本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、久保統義氏(株式会社ディー・ディー・エス 代表取締役社長)です。(2021年7月28日 2021年8月 4日 配信)
今回は、指紋認証ソリューションのリーディングカンパニーである株式会社ディー・ディー・エスの久保統義社長にお越しいただきました。
「上手くいってない中に行き、苦労をするのが好き!」とおっしゃる久保氏は、セキュリティ畑を渡り歩き、事業の新規立ち上げや再建を担い、顔役としてご活躍をされてきました。各企業で成功を願い、必死に汗をながされてきたエピソードから「事業を実らせるために大切もの」のヒントが得られます。ぜひインタビューをお読みください。
新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社ディー・ディー・エスの久保統義社長です。まずは経歴のご紹介です。1987年愛知工業大学工学部を卒業後、株式会社キラ・コーポレーションにご入社されます。その後、株式会社ジャストシステム、シマンテック株式会社、トレンドマイクロ株式会社、現 シスコシステムズ合同会社などで事業部長や営業本部長としてご活躍をされます。そして、クオリティグループへと移られ、クオリティソフト株式会社の取締役にご就任。さらに、東証マザーズ上場企業である株式会社ディー・ディー・エスに移られ、取締役を経て、代表取締役社長兼営業本部長へとご就任されました。本日はよろしくお願いします。
久保統義:よろしくお願いいたします。
新谷哲:最初の質問です。ご出身はどちらですか?
久保統義:愛知県西尾市です。
新谷哲:小学校時代はどのようにお過ごしでしたか?
久保統義:かなりワルでした。わんぱくのワルです(笑)日の出とともに家を出て、真っ暗になるまで遊び、真っ黒に汚れて帰ってくる。親の言うことを全く聞かない、やんちゃ坊主でした。
新谷哲:中学校時代はどのようにお過ごしでしたか?
久保統義:バレーボールに明け暮れていました。実は私、小学5年生の頃から身長が変わっていません。当時から170cmと背が高かったこともあり、中学に入学するとすぐにバレーボール部の顧問が「ぜひ一緒にやろうじゃないか!」とスカウトに来たのです。入部後はアタッカーのポジションにつき、一生懸命に取り組んでいました。
新谷哲:アタッカーを任されるとは、運動神経がよろしかったのですね!
久保統義:背が高かっただけです。しかし、私の通っていた愛知県西尾市の鶴城中学校が、西三河の大会でベスト4に残れたのは、初めてのことでした。仲間にも恵まれ、非常にやりがいのある楽しい中学生活を送りました。
新谷哲:高校時代はどのようにお過ごしでしたか?
久保統義:地元の西尾東高校に入学をしました。高校に入るころにはいつの間にか同級生に身長を追い越されてしまいました。そのため「バレーボールは向いていない」と辞めてしまいました。しかし勉強する気にもならず、帰宅部で友人たちと麻雀などをして遊んで、まぁ……コミュニケーション能力を高めていました(笑)
新谷哲:その後、愛知工業大学の工学部へ進学されます。こちらを選ばれた理由はございますか?
久保統義:国語よりも数学の方が好きで、私立理系の愛知工業大学を選びました。
新谷哲:大学時代はどのようにお過ごしでしたか?
久保統義:大学時代は、授業そっちのけでスポーツショップのアルバイトに明け暮れていました。当時、女性グループが買い物にくると「自分たちで練習するの?上手い人たちと合宿をするから、もしよかったら参加しない?」と声をかけていました。すると、その子たちがさらにお友達を誘います。たくさんの女の子が集まってしまえば、男の子を集めるのは非常に簡単です。こうして、すごい人数のテニスやスキーのツアーを企画していました。
新谷哲:大学時代からイベント会社のようなことをされていたとは、すでに社長をされていたようなものですね。当時から、商売人気質の片鱗が垣間見えます!
