本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、岩田進氏(株式会社 イルグルム代表取締役CEO)です。(2023年5月24日 2023年5月31日 配信)
今回は、株式会社イルグルムの岩田進社長にお越し頂きました。大学を休学し、バックパッカーとして世界を放浪。帰国後に飲食店を経営し、その経験から大学在学中に株式会社ロックオン(現・イルグルム)を起業。その後、上場企業へと成長させたエピソードから経営のヒントが得られます。ぜひ、インタビューをお聞きください。
新谷哲:本日の社長に聞く! in WizBizは、株式会社イルグルムの岩田進社長です。まずは経歴をご紹介します。2001年大学在学中に株式会社ロックオンを創業。2014年に東証マザーズ(現・グロース市場)に上場され、2019年8月には株式会社ロックオンから株式会社イルグルムへ社名を変更されています。本日はよろしくお願いいたします。
岩田進:よろしくお願いします。
新谷哲:最初のご質問です。ご出身はどちらですか?
岩田進:大阪の堺市です。
新谷哲:小学校時代はどのようにお過ごしになられましたか?
岩田進:小学校時代は、奈良から大阪に引っ越したこともあり、最初はちょっと馴染めませんでした。大阪と奈良のノリが若干違ったこともあり、自ら内にこもった感じです。野球少年でもあったので、1人で野球の練習をしたこともあります。
新谷哲:堺は地域柄、活発な男の子が多いイメージがありますが、それとは逆ということでしょうか?
岩田進:そうですね。比較的内向的なのは、この時期に培われたものと思っています。
新谷哲:中学時代はどのようにお過ごしになられましたか?
岩田進:中学時代も相変わらずです。クラブ活動を少しやりながら「将来はどうなるんだろう?」と悩む日々を送りました。
新谷哲:高校は大阪の学校にいったのですか?
岩田進:堺市の鳳という地域にある高校に進学しました。
新谷哲:高校時代はどのようにお過ごしになられましたか?
岩田進:高校時代はラグビー部に入って頑張りました。大阪のラグビーは熱気があり、強豪チームがたくさんあります。その中で、チームのみんなで頑張っていた高校時代でした。
新谷哲:スポーツを一所懸命されていますが、お好きなのですか?
岩田進:そうですね。勉強の方が苦手だったのもありますが、スポーツは一貫してやっていました。
新谷哲:大学はどちらに進まれたのですか?
岩田進:兵庫県西宮市にある関西学院大学の商学部に入りました。一浪しましたが、特別にここで勉強したいわけではなく「比較的近くてちょうどいい」という理由で選びました。
新谷哲:関西学院大学に入れたということは、相当に頭が良いと思いますが、勉強は得意だったのですか?
岩田進:いやいやいや、もう全然です。何とか滑り込んだみたいな感じです。入ってからは難しい時期もありました。
新谷哲:難しいとおっしゃいましたが、大学時代はどのようにお過ごしになられましたか?
岩田進:一浪して入学したのですが、授業に何個か出てみると「あんまり面白くない。このまま4年間勉強して、将来はどうしよう?」と、初めて人生と向き合います。
新谷哲:「こんな風に生きてみよう」などとも思われたのですか?
岩田進:そうですね。最初は漠然と「勉強して学生生活楽しみたい」と思っていたのですが、「これから何して行けばいいのだろう」と悩みました。そして、「このまま4年間過ごすより、バックパッカーで海外を見よう」と思い立ったのです。
新谷哲:バックパッカーで、どちらの地域に行かれたのですか?
岩田進:まず、シンガポールに入り、陸路でマレーシアに行き、タイに行き、という感じでした。当時は沢木耕太郎の深夜特急が流行っていた時期でもあったので、世界一周みたいなところに憧れがありました。シンガポール、マレーシア、タイと行って、インドも周ろうかとも思いましたが、私は飽き性なところもありました。「これからグルっと世界を周ると時間がかかる」と思い、タイのバンコクからニューヨークに飛びました。そこで、自分の人生観が変わったと思っています。
新谷哲:ニューヨークではどのように過ごして、人生観が変わられたのですか?
