本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、長澤誠氏(株式会社フルッタフルッタ 代表取締役)です。(2018年3月7日、2018年3月14日 配信)
今回は、スーパーフード「アサイー」のパイオニアであり、2014年に東証マザーズ上場を果たした、株式会社フルッタフルッタ 長澤誠氏にお越しいただきました。幼少期はガキ大将、高校時代はドクターストップ中にも拘らず、大人に内緒でアメフトの試合に出たというエピソードもあります。現在の事業にたどり着くまでのアマゾンフルーツとの運命的な出会いのお話、そして創業当初から目指した上場を果たすまでのお話など、盛りだくさんで学びに溢れた経営者インタビューとなりました。
新谷哲:今回の経営者インタビューは、長澤誠社長です。まずはご経歴をご紹介いたします。1986年関西学院大学を卒業後、京セラ株式会社や食品メーカーを経て、2002年株式会社フルッタフルッタを設立し経営者となります。「アサイー」のパイオニアとして、日本でいち早く輸入を開始するとともにアマゾンフルーツを通じてアグロフォレストリーを先進国市場に結び付けるビジネスモデルを展開されています。「自然とともに生きる」を企業理念として、経済と環境が共存共栄する社会づくりを目指す、マザーズ上場企業の経営者でいらっしゃいます。長澤誠社長、よろしくお願いいたします。
長澤誠:よろしくお願いします。
新谷哲:最初のご質問です。ご出身は神戸ですか?
長澤誠:そうです。
新谷哲:小学校・中学校時代はどのようにお過ごしになりましたか?
長澤誠:ある意味、個性的な子どもだったと思います。集団行動が嫌いで、皆が「これをやろう」と言うと、1人で違うことをやる子どもでした。
新谷哲:もともとの性格が経営者に向いたのですね(笑)。
長澤誠:三つ子の魂百までです(笑)。
新谷哲:高校も関西だったのですか?
長澤誠:大学まで関西です。
新谷哲:高校時代はどのようにお過ごしになりましたか?
長澤誠:中学校の時に病気にかかりました。それまではスポーツしか取り柄のない子どもだったのですが、担当医から「激しいスポーツはやっちゃいけない」と言われたので、「それなら高校は一番激しいスポーツであるアメフトをやろう」と決めました。当時アメフトの日本一のチームが関西学院だったので、受験を決意しました。
新谷哲:関西学院ではアメフト部所属ですか?
長澤誠:そうですね。
新谷哲:大学もアメフト部に所属したのですか?
長澤誠:はい。しかし病気の問題があったので、親には、「プレイヤーは絶対やらない」と言って、秘密裏にプレイヤーをやりました。大学は残念ながら途中退部しましたので、アメフトは通算5年~6年やりました。
新谷哲:両親や担当医には、アメフトのプレイヤーであることは、バレなかったのですか?
長澤誠:バレました(笑)。ある時、私の母親と主治医が、木陰から悲しそうな顔をして見学しているのを見て、驚きました。
新谷哲:主治医の方から止められたり、大変だったのではないですか?
長澤誠:その時は強制的に引き上げられて、すぐ検査です。でも幸いにして完治していました。主治医は苦虫を噛み潰したような顔をしていましたけど、完治していたので無罪放免です(笑)。
新谷哲:そのころから、一本気な方だったのですね(笑)。
長澤誠:信じたことをやるスタイルでした(笑)。
新谷哲:大学は、関西学院大学に進まれていますが、エスカレーターですか?
長澤誠:エスカレーターです。
新谷哲:大学時代の思い出はございますか?
長澤誠:大学は、通算6年通いました。好きで始めたアメフトは、ふとしたきっかけで、飛び出しています。格好良く言うとドロップアウトです。アメフトの一流チームを辞めて、自分の力と看板の無力さを知って、そこからまた負けん気が出ます。「一流チームの普通に卒業していく人達に、負けちゃいけない。今度は個人の力で乗り越える」と決意した大学生時代を過ごしました。振り返ると、それが私の人生を決めたと思います。
新谷哲:大学卒業後は京セラに就職されたのですよね?
長澤誠:そうですね。
新谷哲:京セラを選ばれた理由は何でしょうか?
長澤誠:これも運命だと思うのですが、当時、京セラさんは人工骨や電波法など、色々な事件が起きて、社会的に叩かれていました。私はへそ曲がりなものですから、そこで興味が湧いて、入社試験を受けたという経緯です。
新谷哲:京セラの経営者は稲盛和夫さんですから、経営者として学んだこと、勉強になったことは多かったのではないですか?