久保統義:今なら怒られてしまうかもしれませんね。申告もしておらず、会社と言えるものではありませんので。とはいえ、バスを仕立てるための会費は、女性よりも男性の値段を高く設定していたので、人が集まるとスポーツショップのバイト代よりも儲けが大きかったかもしれません(笑)。この経験を通して「欲しい人は高いお金を出してでも来る。いらない人に売りつけようとしても誰も買ってくれない」ということがよく分かりました。
新谷哲:大学卒業後は、株式会社キラ・コーポレーションにご入社されました。当時の思い出はございますか?
久保統義:私は英語とコンピューターが苦手だったので、それだけはやるまいと考えていました。そんなとき、鉄に穴をあける機械「ボール盤」シェア日本一の、地元企業のキラ・コーポレーションが目に留まり、技術エンジニアとしてやっていこうと思い入社を決めました。しかし、内定式で専務に「久保君、君はコンピューターも勉強してきてね。そういう仕事に期待しているよ」と言われてしまい、得意になるため勉強をすることになりました。そうしていくうちに「コンピューターは面白い!」と気づいたのです。何事も、やってみることが大切ですね。
新谷哲:株式会社キラ・コーポレーションでIT系の道が開けたのですね!
久保統義:そうです 。当時は、ITやITCではなく、OA(オフィスオートメーション)という言葉が用いられていました。入社後はOA担当となり、給料計算・会計・在庫管理から、工場の発注品を自動的に倉庫へ動かすFA(ファクトリーオートメーション)の分野まで、いろいろな経験をさせて頂きました。
新谷哲:その後、株式会社ジャストシステムへと移られました。転職をされた理由はございますか?
久保統義:工作機械メーカーの中でもボール盤は、景気による浮き沈みが激しい業界で、一抹の不安を抱いていました。そんな中、LAN(ローカルエリアネットワーク)という通信システムが世の中に出てきました。現在では常時インターネットに接続されていることが当たり前ですが、それまではパソコン一台一台で動いていました。LANに接続をすることにより、相互にデータ通信が可能となったのです。その時、ジャストシステムでは、NetWare(ネットウェア)向けのLAN製品を組み販売を開始するということで、エンジニアを大募集していました。私は技術を持っていましたから「もしかしたら、能力を活かせるかもしれない!」と思い応募をさせて頂きました。
新谷哲:株式会社ジャストシステムでは、名古屋営業所長、システム営業部次長を歴任されました。ご出世されていったのですね!
久保統義:出世と言いますか、運と仲間に恵まれていたのだと感じます。当初は、営業を支える技術者として入社をしましたが、半年たった頃に「君はやはり技術でない方がいい」と上司に言われ、営業に回ることになりました。ジャストシステムでは、「一太郎」というMicrosoftのWordに類似したワープロソフトを販売していました。それが、Ver.4からVer.5にバージョンアップをするとき、ライセンス証書を作成したことが評価され、役職に就かせて頂くようになりました。当時は、ソフトウェアの必要数分の使用権の許諾を受けるライセンス制度はなく、パッケージを必要数購入しなければいけませんでした。ある、名古屋の自動車会社様では、3万本の一太郎をご利用頂いていました。バージョンアップの際には、パッケージ重量が1つ3㎏ほどなので、90 t(3万本×3㎏)もの製品を送り届けなければいけません。そのとき、ロータスデベロップメントが以前、似たようなことで失敗した例があったことを思い出したのです。私は「このままではダメだ!」と考え、会社、ユーザー様、間に入っている商社を説得し、「3万本まで使える」というライセンス証書を作成しました。その取り組みにより、会社のコストは削減され、お客様からすれば面倒くさいものが届かないと双方から非常に喜ばれ、利益へと繋げることができました。以降、東京からも「新しいビジネスを考えて欲しい」などお声がけを頂くようになり、たくさんの巡り合わせと、よいメンバーに囲まれるようになりました。
新谷哲:一太郎とは懐かしいですね~!お若い方はご存じない方も多いでしょう。
久保統義:当時は、世の中の約7割が一太郎を使っていました。国産なので、あらゆる物との組み合わせが良く「ATOK」というかな漢字変換の効率も非常に素晴らしかったです。パソコンが売れれば必然と、NEC、一太郎、ロータスワンツースリーの3つが売れる時代。営業活動は「一太郎買ってください」ではなく、NECとロータスデベロップメントと同行し「パソコンを使いませんか?」と提案していくというものでした。
新谷哲:営業を経験することで、アイデアを出す能力を開花されたのですね。
久保統義:学生時代、ツアー企画をしていたときからかもしれません(笑)難しいことがあった場合「ルールを押し付けるのではなく、ニーズ・要望を引き出して、できることを考える。お互いが上手くいくよう、皆さんの協力を得て進める」という考えは、当時から徹底しています。
新谷哲:その後、シマンテック株式会社へと移られ、法人事業部長としてご活躍されています。こちらは引き抜きですか?
