成功経営者インタビュー

株式会社カラダノート 代表取締役 佐藤竜也氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、佐藤竜也氏(株式会社カラダノート 代表取締役)です。(2022年5月24日 2022年5月31日 配信)

今回は、株式会社カラダノートの佐藤竜也社長にお越し頂きました。

ファミリーデータプラットフォームを展開する、東証グロース市場上場企業の社長様です。24歳という若さで同社を創業し "家族の健康を支え笑顔をふやす"というビジョンのもとリリースをした「カラダノートシリーズ」は各分野でNo.1を獲得する人気サービスへと成長をされました。現在では、4人のお子様のパパでもあり、仕事でも、家庭でも大活躍をされていらっしゃいます。そんな佐藤氏の考える、成功の「あ・い・う・え・お」とは?経営のヒントが得られますので、ぜひ、インタビューをお読みください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社カラダノートの佐藤竜也社長です。まずは経歴のご紹介です。慶應義塾大学経済学部在籍中に、株式会社フラクタリスト(現・株式会社ユナイテッド)にて学生インターンを経験されます。大学卒業後、同社へと入社し事業部長にご就任。そして、2008年12月に株式会社クラスアール(現・株式会社カラダノート)を創業。2020年10月に東証マザーズ(現・グロース)に上場されています。本日はよろしくお願いします。

佐藤竜也:よろしくお願いします。

新谷哲:最初の質問です。小学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

佐藤竜也:入っていた野球チームのキャプテンに立候補するような少年でした。あまり記憶にはないですが、親からは「仕切りたがりで、よくリーダーをやりたがっていた」と聞いています。

新谷哲:中学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

佐藤竜也:勉強面とやんちゃな面、両方で目立つような少年でした。つくば市はやや特殊な地域で、公務員・研究者の家庭の子供が多く集まる小学校と、地元に根差した暮らしをされてきた家庭の子供が多く集まる小学校がありました。中学校ではそれらの小学校が合体したため、まじめな人もいれば、茨城らしくヤンキーもたくさんいました。そんな中、私は委員長や野球部でキャプテンを務めながら勉強に励む一方、ヤンキーにも負けないという心意気でいました(笑)。

新谷哲:昔から社長気質をお持ちだったのですね!高校時代はどのようにお過ごしでしたか?

佐藤竜也:土浦第一高等学校という、茨城県一の進学校に入学しました。中学時代、私は野球も勉強もできる方だと自負していたのですが、高校に入った途端にどちらも底辺のほうにいってしまい、大きな挫折を経験しました。

新谷哲:高校卒業後は、慶應義塾大学経済学部に進学をされているので、十分ご優秀だと感じます。こちらを選ばれた理由はございますか?

佐藤竜也:「慶応ボーイ」という響きがなんとなくカッコいいと感じたからです(笑)。実は、高校時代は警察官、検察官、弁護士といった、いわゆる“正義の味方”になりたいと思っていました。最終的には検察官を目指して東北大学の法学部を第一志望に、それに並行して私立大学もいくつか受験をしました。学年上位の生徒は東京大学に進学するような高校だったので、周りと比べると亜流でしたが「絶対に浪人しない」と決めて必死になって勉強をしましたね。結果、東北大学と慶應義塾大学に受かり、仙台に行くか慶応ボーイになるかという選択肢を比べた時に、邪な考えが浮かび、親に頼んで慶応に入らせてもらいました。

新谷哲:大学時代はどのようにお過ごしでしたか?

佐藤竜也:目指していた慶応ボーイには全くなれなかった、というのが一番の思い出です。入学早々テニスサークルへ入ったのですが、内部進学や都会育ちの方たちの雰囲気についていけず、1か月でサークルを辞めました。そこからは「慶応ボーイ」ではなく「慶応大生」として新たに歩みだそうと決めました。

新谷哲:大学時代に、インターンとして株式会社フラクタリスト(現・株式会社ユナイテッド)に入られました。こちらを選ばれた理由はございますか?

佐藤竜也:私は、大学に馴染めず落ちこぼれていていましたが、気持ちを切り替え「何か新しいことを探そう」と考えるようになりました。そんな時、インターンという制度を知りました。数あるインターン先でも、同社を選んだ理由はベンチャー企業だったからです。当時2003年頃は、ホリエモンさんなどが話題に上がり始めた、ベンチャーブームの走りです。この潮流を目にして、人と違うことを模索していた私は、起業に興味を持つようになりました。ただ、どんな事業をするか全くイメージが無かったので、仕事をしながらアイディアを探そうと、さっそく面接を受けることにしました。面接では、同社がガラケーのSIer(エスアイアー)ながら中国進出の支援事業を行っていたので、この頃の私が良く楽しんでいた、中国株投資のインターネットゲームについて話をしました。すると「なかなか珍しいことを言ってくる面白いやつだ!」と社長が気に入って下さり、採用していただけました。

新谷哲:大学卒業後は、そのまま株式会社フラクタリストにご入社されます。検察官ではなく、普通のご就職を選ばれたのですね!

