成功経営者インタビュー

株式会社インティメート・マージャー 代表取締役社長 簗島亮次氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、簗島亮次氏(株式会社インティメート・マージャー 代表取締役社長)です。(2021年11月17日 2021年11月24日 配信)

今回は、株式会社インティメート・マージャ―の簗島亮次社長にお越し頂きました。
「世の中のさまざまな領域における、データを使った効率化」をミッションに掲げ、国内DMP市場導入シェアNo.1を誇るデータマーケティングカンパニーの経営者です。
データサイエンティストというアカデミックな視点と経営者になられるまでの様々なエピソードから「ラッキー」を味方にするヒントが得られます。ぜひインタビューをお聞きください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社インティメート・マージャ―の簗島亮次社長です。まずは経歴のご紹介です。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科を主席でご卒業。その後、グリー株式会社、株式会社フリークアウト(現株式会社フリークアウト・ホールディングス)を経て、2013年にインティーメート・マージャーを設立し、代表取締役社長にご就任されます。2019年には東証マザーズへ上場をされています。本日はよろしくお願い申し上げます。

簗島亮次:よろしくお願いします。

新谷哲:最初の質問です。ご出身はどちらですか?

簗島亮次:千葉県市川市です。

新谷哲:小学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

簗島亮次:将来の夢はゲームを作ることで、いろいろなものを工夫して作ることが好きな子供でした。

新谷哲:どのようなものを作ったか覚えていらっしゃいますか?

簗島亮次:小学校から中学校にかけてですが、自分でパソコンを作っていました。秋葉原へアクセスしやすい場所に住んでいたということもあって、楽しんで作っていました。

新谷哲:小学校時代の経験が今のお仕事につながっていらっしゃるのですね。

簗島亮次:今振り返ってみれば、根っこは変わっていないですね。

新谷哲:中学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

簗島亮次:中学校から、東京都港区にある中高一貫校に進学をしました。あまり良いことではないかもしれませんが、テストの予想問題など、みんなが欲しがるようなものを用意し、ロッカーで売ったりしていました。

新谷哲:なぜ、ものを売ろうと思われたのですか?

簗島亮次:お金が欲しいなどのハングリー精神があったわけではなく、「人が必要としているものを提供したい」という思いがありました。テストの予想問題は印刷代を考慮し、一枚10円で販売していました。それを皆に配れば、相対的に自分の順位が下がる可能性もあり、利益は全くありません。しかし、「こういうものがあると、みんなが喜んでくれるのではないか?」と考え、それが自分にしかできないことであるほど面白くて、実行することに喜びを感じていました。同級生には「変なやつだったよねー」とよく言われます(笑)。

新谷哲:中学校時代から商売人気質でいらっしゃったのですね!高校時代はどのようにお過ごしでしたか?

簗島亮次:高校時代はネットゲームにハマっていました。ゲームの世界に入り浸っていて、その中の「賢い人たち」にいろいろなことを教えて頂き、知識をつけていきました。例えば、需要と供給の重要性です。ゲーム内のオークションでは、回復アイテムを木曜日に仕入れて土曜日に売ると高く売れ、通貨がたくさん手に入ります。社会人が土日の休みに強い敵を倒すため、回復アイテムを仕入れているからです。その賢い方は「木曜日にかけて供給が過多になって、土曜日に向けて需要が増えて、結果、その価格の差分でゲーム内通貨が手に入るのだよ」や「ゲームには税金という仕組みがないから、インフレ率がプラスになる。だから、ゲーム内のお金は常に物に投機したほうがいい」などアドバイスをくれました。「資本主義とは何か?」についてゲーム内で学ぶことができ、よい経験でした。

新谷哲:ゲームの中でも分析をされていたのですね!

簗島亮次:はい。投機したお金をどうやって回収しているか、エクセルを使って分析したり、アイテムの価格予測をしたりしていました。勉強は全然できないのに、そういう不思議なことはやっていました(笑)。

新谷哲:その後、慶應義塾大学の環境情報学部に進学をされます。こちらを選ばれた理由はございますか?

簗島亮次:高校時代はゲームばかりしていて勉強をしていなかったので、浪人をしてしまいました。そんなとき、慶応の環境情報学部(SFC)に通っていた兄の同級生から「大学がすごく楽しい」と話を聞きました。その方は、私と同じくゲームが好きな方だったので、「きっと自分も楽しめるだろう」と感じ進学をすることにしました。

新谷哲:大学時代はどのようにお過ごしでしたか?