岩田進:コストが非常にかかるので、バックパッカーが行く街ではありませんね。タイでは1泊200円~300円でしたが、ニューヨークでは数千円かかります。しかし、9・11(2001年NYで発生したテロ事件)以前のニューヨークは盛り上がっていて、世界中から面白い人が集まっていました。その中では「自分はアウェーだ」と感じます。アジアに行ったときは馴染むのですが、ニューヨークや、その後のヨーロッパでも、1人ぽつんと孤立していると感じました。今だとネットで日本と繋がれますが、当時はインターネットがなく、電話も使っていなかったので、1人孤立した感覚を持って生活をしました。コミュニティに属さない生き方がいかに寂しいかを痛感し「コミュニティに受け入れられたい」という渇望がありました。家族、仕事、スポーツなど、どんなコミュニティでも価値を提供しなければ良い関係は築けません。その意味でも、ニューヨークで受け入れられるには価値を提供しなければいけませんが、20代前半の私では難しいと感じました。これが自分の人生の転機になって「このグローバルで価値を提供して受け入れられる人間になりたい」「いかにすれば他人から感謝される生き方ができるのか」と考えるようになりました。
新谷哲:そのお考えになった時は、大学の何年生だったのですか?
岩田進:大学1年生です。バックパッカーをやって3ヶ月くらいの時なので、大学1年生の10月頃です。
新谷哲:では、1年生から授業にも出ずにバックパッカーになったのですか?
岩田進:大学は入ってすぐ、4月か5月には休学しました。そこから海外に行く準備をして7月に旅立ったっていう形でしたね。
新谷哲:ご両親に心配はされませんでしたでしょうか?
岩田進:安全かどうかも分からない国を「バック1つで回る」と、初めて海外に行く人間が言っていたので、相当心配されました。関西国際空港から見送るときは、親は泣いていましたね。
新谷哲:大学に入ってすぐ休学され、バックパッカーになったきっかけはございますか?
岩田進:日本にいた時に、先のイメージがつかなかったこと。また「海外ってどんな場所なのだろう?」という好奇心もありました。留学生はたくさんいましたが、留学だと1ヶ所しかいけないので学びも限定的になると思いました。そこで、小説などを読みながら「バックパッカーなら世界中を、好奇心の赴くままに見聞きできる」と思い「これで行ってみよう」という感じでしたね。
新谷哲:英語はお得意でしたか?
岩田進:英語は全然できなかったです。ただバックパッカーって「What your name ?」と「Where are you from ?」で大体対応できます。それでお店に行ってお金払いさえすればいいので、そんなに困らなかったです。
新谷哲:岩田進社長は元々チャレンジャーで、創業者らしい起業家らしい精神をお持ちだったのですね。
岩田進:起業家になりたいと思ったことは1回もないので、そうでもないと思います。
新谷哲:ニューヨークの後も、バックパッカーを続けたのですか?
岩田進:一旦、帰国しました。ニューヨークに行った時に「世界中の人から感謝されるような生き方をしたい」と思い自分の人生の指針が明確になりました。次に「どうやって実現するのか?」を考えました。歌やスポーツなどで活躍するのは理想ですが、簡単にはできません。その時に、ソニーや東芝などの電化製品や、日本車がニューヨークで使われているのを見て「ビジネスなら世界中の人から感謝されるようなことができる」と感じました。それで「日本に帰ってビジネスマンとしての基礎を作って、10年後に海外でチャレンジしよう」と思い帰国します。
新谷哲:大学在学中に起業をしていますが、帰国のタイミングで起業しようと思ったのですか?
岩田進:帰国したときは起業しようとは思っておらず、仕事をして世界で通用するビジネスパーソンになろうと考えていました。まずは最寄り駅の飲食店でアルバイトをしましたが、周囲の人と話が嚙み合いませんでした。私は世界に行くためにアルバイトをしますが、多くの人は時給のためです。「ここを辞めて他にいっても同じではないか」と思い、オーナーのところに行って「この店を譲ってほしい」と話をします。色々あったのですが、結果的に譲っていただき自分の店になります。これが大学1年生の2月頃です。
新谷哲:飲食店のオーナーが最初の創業だったのですね。起業しようと思っていないのに、オーナーになられているのですから、起業家精神があったのですね。
岩田進:あったんだと思います。この飲食店は、オーナーが複数店舗を持っていました。そのうちの1店舗にたまたま入り、赤字であることがすぐに分かりました。「こうすれば改善できる」というイメージがあり、推進するためには自分がリーダーシップを持った方がより良くなるし、お客様も喜んでくださると思いました。それで「この店を譲ってほしい」と提案しました。なので起業家になりたいのではなく、目の前の課題なり困っている人を、もっと良くしていきたいという気持ちの延長線上に、起業があったのだと感じています。
新谷哲:赤字の店舗を譲られる際に、怖さなどはございましたか?
