいですが、硬式テニスであれば自分の実力次第なので「頑張れば日本一を目指せる!」と思ったからです。このような考えは、現在にも繋がるところがあるかもしれません。

新谷哲:運動神経がよろしかったのですね!

瀬口力:大した程ではありません。高校3年間頑張って、ベスト8止まりでした。しかし、全国大会へいき「もしかしたら夢を実現できるのではないか……!」と期待を抱けたことは良い経験でした。

新谷哲:その後、熊本大学へと進まれます。大学時代はどのようにお過ごしでしたか?

瀬口力:法曹界の道に進もうと思い、熊本大学の法学部へと入学をしました。大学に行くのは、生協でご飯を食べるときか、サークルで遊ぶとき位でした。しかし、司法試験には通過できるよう、ダブルスクールで勉強をしていました。

新谷哲:大学院在学中に、有限会社瀬口工務店(現・株式会社Lib Work)に入社されました。弁護士では無く、工務店を選ばれたきっかけはございますか?

瀬口力:大学院2年生になるときに、父が亡くなりました。社長になるとは思ってもいませんでしたが「会社をどうにかしなければ……」と思い、後を継ぐことを決意しました。

新谷哲:有限会社瀬口工務店をお継ぎになられるとき、弁護士を諦めることへの葛藤はございませんでしたか?

瀬口力:ありました。しかし、私は根っからのポジティブな性格をしているのです。「今までやってきたことが無駄になってしまう」から「これは運命だ。次のステップで学んだことを生かして頑張ろう!」と思うようになりました。そして「弁護士を目指すのと同じように、モチベーションが上がるものは何だろう?」と考えたとき「上場しかない!」という答えにたどり着きました。

新谷哲:会社を継がれるときすでに、上場をお考えだったのですか!?

瀬口力:はい。大学時代には商工ゼミに所属し、研究室の中では企業買収やIPOについての議論などをよくやらせていただいておりました。そのような状況でしたので、自然と「株式会社である以上、ガバナンスを整え、上場を目指す」という考えを持つようになりました。

新谷哲:なるほど。継がれた当初の有限会社瀬口工務店はどのような会社でしたか?

瀬口力:従業員4名~5名の、地場の小さな工務店でした。

新谷哲:有限会社を株式会社に変え、上場を目指すことに関して、社員の方からご反対はありませんでしたか?

瀬口力:全く反対はありませんでした。また、それに対してゾクゾクするような高揚感を持つものもおりませんでした。たぶん皆さん「上場とは何だろう?」と、よく分かっていなかったと思います。

新谷哲:工務店から、住宅テック企業へと成長されたきっかけはございますか?

瀬口力:ちょうど、私が就職をした1999年はITブームの絶頂期でした。インターネットが世の中に普及し「時代が変わる」と実感をしていました。そこで、インターネットを活用することで「住宅業界も変えて行けるのではないか?」と気づき、お客様の方を向いていない古い体質に改革を起こそうと思ったのです。「これから面白くなっていきそうだ!」と期待値がものすごくありましたね。

新谷哲:上場までにどのようなご苦労がございましたか?

瀬口力:苦労だらけでした。熊本には上場企業が少なく、直近であっても数十年前の大手地銀などで、上場準備を経験したことのある方はほとんどおりませんでした。参考事例の少ない中、未経験者ばかりで上場準備をスタートさせたのですから、非常に珍しいパターンだと感じています。そのため、まずは私自身が上場について深く理解をする必要がありました。初めて監査法人が入り、数十ページの報告書を頂いたときは、赤ペンでだめ出しばかりでした。「改善するには何十年かかるのだろう?」と感じ、上場を目指すには思い切った決断が必要でしたね。

新谷哲:情報を集めるためにセミナーや交流会に参加をされたりしましたか?

瀬口力:していません。私がセミナーでお話をさせて頂く時、参加者の方々から沢山のご質問を頂きます。そのときいつも「こうしている時間があるのなら、業績を伸ばすために会社で努力したらいいですよ」とお答えしています。

新谷哲:上場準備をされる中で重要だと感じたことはございますか?

瀬口力:いろいろあるのですが、大きく2つございます。1つ目は、内部管理体制です。従来であれば税務会計で済みますが、有価証券報告書を提出できるレベルの会計基準が必要になります。上場会社としてのあるべき姿に近づくため、公認会計士の有資格者を採用し、やり繰りしながら体制づくりをしていきました。上場準備では、ここに一番時間がかかりました。2つ目は、証券会社選びです。弊社は、東京証券取引所マザーズに上場する前に、福岡証券取引所Q-Boardに上場をしています。当時はリーマンショック後ということもあり、主幹事証券を探していても、IPO準備をするリソースがあまりなく、誰も手を挙げてはくれませんでした。そんな中、今もご支援いただいている、岡三証券さんが手を挙げてくださったおかげで、上場をすることができました。このように、相性のいい証券会社を見つけることはとても重要だと感じます。

新谷哲:ありがとうございます。もしよろしければ、株式会社Lib Workの事業内容をお教えいただけますか?

