成功経営者インタビュー

株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 代表取締役社長兼社長執行役員 田中譲治氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、田中譲治氏(株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 代表取締役兼社長執行役員)です。(2022年8月31日 2022年9月7日 配信)

今回は、東証グロース市場に上場する、株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルの田中譲治社長にお越し頂きました。独立・中立的な立場から資産運用のアドバイスを行う専門家「IFA」を日本に広めた第一人者である田中氏。「人生100年時代、老後に2000万円が不足する」と言われる今、この先も安定した生活を送るためにはどのような取り組みが求められるのでしょうか?経営のヒントが得られますので、ぜひ、インタビューをお読みください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルの田中譲治社長です。まずは経歴のご紹介です。早稲田大学政治経済学部卒業後、1979年に大和証券株式会社へご入社されます。その後、モルガン・スタンレー証券会社、UBS証券会社、メリルリンチ日本証券株式会社を経て、2002年にIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として独立。そして、2005年には有限会社インテグリティの取締役にご就任。2009年には株式会社アイ・ブレーン(現・株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル)へ入社し、2014年に代表取締役へとご就任をされました。2021年には、東証マザーズ(現・グロース市場)へ上場をされています。本日はよろしくお願いします。

田中譲治:よろしくお願いします。

新谷哲:最初の質問です。ご出身はどちらですか?

田中譲治:鹿児島県鹿児島市です。

新谷哲:小学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

田中譲治:あまり目立たない子供でした。今と違って小柄で運動神経も鈍かったですが、勉強はそれなりにできました。

新谷哲:中学校時代はどのようにお過ごしでしたか?

田中譲治:ラ・サール学園に入学をしました。当時の同校は、小学生時代から番長で、さらに勉強までもできてしまうような早熟系の生徒ばかりでした。そのような環境でしたので、小柄な私は相変わらず目立たない方だったと感じます。

新谷哲:全国有数の進学率を誇る中高一貫校である、ラ・サール学園に進学されるとは、とても勉強ができたのですね!高校時代はどのように過ごされましたか?

田中譲治:それなりに趣味も勤しみ青春を謳歌していました。特に音楽が好きで、よくラジオで曲を聴いたりギターを弾いたりしていましたね。それに並行して、大学受験の勉強もしていた感じです。

新谷哲:大学時代はどのようにお過ごしでしたか?

田中譲治:早稲田大学政治経済学部に進学をしました。卓球同好会というサークルに所属していて、そのメンバーと卓球をやるか、麻雀をやるかという生活を送っていました。

新谷哲:大学卒業後、1979年に大和証券株式会社へご入社をされます。こちらを選ばれた理由はございますか?

田中譲治:他に行くところが無かったからです。当時は第二次オイルショックの影響で、非常に就職不況でした。本当に行きたかった業界への就職が出来なかったので、内定が出そろった後でも新卒採用を行っていた大和証券株式会社へ応募をしました。今ではすごく人気がある企業のようですから、こんなことを言うと怒られてしまうかもしれませんね(笑)。

新谷哲:三大証券の一つですものね。当時の思い出はございますか?

田中譲治:京都支店でリテール営業(個人向け営業)を8年ほど経験しました。飛び込みでお客様を開拓していくのですが、入社当初は緊張で手が震えた記憶があります。ただ、慣れてきたら「一度会った方は絶対に自分のお客さんにするぞ!」という意気込みで業務に励んでおりました。

新谷哲:その後、モルガン・スタンレー証券、UBS証券、メリルリンチ日本証券株式会社と転職をされています。キャリアアップとして移られていったのでしょうか?

田中譲治:決して、ポジティブな転職ばかりではありません。私が当時掲げていた座右の銘は「出ない杭は腐る」です。「出る杭は打たれる」とはよく言いますが、私はおかしいことは「おかしい」とハッキリと言うので、あまり上司には好かれず希望通りの転職もあれば、居心地が悪くなっての転職もありました。大和証券では「上場企業などの事業会社向け営業がやりたい」と、ずっと希望を出していたのですが、なかなか叶わずにいました。そんな時に、モルガン・スタンレー証券から法人営業のお誘いがあり転職をしました。そこでは、事業法人向け営業を担当した後、金融法人向け営業へと移りました。当時1980年代後半はバブルの時代で、「財テクで資産を増やそうとしない企業は無知だ」という風潮があり、信託銀行や金融機関運用会社相手のビジネスは非常に収益性が高まっていたのです。その後はUBS証券へと移り、金融機関ファンドマネジャー、運用会社ファンドマネジャー向け営業に従事します。しかし、機関投資家相手の営業というのは、若い人材が求められることが多く、あまりつぶしがききません。その頃私は40歳位でしたので「証券業界で今後どうやって生きて行くか」と考え、山一証券の営業基盤を引き取りスタートしたメリルリンチ日本証券へと移り、再度リテール営業に従事することにしました。