簗島亮次:大学1年生、2年生のときに、兄の同級生と一緒に会社を創業しました。その方は、マザーズ上場をする株式会社じげんの代表取締役社長執行役員CEOを務める平尾丈さんです。彼とは小学校時代からの知り合いで、大学で再会しました。当時、平尾さんは学生起業をしようとしていて、私は面白そうだと感じ「使える場所があったら使ってください!」と伝え一緒にスタートすることになりました。ビジネスプランコンテストに、作成したOB訪問のプラットフォームを出展し、みごと事業化することに成功しました。この経験から、経営は近しい存在になりました。彼は今でも相談に乗って頂く仲です。身近に上場企業経営者になるような方がいて、とても運がよかったと思います。

新谷哲:運命を感じますね。その後、慶應大学大学院、政策・メディア研究科を首席でご卒業されています。こちらへお進みになった理由はございますか?

簗島亮次:慶応のSFCではいろいろなことをやっていましたが、特に脳科学を専門にしていました。その研究論文を書くために、大学院へ進むことを決めました。

新谷哲:脳科学では、どのような研究をされていたのですか?

簗島亮次:バイオインフォマティクスの分野で、アルツハイマーの研究などをしていました。

新谷哲:なるほど。その後、グリー株式会社にご入社されました。こちらを選ばれた理由はございますか?

簗島亮次:私は、データを仕組み化し解釈をすることが好きなので、データ分析・解析の知識を活かせる会社に勤めようと考えていました。大学院では、データがたくさんあり、人工知能や機械学習を取り入れた最先端の分野ということで、脳科学を専攻しました。生命の起源や、人間の脳をデータ分析で明らかにしていくことは、非常に興味深かったです。この知識をビジネスで広げていくには、人の動きをデータとして取ることができ、解釈をし、アクションをしていくIT系の企業が最適だと感じ模索をしていたところ、グリー株式会社に拾って頂きました。

新谷哲:ゲーム好きが高じてご入社された訳ではなかったのですね!

簗島亮次:時々の興味で行動をしていましたが、振り返ると一貫していたのかもしれません。入社後に「小さい頃にゲームを作りたいと思っていたな」と思い出し、幼少期の夢が叶ったことに気づきました。

新谷哲:グリー株式会社ではどのようなお仕事をされましたか?

簗島亮次:当初はゲームディレクターをやりました。入社3ヶ月後からは、登録者に効率よくコンテンツを使って頂くための仕組みづくりや、レコメンデーション、サイト編成などをするようになりました。ゲーム会社ですが、ゲーム以外の業務に幅広く携わっていた感じです。

新谷哲:その後、株式会社フリークアウト(現・株式会社フリークアウト・ホールディングス)にご入社されました。移られたきっかけはございますか?

簗島亮次:「若い頃にもう少し実務を学びたい」と感じたからです。グリー株式会社に在籍していた2年半の間に、社員数は約200名から2000名にまで増えました。私はいつの間にか、大きな組織の少し偉い人になっていたのです。そんな時、株式会社フリークアウトが声をかけて下さり、新しい挑戦をするきっかけを頂きました。

新谷哲:株式会社フリークアウトでは、どのようなお仕事をされましたか?

簗島亮次:経営企画として入社しましたが、アライアンス、開発の企画、営業同行など、なんでもやっていました。

新谷哲:入社から半年後に、株式会社インティメート・マージャーを設立されました。経緯をお話頂けますか?

簗島亮次:当時、アドテクノロジーというデータを用いてインターネット広告を最適化させるシステムの気運が高まり、ニーズが出てきていました。もともと私は、データ領域の事業を展開していきたかったので、独立をするか、どこかの会社で事業としてやるかの選択をしようと考えていました。すると、「子会社でやってみないか?」という話になったので出資をして頂き、インティメート・マージャーを設立しました。

新谷哲:当初から上場は狙っていたのですか?

簗島亮次:はい。私とフリークアウトの契約には上場努力義務というものがあり、最初から上場をするつもりでした。また、「データを使った効率化・最適化を世の中にもっと広げていきたい」という思いもありました。そのためには、未上場の子会社ではなく、独立したパブリックカンパニーになることが重要だと考えていました。

新谷哲:上場に向けてのご苦労はございますか?

簗島亮次:苦労はありましたが、今となっては良い経験だったと思います。子会社とはいえ、会社が小さいときはお金のやりくりや、知名度の低さから大企業との契約に繋がらないなど、いろいろと大変でした。しかし、苦労をせずにうまく行っている人はほとんどいません。会社が成長していく上で必要な努力です。

新谷哲:ありがとうございます。もしよろしければ、株式会社インティメート・マージャーの事業内容をお教えいただけますか?