久保統義:引き抜きといいますか、当時社長をしていた成田明彦さんとご縁があり、入社しました。ジャストシステムではMicrosoftと攻防戦を繰り広げる中で、さまざまなことがあり、会社に対しての夢を失いつつありました。そんな時、インターネットが出てきました。今後、世の中はどう変わっていくのだろうと、考えに考えた結果「セキュリティが重要になる!」という答えにたどり着きました。シマンテック株式会社では、アンチウイルスソフトをエンタープライズ(法人向け市場)に立ち上げる最中でした。私はそこで、事業を加速化させるという役割を担わせて頂きました。
新谷哲:当時の思い出はございますか?
久保統義:シマンテックでは「ノートンアンチウイルス」というソフトを展開していました。コンシューマ(一般消費者向け)としては有名でしたが、法人ユーザーからはほとんど使われておらず、大きくシェアを伸ばしていく必要がありました。その中で、特に思い出深いのは三井物産株式会社さんとのお付き合いです。シマンテック製品は全て、三井物産にライセンス製品としてエクスクルーシブ(独占)でご提供し、資金や人材などのリソースを掛けて頂いておりました。資金に限りがある中でも力を借り、新しいビジネスを立ち上げていくことができたという経験は、非常に楽しく、アグレッシブでした。
新谷哲:その後、トレンドマイクロ株式会社に移られ、エンタープライズ営業本部長に就任されました。こちらも引き抜きですか?
久保統義:トレンドマイクロには、シマンテックに入社する以前からお声がけを頂いていました。シマンテックでは3年ほど勤め、法人市場を立ち上げシェアを5位から2位にまで引き上げたところで「そろそろ自分の役割は果たした」と感じ、移ることを決めました。トレンドマイクロとシマンテックは競合関係にありました。入社するきっかけとなった成田明彦社長には「新しいビジネスを立ち上げたい」とご説明をし、仁義を切って転職をいたしました。その新しいビジネスとは、ハイタッチセールス(エンタープライズセールス)です。この事業立ち上げに携わらせて頂きました。
新谷哲:ハイタッチセールスとはどのようなものかご説明頂けますか?
久保統義:ハイタッチセールスとは、代理店などを通さずに、企業が直接顧客に対応する営業方法のことです。トレンドマイクロでは、サーバーやネットワークは扱っていませんでした。そのため、トレンドマイクロ製品を直接お客様にアプローチをしてご購入いただける際は、納品や関連する製品は販売パートナー様に依頼をするというビジネスモデルです。
新谷哲:ありがとうございます。その後、現 シスコシステムズ合同会社に移られ、セキュリティ・ワイヤレス営業本部長に就任されます。こちらも引き抜きですか?