佐藤竜也:株式会社フラクタリストでは、大学1年生の終わりから上場準備のお手伝いをさせていただくなど、とても貴重な経験をしました。大学3年生には「自分で事業を立ち上げたい」と思うようになり、大学4年生になると実際に社内事業の立ち上げをさせて頂き、それなりの実績を出すことができました。私の立ち上げた事業はコンサルティングで、営業から売上を上げるところまで全て1人で行っていました。気がつくと就職活動もせず、自分の給与分以上は稼いでいる状況だったので、そのまま入社をさせていただきました。面白い世界をいろいろと見ることができ、検察官になるという夢は、すぐに消えてしまいましたね。

新谷哲:株式会社フラクタリストでの思い出はございますか?

佐藤竜也:私が大学4年生の頃に株式会社フラクタリストは上場をしたのですが、そこから内部崩壊、倒産危機と、栄枯盛衰のような経験をしました。自分で事業を始めるまでの上場準備期間では、営業資料を印刷してホチキス止めをしたり、議事録をノートにとったり、それこそ“何でも屋”のように働いていました。そんな中、上場直前期が近づくと、一攫千金を狙って多くの人が入社をしてきました。しかし、ある出来事で株価が大きく下がり、上場直後の四半期決算では下方修正をしてしまいました。すると、統制がとり切れなくなり、傭兵のように入ってきた人たちは一気に辞めていき、会社は潰れる寸前にまでにまで追い込まれてしまいまったのです。その翌年にngi group株式会社(現・株式会社ユナイテッド)に資本参加をして助けて頂いたことにより、なんとか倒産から免れることができました。この一連の出来事は、一番勉強になったと感じています。

新谷哲:その後、2008年に株式会社プラスアール(現・株式会社カラダノート)を創業されます。きっかけはございますか?

佐藤竜也:「ガラケー×ヘルスケア」といったビジネスモデルを思いつき、24歳で起業をしました。若かったこともあり「もしダメだったとしても事業を畳んで就職すればよい」と考えていたので、それほど回りからの反対も無くスムーズに進みましたね。

新谷哲:創業時から上場をお考えでしたか?

佐藤竜也:いいえ。当初は上場を狙わずに「ゆるく経営を続けられるほうがいい」と思っていました。前職で上場前後の内情を見ていたので、上場を目指すことも善し悪しだというイメージが強かったからです。しかし、5人、10人と社員が増えていくにつれ、社会への影響力について考えるようになりました。「もっと、事業を通して社会に貢献していこう。そのためにも、会社を大きくしていこう」と、人を集め会社を成長させていく過程で説得力を持つためにも、創業から2年~3年で上場という手段を意識するようになりました。

新谷哲:2020年10月に東証マザーズ(現・グロース)に上場をされました。上場に向けてのご苦労はございましたか?

佐藤竜也:苦労だらけで上場までには12年以上かかりました。「家族の健康を支え笑顔を増やす領域をやろう」ということ以外は何のこだわりもなかったので、どのように利益が出るビジネスモデルを構築するか、非常に苦労しました。売上に伸び悩んだ時期には、たくさんの社員が入れ替わり、特に大変なことが多かったです。上場前に限らず、ここ数年も常に、事業の成長と社員がパフォーマンスを上げ続ける環境を整えることには試行錯誤しています。例えば、事業を伸ばしていかないと社員に良い給料を還元できませんし、社員にパフォーマンスを発揮してもらわないと売上は伸びません。具体的には、私が自ら動き大半の利益を作ってしまったり、逆に社員を伸ばそうと口だけの指導に徹したりといったことで、社員のパフォーマンスが伸び悩んだことがあります。片方に偏らず、うまくサイクルを回していくバランスが重要だと感じています。

新谷哲:ありがとうございます。もしよろしければ、株式会社カラダノートの事業内容をお教えいただけますか?

佐藤竜也:弊社は「家族の健康を支え 笑顔をふやす」というビジョンの実現に向けた、事業を展開しています。提供しているサービスは、大きく3つございます。1つ目は、「家族サポート事業」です。こちらは、10年以上前から取り組みを始めました。結婚、出産、定年などのライフイベントにより、家族や健康への意識が高まる方が多いと思います。そういった皆様に向け、暮らしを支えお悩みをサポートしていくための各種アプリケーションを、無料でご提供しています。その中で、ライフイベントに合わせ何かを購入されたり、加入されたりする際の意思決定のお手伝いをさせて頂いています。具体的には、食材、日用品、保険、幼児教育用教材などの他社商品にご紹介したり、自社サービスを提供したりして、ビジネスとして成り立たせています。2つ目は、「DBマーケティング事業」です。こちらは、上記サービスを通して保有した80万世帯以上の個人情報を活用し、ユーザー様の適切なタイミングで企業やサービスとのマッチングができるよう支援をしています。3つ目は、「DX推進事業」です。家族生活周辺産業にてサービスを展開する事業会社様に向け、弊社のデータやノウハウをご提供しています。これらの事業を通し、ゆくゆくは家族間の問題だけではなく、少子高齢化に伴った社会問題を解消していけるように取り組んでいきたいと考えています。