瀬口力:弊社は、インターネットやVR(ヴァーチャルリアリティ)を活用した戸建て・住宅・不動産販売を行っています。一般的な住宅メーカーでは、モデルハウスで集客をしていますが、デジタル手法を用いてお客様を獲得することで、集客コストを抑え、その分をお客様の建物に還元するというビジネスモデルを展開しています。そうすることにより、いい建物を安く提供することができ、他社との差別化へと繋がっています。私が当社を継いだ当時はITブームでした。インターネットを活用することで業界を発展させていこうと考え現在の事業に到ります。まず取り組んだ事は、企業理念と自社ホームページの作成です。そこからコツコツ20数年間の歳月をかけて取り組んできたデジタルマーケティングが、住宅業界でもようやく花を開こうとしています。最近では、弊社が運営するYouTubeチャンネルである「LibWork ch」が非常に好評をいただいております。登録者数は2万7千人を超え、1本の動画で約10万の再生回数があり、戸建てチャンネルの中でも注目を集めています。今までは「資料をください」「設計をください」というお問い合わせがメインでした。しかし最近では「東京で建てたい」「北海道で建てたい」と、YouTubeでファンになっていただき「家を建てたい」というお問い合わせを頂けるところまで訴求ができています。ここが、当社の一番の強みです。

新谷哲:ありがとうございます。ここからは違う質問をさせていただきます。好きなもの、好きなことをお聞きして「読書、映画鑑賞」とお答えいただきました。どのような映画がお好きですか?

瀬口力:私は、考えさせられるような内容や、知的好奇心を掻き立てられるような映画が好きです。最近、面白いと思ったのは「インターステラー」です。異常気象によって人類滅亡の危機が訪れ、新しい惑星へ移住するというプロジェクトに参加することになったクルーたちが、過酷なミッションに挑んでいくストーリーです。その中で、主人公がブラックホールに入ったところ、重力によって時空が歪んでいて、地球とブラックホールでは時間の速度が全く違うというシーンがありました。そこから物理に興味を持ようになり、YouTubeで量子力学や相対性理論、宇宙のことばかり見ています(笑)

新谷哲:瀬口力社長は、とても好奇心旺盛ですね!

瀬口力:ピンとこない不思議なことや、知らなかったことには「うわ~、どうなっているのだろう?」と興味を持ちます。それについて想像しているとき「世の中って面白い!」と実感をしますね。

新谷哲:ありがとうございます。座右の銘もお聞きして「向上心」とお答えいただきました。こちらを選ばれた理由はございますか?

瀬口力:実は、大学入学から弁護士の勉強を始めるまでの半年間、目標を見失いボーっとしてしまった時期がありました。そんな時にある古本屋で「向上心」という本に出合いました。この本は哲学的な内容で、心に刺さるものがあり「こんなことではだめだ」とハッと我に返ったのです。そこからずっと、私の座右の銘は「向上心」です。

新谷哲:次が最後のご質問です。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。

瀬口力:まだ成功しているとは全く思っていませんが、心がけていることが1つあります。それは「どんな困難にも前向きにぶつかっていくこと」です。実は、上場申請の2年前に監査法人の方から「2年後に上場するのは99.99%無理です。今の状況を分かっていますか?」と言われたのです。しかし、そこで諦めず「残りの0.01%を可能にするためには、どうすればいいですか?」と聞きました。すると「ここと、ここと…がだめです」と、たくさん出てきましたが「だめなことではなく、どうすればいいかを教えてください」とお願いをしました。そうして、ご指摘頂いたこと全てを半年間でやってのけ、スケジュール通り上場をすることができたのです。このように、全てにおいてポジティブな性格が、上場を達成する要因の一つだったと考えています。

新谷哲:勉強になります!瀬口力社長、本日はありがとうございました。

瀬口力:ありがとうございました。

編集後記

今回は、瀬口力社長でした。熊本でご相談をする方も少ない中、従業員4名~5名の小さな工務店を、自力で上場させるとは素晴らしい社長様です。また、明るく前向きで、お話をしていてとても楽しかったです。この、ポジティブさや、何事も諦めない向上心の高さこそ、上場企業の社長として重要な素質だと感じました。ぜひ皆様も参考に、共に成功社長を目指していきましょう!

瀬口 力氏
株式会社Lib Work 代表取締役社長兼CEO

熊本県山鹿市出身。熊本大学大学院法学研究科修了。同院在学中の1999年に、有限会社瀬口工務店(現・株式会社Lib Work)に入社し、翌年代表取締役に就任されました。以来、独自のデジタルマーケティングによる業績拡大をおこなうほか「ロボットが案内する無人のモデルハウス」「異業種コラボ商品」「ショッピングモール内に原寸大のモデルハウス」など様々の改革を起こされます。2015年8月に福岡証券取引所Q-Board上場、2019年6月には東京証券取引所マザーズに重複上場を果たされました。お客様のオンリーワン住まいづくりのため、家づくりの常識を覆し、高付加価値のある商品を低価格で販売することを実現させ、住宅テック企業として業界にイノベーションを起こし続けています。

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本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、瀬口 力氏(株式会社Lib Work 代表取締役社長兼CEO)の経営者インタビューを取り上げました。

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