久保統義:当時、シスコシステムズとトレンドマイクロはアライアンスを組み、シスコシステムズ製品にトレンドマイクロのアンチウイルス技術を組み込みました。私はハイタッチセールスの責任者をしていたので、製品を売って頂けるよう、いち早くシスコシステムズの方々にアプローチを掛けていきました。その時「セキュリティ責任者にならないか?」と、お誘いを受けたのです。悩んだ末、現在トレンドマイクロの会長であるスティーブ・チャンに「シスコシステムズに誘われているので、行きたいと思う」と相談をしました。すると、彼は立ち上がり「素晴らしい。シスコシステムズの金で、トレンドマイクロを売る気だな?」と言ったのです。私は「ザッツライト!」と答え、円満退社でシスコシステムズへと移りました。しかし、後にスティーブ・チャンがシスコのボードメンバーたちにその話をし、すごいことになりました(笑)
新谷哲:株式会社ジャストシステム・シマンテック株式会社入社・トレンドマイクロ株式会社・現 シスコシステムズ合同会社、どちらも一流大企業へと成長された素晴らしい企業様を渡り歩いています。アメリカなどで良く見られる、優秀な方が短期間でキャリアを積み転職を繰り返すことで、役職や給料をどんどん上げていくケースに近いと感じました。そのようなことを意識していらっしゃいましたか?
久保統義:いいえ。意識としては逆です。どちらかというと、上手くいっている企業に入り、ポンポンポンと行くのではなく、上手くいっていない所で苦労をするのが好きなのです(笑)シマンテックでは法人市場、トレンドマイクロではエンタープライズハイタッチセールスの部署を立ち上げるまでの仕事だと思いやってきました。シスコシステムズも大きな会社ではありますが、日本市場でセキュリティ製品の知名度はとても低く、唯一売れていない製品の担当者など誰もやりたがりませんでした。しかし、私はそこにやりがいを感じます。無いものを立ち上げる、上手くいってないところで成果を出す。それぞれの会社で何かを成し遂げ、仲間や関係者の方々に喜んでいただける事が、私にとって嬉しいことであり勲章だと感じています。
新谷哲:もしかして……「ドM体質」でいらっしゃいますか?
久保統義:某IT業界の方が集まるBarに初めて行ったとき「あなたが久保さんですか!ドMですよね?」と聞かれたことがあります。(笑)
新谷哲:その後、クオリティグループに入社し、クオリティソフト株式会社の代表取締役社長にまでご就任をされていますね!
久保統義:シスコシステムズでは、セキュリティ製品をそれなりの規模にまで拡大させることができ、非常に上手く行っていました。しかし、外資系企業なのでインセンティブ比率が高く、目標予算が青天井のように高くなってしまいました。「そろそろ、違うことを考えなければ……」と感じていたとき、クオリティグループのオーナー社長である浦聖治さんと意気投合したのです。クオリティソフト株式会社は歴史ある資産管理ツール会社でしたが、競合他社の出現により頭打ちの状況でした。セキュリティではありませんでしたが、事業の立て直しを図るために入社をしました。最終的には、2桁成長、経常利益20%以上の良い経済体質にすることができました。ここでも「役割を果たした」と感じ、株式会社ディー・ディー・エスに行く決意をしました。
新谷哲:お話を聞いていると、どんどこ出世していく成功物語ですね!
久保統義:必死なだけです。後先考えず、一つひとつの会社で成功を願い、皆と共に汗流してきた結果です。
新谷哲:株式会社ディー・ディー・エスに移られたのも、ヘッドハンティングですか?