岩田進:不思議なことに、なかったです。失敗した経験がないのも大きかったと思います。
新谷哲:19歳で飲食店を買うのは、当時としてはかなり珍しいと思います。ご両親に「飲食店のオーナーになる」と伝えた時は、どのような反応をされましたか?
岩田進:事後報告で伝えました。バックパッカーの時も全部用意してから「海外に行ってくる」と伝えています。飲食店を譲り受けた時も同じでした。
新谷哲:ご両親はお許しによくなられましたね。
岩田進:決まっている話なので、両親にはどうしようもなかったです。諦めの境地になっていたのかもしれません。
新谷哲:飲食店はすぐに黒字化されたのでしょうか?
岩田進:いやいやいや、苦い経験をしました。私の両親も一時期飲食店をやっていたことや、周りに飲食店がたくさんあることから「自分も飲食店の経営ができる」と根拠のない自信からスタートしました。いざやってみると本当に大変で、黒字になることもなく1年で辞めることになりました。
新谷哲:資金面は大変でしたか?
岩田進:本当に大変でした。従業員の皆さんにはバイト代をお支払いしないといけないので、自分の給料が取れませんでした。掃除・仕入れ・調理・ホールなど、限りなく自分で動くことでキャッシュアウトするのを避けようとしました。
新谷哲:資金調達はされましたか?
岩田進:立ち上げの時に両親から軽く借りましたが、それ以降は資金調達をしませんでした。改善が難しいので、店を辞めることになりました。
新谷哲:その失敗の体験から学ばれたことはございますか?
岩田進:たくさん学びました。代表的なものを1つあげると、立地です。安易に聞こえるかもしれませんが、立地がビジネスにおいて最も重要だと気付きました。私がやっていた店は駅の中にある飲食店だったので、それ自体は悪くありません。しかし、改札から自転車置き場への通路でした。人通りは多いのですが、彼らは自転車置き場に向けて急いでいます。私は店の中から毎日見続けており、それで立地の重要性を痛感いたしました。
新谷哲:飲食店を閉められた後はどうなさったのですか?
岩田進:毎日パソコンをやっていました。飲食業は立地も重要ですが、競合店が非常に多いです。私はオムライス屋でしたが、蕎麦屋に中華、スーパーやコンビニなど、全てが競合になるので飲食店のビジネスは難易度が高いと感じ、これから伸びていくビジネスを選択したいと思いました。また、私は調理師ではありません。飲食店時代は別に調理師を入れていましたが、自分がある程度作れないとマネジメントが難しいと初期段階には感じていました。やはりお互いに議論しながら出ないと良いものはできません。それで、何かの技術を身に付けたいと思います。当時は1998年頃で、インターネットがすごく伸びそうだと考えました。それからは技術を身に付けてネットワークエンジニアになるべく、パソコン小僧みたいに毎日パソコンを触っていましたね。
新谷哲:技術を身に付けようと思うと、普通はどこかにお勤めになると思いますが、それをせずに独学で勉強をしたのですか?
岩田進:そうですね。休学していた大学に復学したので、下積みは独学でやろうと思いました。当時はインターネットに関する本もほとんどなく、専門の学校もありません。ビジネスの分野もまだまだ小さい状況でした。海外サイトなどを見ながら手探りで身に付ける時期が1年あり、次のステージに行く段階で「働いた方がいい」と感じました。インターネットの場合は機器などが必要になるので、バイトを募集している企業を探したり、募集していない企業に飛び込みなどもしました。
新谷哲:なるほど。それでどちらにお勤めになったのですか?
岩田進:社員が4人ほどの有限会社が有望だと思いました。そこでは優秀なエンジニアの方々がおり、自分と比較したときに「逆立ちしても勝てない」と思いました。勝てないことをやっても感謝されないかもしれないので、バイトの面接にまで行きましたが「ネットワークエンジニアを辞める」と決断しました。
新谷哲:失礼な言い方かもしれませんが、普通はその優秀なエンジニアの方々から学んで自分も優秀になる、という選択をすると思います。辞めると決断したのは、どういった理由からでしょうか?
岩田進:自分が圧倒的に及ばないほど優秀な人がおり、人に価値を提供できないので他の分野でチャレンジしよう、考えました。私の時代に、マイク・タイソンという有名なボクシング選手がいました。彼はグローブをはめた時点から「ちょっとトレーニングすれば世界チャンピオンになれる」と言われた才能のある選手です。私は才能があるのはそうした方々だと考えています。ネットワークエンジニアの分野も、彼のように圧倒的に優れた才能がなければトップに行けない分野だと思い、別の道に行こうと決めました。
新谷哲:岩田進社長はどのようにして、他の方々に価値を与えられる才能を見つけたのですか?