簗島亮次:弊社は、データを使ったDX支援事業を展開しています。データを使った効率化・最適化サービスをご提供するため、DMP(データマネジメントプラットフォーム)の基盤や、インフラを扱っています。主なサービスとしては、アドテクノロジーという広告配信の最適化です。ECサイトに訪れた後に、他のニュースサイトを見るなどしたとき、行動履歴をベースにした広告が出たという経験をしたことがある方も多いと思います。その裏では、DMPにより人毎に最適な広告を出すための仕組み化がされています。現在では、このような仕組み以外にも、営業活動や、金融など、さまざまな領域へと対象を広げ、データを使った効率化・最適化の支援をしています。

新谷哲:ありがとうございます。ここからは違う質問をさせていただきます。好きなもの、好きなことをお聞きして「馬、データを使っていろいろなことをやること」とお答えいただきました。馬は乗る方ですか、買う方ですか?

簗島亮次:両方ともやっています。中学生時代に住んでいた家の近くに、中山競馬場がありました。学生なので馬券は買えませんが、土曜日には競馬場に向かいずーっと見ているほど馬が好きでした。今では、アルゴリズムで勝馬を自動予想するなんてこともやっていたりします。

新谷哲:簗島亮次社長の予想を伺ってから馬券を買えば、大当たりをするかもしれませんね!

簗島亮次:はい。ただ、機械学習で予想しているので解釈はそっけないです(笑)。

新谷哲:座右の銘もお聞きして「ラッキー」とお答えいただきました。こちらを選ばれた理由はございますか?

簗島亮次:今までの人生を振り返ってみると、「自分はラッキーな人間だ」と思うことが多いです。お話させて頂いたように、オンラインゲームの中で出会った方に将来に役立つことを教えて頂いたり、大学で平尾丈さんと再会をして事業を始めたり、いろいろな出会いや機会に恵まれていました。もちろん苦労もありましたが、運良く事業を継続できていることに感謝をしています。

新谷哲:ありがとうございます。次が最後のご質問です。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。

簗島亮次:「自分はアンラッキーだ」と思わない事です。経営者の方々へ悩みを相談すると、「あ、それね。俺もあったよ」とおっしゃるケースが多いです。嫌なこと、うまくいかないことがあっても自分だけが不幸だと思わず、めげずにやり続けていくことが大切です。そうして足掻きながらも自分を信じて進んでいれば、きっとラッキーが訪れ成功に近づくことができます。

新谷哲:ありがとうございます。大変参考になるお話でした!簗島亮次社長、本日はありがとうございました。

簗島亮次:ありがとうございました。

編集後記

今回は簗島亮次社長でした。収録後、オンラインゲーム内で資本主義を教えてくれた「賢い方」について、こっそり教えていただき、びっくりしました。テレビにも良く出てくる、たいへん有名な上場企業の経営者でした。また、ご苦労を苦労とも思わない素晴らしい姿勢の経営者だからこそ、良縁が巡ってくるのでしょう。私も、人生を前向きにとらえていくことで、ラッキーを味方にしていきたいと思います。ぜひ皆様も参考に、共に成功社長を目指していきましょう!

簗島亮次氏
株式会社インティメート・マージャー 代表取締役社長

千葉県市川市出身。慶應義塾大学環境情報学部に入学し、学業の傍ら、学生起業家として活動をされました。その後、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科へと進まれ、首席でご卒業。その後、グリー株式会社、株式会社フリークアウト(現・株式会社フリークアウト・ホールディングス)にてご活躍をされます。2013年には、Googleのレイ・カーツワイル氏が2020年に起きると予測した「あらゆるデータがひとつに統合される」という革命を冠した、株式会社インティメート・マージャーを創業し、代表取締役社長にご就任されます。2019年には東証マザーズへ上場。2020年にはデータ活用領域のさらなる拡大を目指し、Fin Tech事業会社クレジットスコア株式会社や、Privacy Tech事業会社Priv Tech株式会社を設立。データサイエンティストというアカデミックな視点と経営者としてのビジネスの視点から、日本最大級を誇る約4.7億のオーディエンスデータを用いてさまざまな業界の課題解決を支援されています。

※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。

本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、簗島亮次氏(株式会社インティメート・マージャー 代表取締役社長)の経営者インタビューを取り上げました。

『社長の孤独力』抜粋版(PDF29ページ)
無料プレゼント中!

『社長の孤独力』(新谷哲/著) の【抜粋版】を無料プレゼントしております!

71の課題の中から「資金・人材・売上・採用・後継者」の5つを抜粋いたしました。銀行からお金が借りれない社員がすぐに辞めてしまう売上を伸ばしたい、など、具体的なお悩みの解決策が掴めます。ぜひご覧ください。

無料プレゼントの詳細はこちら