久保統義:ヘッドハンティングではなく、売込みか押し売りです(笑)。私は長いことセキュリティ畑を渡り歩いてきましたが、次はガチガチのセキュリティに携わりたいと考えていました。そんな時、ディー・ディー・エスが、生体認証などを利用した新しいクラウド上での認証技術の国際標準化を目指す、FIDO Alliance(ファイド アライアンス)に、日本で最初に手を挙げました。調べてみると、クラウド世界にあるたくさんのパスワードを管理する煩わしさを無くしていきたいと考えるバイバイパスワードカンパニーで「なんて面白い会社だ!この会社に行きたい!」と感じたのです。ヘッドハンティングを使えば費用が発生してしまうので、ベンチャーキャピタルの方に「ディー・ディー・エスの三吉野健滋社長はご存知ですか?」と聞き、ご紹介を受けました。私は、社長とお会いする時、パソコンを持って行き「このビジネスは私でないと成功できない!」とプレゼンテーションを一方的に1時間しました。すると三吉野社長は「君の気持ちはよくわかった。でも、赤字だから給料は出せないけどいい?」と言ったのです。「では!儲かったら出してください!」と、入社をさせて頂きました。
新谷哲:やはり、日本では自ら売込みに行く方は非常に少ないでしょうし、アメリカ的ですね!下世話ですが、給料は下がってしまったのですか?
久保統義:下がりました。しかし、飲みに行く回数を減らせば済む話です。妻には「え~、給料減るの?」と言われましたが、好きにさせて頂いています。
新谷哲:安い給料で入社されたということは、ストックオプションを受けたりされたのですか?
久保統義:弊社でストックオプションを発行するときには、株主総会の決議が必要なので、ストックオプションは受けていません。入社から1年で、10年来の赤字を黒字化し株価も非常に上がりました。元からいる役員は非常に儲かりましたが、私は全然利益を得ていません(笑)
新谷哲:それは惜しかったですね。
久保統義:長い目で見れば一つのプロセスであり、損得とは思いません。それがあったからこそ、皆の信頼を勝ち取れているのです。
新谷哲:素晴らしいです!当初から、社長になることをお考えだったのでしょうか?社長として選ばれた理由などございましたらお教えください。
久保統義:複数の候補がいたので、私が社長になるという確約はありませんでした。そうであれ「非常に良い仲間に恵まれた」ことが上手くいった要因の一つだと感じています。新しい会社ですぐにビジネスを立ち上げるのは、簡単ではありません。しかし、過去からの仲間たちが私を助けてくれました。そして、ディー・ディー・エスの社員たちも「訳の分かんないデブなおっさんが来た」と反発するのではなく、一緒に汗をかいてくださいました。お陰様で、パートナー制度をすぐに立ち上げ、多くの販売パートナーがご参加くださり、技術サポートのエンジニア育成にまでご協力して頂き、ディー・ディー・エス製品を担いで下さいました。
新谷哲:後から入社し、上場企業の社長になるご苦労はございましたか?
久保統義:私は、何度も転職をしています。会社ごとにルールや使用するツールが違うので、その度に苦労をします。また、千人規模のジャストシステムから、数十人のシマンテックのような会社に移ると、急に態度を変え冷たくなる人もおりました。しかし、多くの人たちは「久保」と付き合ってくださっています。いろいろな意味での苦労はありましたが、ディー・ディー・エスに移っても、昔ながらの仲間たちがご協力くださり、一緒に仕事ができるというのは、とてもありがたく、幸せなことだと思います。
新谷哲:ありがとうございます。もしよろしければ、株式会社ディー・ディー・エスの事業内容をお教えいただけますか?
久保統義:ディー・ディー・エスの社名の由来は、Digital Development Systemsの頭文字です。25年前に開発会社として創業し、ここ十数年は認証基盤に特化した経営を行っています。皆さんがパソコンに電源を入れたとき、クラウドやアプリケーションへログイン・ログオンをされるとき、その度にID・パスワードを入力する必要があります。それを生体認証や二要素認証に置き換えることで、使い易く、安全に、多様化するセキュリティリスクに備えることができます。2016年の1月よりマイナンバー制度が導入されたことから、この様な情報セキュリティ製品が大きく注目を集めています。施行される際、総務省は全国の自治体に対して「二要素認証を導入し、システムを強くしなさい」と指示し、補助金を出しました。それにより、一気に二要素認証が認知され、ビジネスが展開されていきました。さらに、クラウド上やスマートフォンでの認証システムも提供をしています。この分野には「お金が続く限り多少赤字でも……」との思いで、非常に大きな研究開発費を投入し、大きな成長、大きな成功を収めようとチャレンジをしている、日本発の会社です。
新谷哲:ありがとうございます。ここからは違う質問をさせていただきます。好きなもの、好きなことをお聞きして「お酒を飲むこと」とお答えいただきました。お酒は毎日飲まれるのですか?