新谷哲:メリルリンチ日本証券へと移られた1998年頃は、バブルが崩壊し山一證券や北海道拓殖銀行などが倒産するなど時代が動いていましたね。その後、2002年にはIFAとして独立をされています。IFAというお言葉になじみがない方も多いので、どのようなお仕事かご説明頂けますか?

田中譲治:IFA(Independent Financial Advisor)とは、独立・中立の立場から顧客の資産形成・運用・保全についてアドバイスを行う専門家のことを指します。私は、メリルリンチ日本証券の経営方針が変わり嫌気がさしてしまっていた頃に、日興コーディアル証券株式会社(現・SMBC日興証券株式会社)がIFAビジネス部を立ち上げ、IFAとの業務委託契約を開始すると知り、さっそく契約を締結しました。当時の日本ではIFAの知名度は低かったものの、欧米ではステータスのある仕事で、実際に業務にあたると「本当にお客様のために働けている」と実感しました。しかし、なかなか日本ではIFAが普及していきませんでした…。私は、「わが国のリテール金融を変えるためには、IFAを増やす必要がある」と強く感じ、株式会社アイ・ブレーンという金融商品仲介業者に出資をすることで経営参加をし、実質的に2009年に株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルを創業しました。そして短絡的ではありますが、いずれは会社を上場させることで、一般投資家には「IFAという人たちがいる」ということ、そして証券マンには「IFAという働き方があるのだ」と知らしめていきたいとの思いで活動をしてきました。

新谷哲:IFAの先駆者だったのですね!これからの日本では、さらにIFAの需要が高まっていきそうです。

田中譲治:はい。2019年6月に公表された、金融審議会市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」で「人生100年時代、老後には2000万円が不足する」といった問題が指摘されました。それをきっかけに、若い資産形成層の方々が積立などで老後の資金を備えようとする動きが活発化しています。同時に金融行政も、家計の安定的した資産形成を促していきたい方針です。もちろん、個人でしっかりと老後の資産形成ができている方もいらっしゃるのですが、ほとんどの方はファイナンシャルアドバイザーを必要としています。国策である安定的な家計の資産形成をサポートしていけるよう、日本でIFAを増やしていくことと同時に、クオリティも上げていきたいと考えています。

新谷哲:ありがとうございます。当初より上場をお考えだったとの事ですが、上場に向けてのご苦労はございましたか?

田中譲治:いっぱいありました。その中でも特に苦労をしたことが2つあります。1つ目は、資金繰りです。これは、起業された多くの皆さんが経験されることだと思います。弊社の場合、創業時あったキャッシュ2000万円以上が1年後には無くなってしまったので、役員報酬を一時的に未払いにするなどの対策を行うこともありました。2つ目は、内部統制です。中小企業では、承認や決裁のために稟議を起案することはあまりないと思います。しかし上場準備に入ると、勝手気ままな経営は許されなくなり、内部統制を維持するための規程・規則を整えたり、それに伴いたくさんの管理部の人材を採用したりと苦労をしました。社長であっても出張や交際費などの経費申請をしなければならず、煩わしさを感じることもありましたね。

新谷哲:では、株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルの事業内容を教えていただけますか?

田中譲治:弊社は、金融商品仲介業を基軸とし、IFAによる金融サービスのご提供をしています。また、IFAを目指す金融マンが業務に専念し活躍していけるよう、プラットフォームを提供し成功支援を行っています。日本での認知度も向上していて、現在では200名以上のIFAが所属し、お客様のライフプランに相応しい運用方法をご提案させて頂いております。資産形成のお悩みがございましたら、ぜひご相談ください。

新谷哲:ありがとうございます。ここからは違うご質問をさせていただきます。好きなもの、好きなことをお聞きして「歴史本、ドキュメンタリー番組、サッカー・MLBのTV観戦、ジムでの運動」とお答えをいただきました。どのようなドキュメンタリー番組を視聴されることが多いのですか?

