成功経営者インタビュー

株式会社フレクト 代表取締役CEO 黒川幸治氏 インタビュー 

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、黒川幸治氏(株式会社フレクト代表取締役CEO)です。(2022年2月22日 2022年3月1日 配信)

今回は、国内トップクラスのマルチクラウド・インテグレーターである、株式会社フレクトの黒川幸治CEOにお越しいただきました。

黒川氏が学生起業家としてスタートさせた同社は、リーマンショックを機に「攻め」の姿勢へ転身。提供価値最大化のため、家族的経営から成長戦略へと舵を切り、企業の競争力を高める「攻めのDX」を支援。「企業や社会の為に必要なDXとは?」を考え続け、事業を成長に導かれたエピソードから経営のヒントが得られます。ぜひインタビューをお聞きください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社フレクトの黒川幸治CEOです。まずは経歴のご紹介です。前身IT会社の起業を経て、2005年に株式会社フレクトを設立し代表取締役CEOへと就任。その後、クラウド事業へ参入し、現在の事業基盤を構築されました。「インターネットを通じてみんなの人生満足を追求する」をミッションに掲げ、ステークホルダーの幸せと価値提供の最大化を目指して経営をされています。2021年には東証マザーズ(現・グロース)に上場をされています。本日はよろしくお願いいたします。

黒川幸治:よろしくお願いします。

新谷哲:最初の質問です。ご出身はどちらですか?

黒川幸治:広島県出身、岡山県育ちです。

新谷哲:小学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

黒川幸治:田舎によくいる普通の少年でした。どちらかというと目立つことを毛嫌いしていたタイプで、人様に迷惑をかけないよう仲間内で楽しく過ごしたり、スポーツに打ち込んだりしていました。

新谷哲:中学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

黒川幸治:中学時代も引き続きスポーツに力を入れていました。特に、バスケットボールを頑張っていて、県大会に出場をした思い出があります。

新谷哲:運動神経がよろしかったのですね!

黒川幸治:人並みではありますが、走るのは速かったです。

新谷哲:高校時代はどのようにお過ごしでしたか?

黒川幸治:当時の私はお小遣いをほとんどもらっていなかったので、アルバイトを始めました。「経済的な自立をしよう」と、部活よりも多くシフトを入れていましたね。

新谷哲:大学時代はどのようにお過ごしでしたか?

黒川幸治:今はITの仕事をしていますが、昔から歴史の本を読むことが好きだったので、國學院大學の文学部史学科へ進学をしました。しかし、学業よりもアルバイトや仕事に割いていた時間のほうが多かったです。

新谷哲:黒川幸治CEOは学生起業をされていますね。以前から社長になる夢をお持ちだったのですか?

黒川幸治:いいえ。いろいろなことを経験するには経済的なバックボーンが必要になってきます。それらを得る手段として、結果的に社長になったという形です。

新谷哲:起業に至るきっかけはございますか?

黒川幸治:渋谷を中心としたIT企業が集まるコミュニティ「ビットバレー」にたまたま参加をしたことがきっかけでした。同年代の若い人達が会社を興し、これから伸びていくだろうITを生業に、生き生きと活動する姿がとても新鮮に見えました。私はITの専門知識を持っていませんでしたが「自分でもやってみたい」と一念発起し、大学3年時の2000年に会社を立ち上げました。業態としては、部活動サークルのコミュニティサービス運営です。ですが、マネタイズが難しく最終的にはシステム開発業務にピボット(路線変更)しました。

新谷哲:私の前職の後輩である株式会社ガイアックスの上田祐司社長もそのうちの一人ですが、ビットバレーに参加していた方が会社を上場させるというケースが多いと感じます。仲間内で「上場を目指そう!」と言う雰囲気があったのですか?

黒川幸治:私はそこまで考えていませんでした。「社会にインパクトを残してみたい」や「チャレンジしたい」という思いが強かったかもしれません。

新谷哲:その後、2005年に株式会社フレクトを設立されました。会社を移された理由はございますか?

黒川幸治:取締役や社員が抜けていったので、残ったメンバーで再スタートを切ろうと新しく会社を立ち上げました。

新谷哲:事業内容は、引き続きシステム開発ですか?

黒川幸治:そうですね。2005年に株式会社フレクトを創業してから、株式会社リクルートホールディングス様の展開するBtoCサービスのモバイル開発を後方支援するようになりました。

新谷哲:再スタートを切る上で、意識されたことはございますか?

黒川幸治:お客様に高いサービス品質をお届けすることに、専念をしていました。また、当時は社員数20人~30人程度の会社規模でした。そのため「社員が働きやすい環境作り」を意識していて、家族的経営を行っていました。

新谷哲:2021年には東証マザーズ(現・グロース)に上場をされています。上場を目指されたきっかけはございますか?