久保統義:毎日のように飲んでいましたが、現在ではコロナの影響もあり飲んではいません。家では飲んでいけないというルールがあるので……(笑)
新谷哲:厳しいルールですね……。
久保統義:はい。外で飲んでくることが多かったので、家に帰った時ぐらいは控えています。コロナで飲み会が減り辛い反面、人間ドックにいったところ非常に健康になっていたのです!体重もちょっと減りました(笑)
新谷哲:座右の銘もお聞きして「悲観的に準備し、楽観的に対処せよ」とお答えいただきました。こちらを選ばれた理由はございますか?
久保統義:この言葉は、中国の孫子という兵法書に記されていた指南が由来だと言われています。私は若い頃から、準備にとても力を入れています。ここで重要なことは「悲観的に準備する」ということです。準備をしっかりやれば自信が付き、当日は楽観的に構えることができるので、成功に近づけると感じています。
新谷哲:ありがとうございます。次が最後のご質問です。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。
久保統義:「常に人を大事にする」これが私の成功術です。話の中で一貫し「仲間に助けてもらった」「お客様に助けてもらった」と申し上げました。ジャストシステムのとき、競合のMicrosoftとは非常に激しい戦いを繰り広げました。しかし、一緒に戦った仲間と同様に、当時ライバルだった方々とは、本気で戦うことでお互いの力を認め合うことができ、現在でも仲良くしています。人を大切にすることは絶対に裏切りません。もし、裏切られたならば「自分に悪い所はなかったか?何が最善だったか?」と反省する材料であって、悲観的になることではありません。
新谷哲:大変参考になるお話でした!久保統義社長、本日はありがとうございました。
久保統義:ありがとうございました。
編集後記
今回は、久保統義社長でした。人生を楽しみながらチャレンジをされていて、素敵な生き方をされている社長様だと感じました。アメリカでは、より良い待遇やキャリアアップを求めて転職するスタイルが一般的です。日本では、このような価値観がまだまだ少ないのが現状です。転職に対する考え方は国により違いはありますが、様々な企業で経験を積むことにより、視野が広くなり、あらゆる場面で活かしていけます。久保統義社長はドMと仰っていましたが、とてもストイックなことが伝わります。「自分には厳しく、人は大切に」ぜひ皆様も参考に、共に成功社長を目指していきましょう!
久保統義氏
株式会社ディー・ディー・エス 代表取締役社長
愛知県西尾市出身。愛知工業大学工学部卒業後、株式会社キラ・コーポレーションにご入社。その後、株式会社ジャストシステムに移られ、名古屋営業所長、システム営業部次長を歴任されました。その後、シマンテック株式会社にて法人事業部長、トレンドマイクロ株式会社にてエンタープライズ営業本部長、現 シスコシステムズ合同会社にてセキュリティ・ワイヤレス営業本部長、クオリティグループにてクオリティソフト株式会社代表取締役社長として、事業の新規立ち上げや再建を務められご活躍をされます。そして、指紋認証ソリューションのリーディングカンパニーである、株式会社ディー・ディー・エスへとご入社され、取締役を経て代表取締役社長兼営業本部長にご就任されました。セキュリティ畑の顔役と称される豊富な業界経験を元に、DX時代における皆様の安心・安全を守り「いい会社」「いい社会」づくりに邁進されています。
※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。
本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、久保統義氏(株式会社ディー・ディー・エス 代表取締役社長)の経営者インタビューを取り上げました。
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