岩田進:飲食店のオーナーや、ネットワークエンジニアをやりながら、新しい事業領域を見つける事業構想力は、一定の価値を届けられると思いました。コンピューターの世界で言うミドルウェアというインフラプレイヤーから、その上にアプリケーションでサービスを作るレイヤーがあります。そのサービス領域であれば自分の発想をより幅広く表現できると考えて「チャレンジしてみよう」と感じました。
新谷哲:その後、株式会社ロックオン(現・株式会社イルグルム)の創業に繋がっていくのですか?
岩田進:繋がりますが、ワンクッションあります。ネットワークエンジニアを辞めてすぐ、次のサービスを作りだしました。それが旅行のコンテンツポータルサイト、今で言うトリップアドバイザーのようなものです。「地球の歩き方」などのガイドブックを持って世界中に行く文化がありました。それをオンラインでユーザー投稿型にしてしまえば、世界中から良い情報が集まって日本人の旅行スタイルが変革すると考えて、Webサービスを作ります。それが1999年ぐらいで、常時接続回線がなかったのでユーザーを集めるのに苦労しました。ユーザー集めと同時に、デザインや開発プログラミングも苦労します。外注するとスピード感やクオリティが損なわれますし、コストも変わってきます。Webサービスを内製で作れるチームを持たないと勝ち目がない、と感じました。そこでWeb制作会社を作ったのが、株式会社ロックオンのスタートです。
新谷哲:では、ホームページ作成の分野が最初だったのですね。創業したとき、将来このようになろう、という構想は立てていましたか?
岩田進:バックパッカーの時の気付きの通り、グローバルに影響を与えたいと思いました。弊社には「Impact On The World」という企業理念があり、いずれ世界に大きなインパクトを与える会社になるという志を持っていました。
新谷哲:現在の株式会社イルグルム様の分野と、ホームページ制作は離れている気がします。どのように新しいビジネスを開発したのか、お聞きしたいです。
岩田進:Web制作会社で世界に行くのは難しいと感じました。オーダーメイド型のビジネスになるので一企業様からは感謝されますが、iPhoneやウォークマンや車のように全世界に行くのは難しいです。海外にチャレンジして大きなインパクトを世の中に与えるには、プロダクトを作ることが近道だと感じ、早くから自社プロダクト、自社サービスを作ることを考えます。Web制作会社は、プロダクトを作れるチームを作るためにスタートした、という認識ですね。制作会社として規模が大きくなると、マネジメントのコストが大きくなります。自分が営業に行って付加価値の高い案件を持ち帰って開発するには、ワンチーム6人~7人がちょうどいい規模です。しっかりした品質が作れるチームになったことで、次のプロダクトを作ることにしました。それが今の主力サービスにもなっている「アドエビス(AD EBiS)」です。これが創業して3年ぐらい、2004年頃のことです。
新谷哲:では、創業3年で自社商品・サービスをスタートさせたのですね。その頃には、上場を目指そうという意思はあったのですか?
岩田進: 2004年どころか、創業した2001年から上場を考えていました。
新谷哲:なぜ創業時から上場を考えていたのですか?
岩田進:「Impact On The World」を考えていくうえで、人・モノ・金・情報というリソースを最大化してビジネス展開する必要性があると感じました。ソニーやトヨタなど、世界にインパクトを与えている先輩企業を見ても上場していたので、自分の中では既定路線、当然のこととして上場を考えました。
新谷哲:上場に向けての苦労などはございましたでしょうか?
岩田進:色々な苦労がありました。2007年に最初の資金調達をしました。外部から資金調達するときは「上場を目指しましょう」となります。そこから上場する2014年まで、7年もかかりました。3年で上場する企業もある中、長い時間をかけてしまい「やっぱり上場は難しい」と感じましたね。
新谷哲:どんな点が難しいと感じたのでしょうか?