田中譲治:一番見るテレビチャンネルは、NHKBSです。特に、ときどきやっていた『欲望の資本主義』みたいな番組や、歴史物が好きです。長い間、証券業界で相場に携わってきたことも関係しているのか、今何が起きているのかを知り、今後どうなっていくのかを考察していく上でドキュメンタリー番組は非常に参考になるので、見ていてしっくりきます。

新谷哲:まさに“賢者は歴史に学ぶ”ですね。座右の銘もお聞きしまして「一隅を照らす、名こそ惜しけれ」とお答えいただきました。これらを選ばれた理由はございますか?

田中譲治:先ほど申し上げたように、若い頃の座右の銘は「出ない杭は腐る」でした。しかし、現在では65歳と良い年齢に差し掛かってきていますので、残り少ない人生をどのように過ごしていくべきかについて考えるようになり、挙げさせて頂いた2つを心に留めるようになりました。1つ目の「一隅を照らす」は、天台宗の開祖である最澄の言葉です。私たち一人ひとりが自分の役割を認識し、それぞれの持ち場で全力を尽くすことによって社会全体が明るく照らされていく。財を成す事よりも、世のため、人のために善を尽くすことができる人こそ、国の宝であるということです。これは、素晴らしい教えですね。社会貢献には、お金がかかる物もあれば、ボランティアやゴミ拾いなどの些細なものまで様々あります。善い行いをしていると気持ちがいいですし、より充実した余生を送るためにも、社会のためにできることを一生懸命やっていきたいと感じています。2つ目の「名こそ惜しけれ」は、武士道の精神を象徴する言葉としても知られています。名というのは自分自身の存在そのものです。その生きざまを映すものだから、汚すことなくその名において誇り高く生きるべきだということです。そのように生きることが出来たら、気持ちいいですよね。結局は、“気持ちがいい”に繋がるということです(笑)。

新谷哲:次が最後のご質問です。全国の経営者、社長、これから起業する方に向けて、社長として成功する秘訣を教えてください。

田中譲治:私の成功の秘訣は、「問題意識を持ち続けてきたこと」です。日本の証券業界においては、その問題がIFAによって解決できると確信し、事業をスタートさせました。起業される段階で「何が問題なのか、それを解決するにはどのようなソリューションが必要なのか?」と、常にアンテナを高く張り社会に求められるものを探していれば、仕事の中でいろいろな発見があると思います。それを見つけ、お客様とWin-Winの関係を築ける商品・サービスを展開することが出来れば、きっと会社は発展するはずです。

新谷哲:大変参考になるお話でした!田中譲治社長、本日はありがとうございました。

編集後記

今回は、田中譲治社長でした。IFAを日本に広めた第一人者です。岸田政権では「貯蓄から投資へ」という目標を掲げていますし、これからの時代とても必要になってくる事業ですね。また、座右の銘もベテラン経営者らしく素晴らしいです。私はまだまだ駆け出し経営者ですので、「出ない杭は腐る」が合うと感じました。ぜひ皆様も参考に、共に成功社長を目指していきましょう!

田中 譲治氏
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 代表取締役社長兼社長執行役員

鹿児島県出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、1979年に大和証券株式会社へご入社されます。その後、モルガン・スタンレー証券会社、UBS証券会社、メリルリンチ日本証券株式会社を経て、2002年にIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として独立し、日興コーディアル証券株式会社(現・SMBC日興証券株式会社)とのIFA委任契約を締結されます。そして、2009年に株式会社アイ・ブレーン(現・株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル)へ入社し、2014年に代表取締役へとご就任。「日本のリテール金融を大きく変える」という使命のもと同社を成長させ、2021年6月には東証グロース市場上場へと導かれました。また、株式会社AIPコンサルタンツ取締役や、一般社団法人日本IFA協会理事を兼任されており、国民一人ひとりの「経済的豊かさ」の実現に貢献をされています。

※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。

本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、田中譲治氏(株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 代表取締役兼社長執行役員)の経営者インタビューを取り上げました。

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