新谷哲:ありがとうございます。ここからは違う質問をさせていただきます。好きなもの、好きなことで「名経営者たちの本(特に渋沢栄一、稲盛和夫)、幸福学(ありがとう、やってみよう、なんとかなる、あなたらしく)、家族旅行、ビジネスアイディアを考えること」とお答えいただきました。かなりお仕事好きな印象を受けました!

佐藤竜也:そうですね。生活の中で考えたり発想したりすることが好きなので、公私の区別なく思いついたことは事業にいかすようにしています。私は今、4人の子供がいるのですが、妻の妊娠中や子供たちが育っていく過程で感じた課題を解決しようと作成したアプリやサービスもあります。

新谷哲:座右の銘もお聞きして「動機善なりや、私心なかりしか」とお答えいただきました。大変良い座右の銘ですが、こちらを選ばれた理由はございますか?

佐藤竜也:これは稲森和夫さんの言葉でして、日々自分に問いかけるようにしています。私は起業家なので、一般の人より感情の起伏があるのではないか、と自己分析しています。また、もとは1人で始めた会社なので、やろうと思えばワンマンな経営もできてしまいます。そのため、何か意思決定する時にはこの言葉を思い出し、自分の感情や勢いだけで決めてしまっていないか、中長期の事業計画に沿った動機となっているかを、立ち止まって考えるようにしています。

新谷哲:ありがとうございます。次が最後のご質問です。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。

佐藤竜也:まだまだ成功していると言えるほどではないのですが、先日の入社式でも話した、私が仕事上ずっと大事にしてきた「あ・い・う・え・お」についてお話します。まず、「あ・い」=「愛」です。会社を経営していると常に大変なことばかりですが、妻や親が愛をもって支えてきてくれたからこそ、心折れずにやってこられたのだと感じています。心折れずに続けてさえいれば、いつかはきっと、うまくいきます。次に「う」=「運」です。自ら運を引き寄せるため行動を起こすことも重要ですが、なるべく前向きに考え運を逃さないように心がけています。次に「え」=「縁」です。何事も一期一会と捉え、ご縁を大切にしてきたからこそ、若いころから先輩経営者からいろいろなパスをいただけたのだと感じています。そして最後は、「お」=「恩」です。言ってしまえば、弊社はVCからの出資をあまり受けてこなかったので、私の気持ち次第で苦しいときには逃げてしまうこともできました。しかし、それをしなかったのは、何かの運命でご縁ができた皆さんから、たくさんの愛を頂いてきたからです。お世話になった人に対し、きちんと恩返しができるようにと意識し続けたからこそ、また新たに運が巡ってきて、その繰り返しでここまで長くやってこられたのだと思います。今後も、愛・運・縁・恩を大切に、更なる成長をしていきたいです。

新谷哲:大変参考になるお話でした!佐藤竜也社長、本日はありがとうございました。

編集後記

今回は、佐藤竜也社長でした。お若いながら多くの勉強をされてきたのでしょう。聡明でしっかりとした経営をされている社長様でした。人生において大切な「愛」「運」「縁」「恩」の「あ・い・う・え・お」は素晴らしいですね!ぜひ皆様も参考に、ともに成功社長を目指していきましょう!

佐藤 竜也氏
株式会社カラダノート 代表取締役

1984年茨城県つくば市生まれ。慶應義塾大学経済学部在籍中、株式会社フラクタリスト(現・ユナイテッド)に学生インターンとして参画し、モバイルSEO事業の立ち上げを行われます。その後、大学卒業と同時に同社へ入社し、事業部長としてご活躍をされます。その際に、体の悩みや不安をガラケーで検索する人が多いことに着目し、モバイルヘルスケア事業を行う目的で2008年12月に株式会社プラスアール(現・カラダノート)を創業し、代表取締役にご就任をされました。”家族の健康を支え笑顔をふやす”をビジョンとし、主に妊娠育児期や中高年層の健康支援事業を手がけ事業を拡大し、2020年10月には東証マザーズ(現・グロース)へと上場。事業を通して少子高齢化や社会保障費の増大という社会課題の解決に向け邁進される傍ら、プライベートでは4人の子供の育児に積極的に関与する、イクメンパパとしても知られていらっしゃいます。

※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。

本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、佐藤竜也氏(株式会社カラダノート 代表取締役)の経営者インタビューを取り上げました。

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