岩田進:上場準備をしたころ、社員数は20人~30人です。そんな規模感では、稟議などはありません。社員と話して「これやりましょう」というレベルでなく「これに印鑑ください」と言われ「そこに転がってるから押して」と返すレベルです。上場企業になるにはコンプライアンスが大事です。仕組みを作らなければいけない、権限委譲もしなければいけないなど、会社のオペレーションが全く違います。「ITベンチャーでありながら、鉄工所の基準を要求されている」とまず感じました。上場するのだから当然の要求だと、今ならば理解できます。しかし当時は全くイメージができずに、まじめに対応していたら業績がガタ落ちしました。例えば「社長が前線に出て営業はあまりやらないで」と言われましたね。このままでは会社がおかしくなる、と1回上場準備をやめます。それで徐々に準備をしてもう1回チャレンジ、というのを何度も繰り返しているようなイメージです。
新谷哲:内部統制が大変だったのですね。お話しいただきありがとうございます。続きまして、株式会社イルグルムの事業内容をご説明いただけないでしょうか。
岩田進:弊社は大きく2つの事業を展開しています。1つがマーケティングの効果測定。アドエビスで企業様の広告を出稿する際に、その広告にどの程度効果があったのかを分かるようにするツールを提供しています。国内では圧倒的ナンバーワンシェアをいただいております。もう1つがECサイトの構築支援です。Eコマースを構築する際に、自分流にカスタマイズして独自のECサイトを作れる「EC‐CUBE」というサービスを提供しております。こちらも国内では非常に多く使われています。現在はツールの提供だけではなく、自らもECサイト構築支援をしています。弊社はこの2つの事業構成になっております。
新谷哲:お答えいただきありがとうございます。ここからは全く違う質問をいたします。事前に好きな物、好きな事をお聞きして「クラシックカー、読書、ゴルフ、スポーツ観戦」とお答えいただきました。クラシックカーとお答えになられた方は初めてなのですが、どんなクラシックカーがお好きなのですか?
岩田進:幼少期に街中で走っているのを見て憧れた、50年物のポルシェに乗っています。空冷ポルシェで作りとしては非常にシンプルで音が良く、50年前にエンジニアが作った車が現代でそのままの形で走っていることに感動します。本当に、運転するたびに感動しています。そういう魂のこもった仕事をしたいと思いますし、常に触れることができる車はリスペクトしています。そういう意味では、本当に好きな物の1つです。
新谷哲:経営のご姿勢に通じるものがあるのですね。次に座右の銘もお聞きして「至誠天に通ず」とお答えいただきました。こちらはどういう意味で、なぜ選ばれたのでしょうか?
岩田進:生きていく上で、経営していく上で、良い時、悪い時の浮き沈みがあります。大変な時期はたくさんあります。騙されることもあるかもしれません。本当にシビアな環境ではありますが、その中で長期に渡って発展するために何が一番大事か。それは誠実であることだと思っています。常に誠実をぶらすことなく取り組み続ければ、地道に階段を上るように少しずつ成長すると考えており、自分自身の生き方として一番大事にしています。
新谷哲:次が最後のご質問です。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教えください。
岩田進:シンプルに諦めないことだと思います。成功か失敗か、という話はずっとやり続ければ絶対成功になると思っています。諦めたらその時点で終わり、人生後悔が残ると思っているので、諦めないことが成功の秘訣です。例えばスポーツ選手であれば、100m走るという一定時間の中で勝負しなければいけません。サッカーや野球でも、一定のルールの中で勝負をします。しかし、経営は時間も人数も限られていませんので、取れる手段が無限大になります。そこが経営の有利なポイントですので、諦めない限りは必ず成功すると考えております。
新谷哲:岩田進社長、本日はありがとうございました。
岩田進:ありがとうございました。
編集後記
新谷哲:岩田進社長は本物の創業者、起業家だと思います。バックパッカーから始まり19歳で飲食店のオーナーをする度胸もすごいです。飲食店をお辞めになった後も、ネットワークエンジニアになり、事業構想側に移って、最後には上場企業の社長になっております。本物の経営者とはこういう方なのだと思わせていただける、素晴らしい社長でした。座右の銘の「至誠天に通ず」という話も、つくづく経営の事を分かっていらっしゃると感じさせていただきました。私ももっと誠実になっていきたいと思った次第です。
岩田進氏
株式会社 イルグルム代表取締役CEO
2001年、大学在学中に株式会社ロックオンを創業。以来、“Impact on the World”をミッションに、デジタルマーケティング領域の製品を開発し、マーケティング効果測定プラットフォーム『アドエビス』、ECオープンプラットフォーム『EC-CUBE』を、インターネット広告市場、BtoC Eコマース市場各々において国内No.1シェア製品へと成長させ、国内最大級のマーケティングソリューションを構築した。2019年8月より、株式会社ロックオンから株式会社イルグルムへ、社名を変更。データとテクノロジーによる新しい価値の創造と更なる飛躍を目指す。
※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。
本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、岩田進氏(株式会社 イルグルム代表取締役CEO)の経営者インタビューを取り上げました。
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