黒川幸治:上場を考え始めたターニングポイントは2つあります。1つ目は、リーマンショックです。テクノロジーは価値を生み出すものなので、景気後退時であれ価値提供ができていればお客様に選んでいただけます。しかし、リーマンショックが起こった翌年の2009年に、メイン顧客の広告発注量は減り、業績は低迷していきました。そこで、「会社がサバイブ(存続)していくためには、技術をキャッチアップし価値を向上させていかなければならない」と痛感したのです。そのため、将来的な企業経営の危機を回避するためにも、事業を拡大していく必要があると気づき、新しくクラウドビジネスを開始しました。2つ目は、サービスを供給するリソース体制に、限界を迎えたときのことです。2009年から開始したクラウドビジネスは、非常に企業様からの引き合いも多く、順調に伸びていきました。しかし、家族的経営を続けてきたことで供給するリソース体制に限界を迎え、せっかくお声掛けを頂いてもお断りせざるを得ない場面が増えてきました。当時は、お断りをしたお客様が他のベンダーで失敗し「助けて欲しい」と、再び依頼を下さってもお受けすることができないほどでした。このような状況にあったので「本当に企業や社会のためになっているのか?」と経営陣で議論をしました。結果、「提供価値を最大化していくことが使命」と結論が出て、成長戦略へ舵を切りました。こうして、創業10年目の節目である2015年に、セールスフォースベンチャーズというCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)から出資して頂き、IPOを目指すようになりました。

新谷哲:上場に至るまでのご苦労はございますか?

黒川幸治:苦労の連続でした(笑)。特に、人が抜けたことによる組織崩壊を防ぐことが大変でした。外部環境の変化には、組織が一丸となって立ち向かえるのですが、組織内の崩れを回復するのには時間がかかりましたね。また、成長の壁にも突き当り、一つずつ突破をしていったという感じです。

新谷哲:もしよろしければ、株式会社フレクトの事業内容を教えていただけますか?

黒川幸治:弊社は「あるべき未来をクラウドでカタチにする」をビジョンに掲げ、クラウドの先端テクノロジーとデザインで企業のDXを支援するマルチクラウド・インテグレーターです。事業内容としては、主に2つのサービスを展開しています。1つ目は、クラウドインテグレーションサービスです。クラウドの先端テクノロジーで新しい顧客体験をカタチにする「攻めのDX」を支援する、プロフェッショナルサービスとなります。具体的には、IoTモビリティ、AIサービス、カスタムできるオンラインビデオ、顧客とつながるコミュニティサービス、BtoB向け・店舗連携ECサービスなどです。また、新規にシェアリング・マッチングサービスの提供も開始しました。2つ目は、Cariot(キャリオット)サービスです。こちらは、SaaS型モビリティ業務最適化クラウドサービスとなります。物流・フィールドサービス・営業等で利用する車両の位置や、状態を見える化し、問合せ業務の削減や車両管理業務の効率化により、お客様の生産性向上を支援するサブスクリプション型のビジネスです。このように、企業様の既存事業・新規事業双方のデジタル変革を支援させて頂いております。

新谷哲:ありがとうございます。ここからは違う質問をさせていただきます。好きなもの、好きなことで「ニューバランス、パタゴニア、自動二輪車・自動車、旅行、読書(塩野七生 著「ローマ人の物語」)、歴史、スポーツ(バスケ、フットサル、ゴルフ等)、競争、顧客・社員・社会に貢献できている(喜ばれる)こと」と多岐にお答えいただきました。好きな本に「ローマ人の物語」を選ばれるあたり、歴史が相当お好きなのが伝わります。

黒川幸治:歴史は「なぜ、ここに至っているのか?」など、今につながるルーツを学ぶ事ができとても楽しいです。特に、現代社会は欧米文化が中心となっていることが多いですよね。『ローマ人の物語』は、欧米文化の元となったローマ文化や、キリスト教の発展などの経緯が分かりやすく事細かに書かれているおすすめの本です。

新谷哲:座右の銘もお聞きして「自分が幸せと思える人生を。」とお答えいただきました。こちらを選ばれた理由はございますか?

黒川幸治:一度きりの人生ですから、まずは自分が幸せと思える生き方をしたいですよね。そのためにも、どんな苦労も乗り越え結果を残していきたいと考えています。それが、関わる方達の幸せにも繋がると信じています。

新谷哲:ありがとうございます。次が最後のご質問です。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。

黒川幸治:成功したと思った時点で、その先の発展はありません。私はまだまだ成功しておりませんので、僭越ですが経営で大事にしていることを2つお話しさせて頂きます。1つ目は「人を大事にする」です。お客様・社員関係なく、全ての方へ公平に接することを意識しています。2つ目は「経営にこだわりを持つ」です。自分の意思を持ち経営に向き合うことが結果として、社会やお客様への価値提供に繋がるのでとても重要なことだと感じています。

新谷哲:大変参考になるお話でした!黒川幸治社長、本日はありがとうございました。

編集後記

今回は、黒川幸治CEOでした。インタビュー前は「平凡なので面白い話は何もないですよ~!」とご謙遜されていましたが、聡明で人間味のある素晴らしい経営者様でした。また、歴史にならい物事を奥深く考えることは、企業経営にとって大変重要です。ぜひ皆様も参考に、共に成功社長を目指していきましょう!

黒川幸治氏
株式会社フレクト 代表取締役CEO

昭和54年、広島県生まれ。國學院大學に在学中の2000年に、IT企業のフィアコミュニケーションズを設立。その後、2005年に株式会社フレクトを設立し代表取締役CEOへとご就任されます。そして、クラウド先端テクノロジーを活用して企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する国内トップクラスのマルチクラウド・インテグレーターへと同社を導かれました。さらに、2019年にはSalesforceグローバルでのイノベーションアワードを日本企業として初受賞するなど、高い実績を評価され数々の受賞を果たされます。そして、2021年12月には、東証マザーズ(現・グロース)へと上場。「インターネットを通じてみんなの人生満足を追求する」をミッションに掲げて、皆さまの幸せと提供価値の最大化に向け邁進されています。

※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。

本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、黒川幸治氏(株式会社フレクト 代表取締役CEO)の経営者インタビューを取り上げました。

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