長澤誠:結果的には、経営者として多くのことを学びました。最初に興味を持ったのは「事件の情報が知りたい」でしたが、事件の情報に触れていく度に「あれ?」と思うようになります。私が学生の時「社会なんてこんなものだろう」と、社会をうがった目で見ていたのですが、京セラさんは「思っていたこととは違うことがバンバン出てくる」と感じました。その大元が、経営者の稲盛和夫さんだったので、すごくファンになりました。会社にたくさんあった本を始め、稲盛和夫さんの書物も読みあさり、知らず知らずのうちに洗脳されていきました(笑)。それが経営者としての私のベースだと思います。
新谷哲:京セラは何年ぐらいお勤めになったのですか?
長澤誠:たったの5年しかいませんでしたが、非常に凝縮した5年でした。当時、営業の経営幹部に随分かわいがってもらっていました。当時の京セラは1万人以上の大きな会社だったので、フィロソフィーが隅々まで浸透していませんでした。そんな中、経営者の稲盛和夫さんに非常に近い位置にいる経営幹部を通して、フィロソフィー・経営の考え方を教えてもらえたのは、非常にラッキーでした。
新谷哲:京セラを辞められた後、食品メーカーに転職なさっていますが、選ばれた理由はございますか?
長澤誠:これはもう単純に、私の父が経営する上場企業だったからです。私は長男でしたので、経営のお手伝いをしようと入りました。
新谷哲:それは後継経営者として「戻ってこい」という感じですか?
長澤誠:経営者の父からすると、そうだと思います。しかし、私は最初から京セラに行ったぐらいですから、二代目経営者としては失格です。後継経営者としては、弟がちゃんとポジションに就いていました。私の考えは「経営のお手伝いをする間に充電して、自分の次を決めよう」というものでした。
新谷哲:お父様が経営する会社に入られた後、2002年にフルッタフルッタを設立し経営者になられていますが、独立して経営者になった経緯をお教えいただけますか?
長澤誠:父が経営する会社はチョコレートを扱う会社でした。私は父が経営する会社に入るまで「食品」という業界をしりませんでしたが、京セラの時に学んだ経験が生きたのです。京セラも「原料メーカーから自社ブランドへの展開」をするのに苦労されていました。父が経営する会社は小さいですが、当時の京セラと同じ環境があったので、「自分が経営する会社のものを、父が経営する会社にいる間に作ろう」と決めました。それでオンリーワンのものを探していた時に、友人が「アマゾンでカカオの親戚のフルーツがあるよ」と教えてくれて、アマゾンとの繋がりが出来たので独立し経営者となった、という経緯です。
新谷哲:フルッタフルッタは創業時から、上場を目指して経営をされていたのですか?
長澤誠:こういう言い方が正しいか分かりませんが、私はほぼゼロから事業経営をスタートしました。投資家の皆さんからお金を募っているので、「私のビジネスプランに対して賭けてくれた方々へのイグジットは、やはり上場だ」と考えて経営をしておりました。
新谷哲:上場について、何か苦労はございましたか?
長澤誠:今から考えると「よく上場できた」と思うことがありましたが、「弊社の事業を応援してくれる皆さんがいた」ことが上場まで持ち上げてくれたと思います。弊社は「アサイー」というフルーツを中心に売る会社ですが、知名度が上がったり、市場が短時間に大きくなるなど、不思議なことに全てが良い方向に働きました。それらも、弊社を応援してくれる皆さんの支援があったからだと思います。
新谷哲:素晴らしいです。よろしければフルッタフルッタの事業内容や今後の事業展開などをお教えいただけますか?
長澤誠:私がフルッタフルッタを起業し経営者となったのは、運命的な出会いがあったからです。まず、アマゾンで日系人がやっている農業。これはアグロフォレストリーという農業で、森林伐採の跡地にいろんなフルーツを植林するもので、「まるで森を作るような農業だ」とすごく印象に残りました。そこで「彼らの作る果物や製品を販売することで、少しでもサポートをしたい」と思ったことが事業経営の原点です。
次世代型の経済には、自然をベースにした経済が必要だと感じています。アマゾンで、経済発展の犠牲になる自然を見て、「アグロフォレストリーの製品を売ることで、結果的に自然を守る新しいビジネスモデルができる」と感じて、フルッタフルッタを設立しました。
新谷哲:フルッタフルッタの活動が、これからの未来を拓くという素晴らしいお話をありがとうございます。少し違う質問をさせていただきます。事前に好きなもの・好きなことを質問したところ、「自然・コーヒー・ワカモーレ・鉛筆・アマゾン料理・逆境・チャレンジ・ものづくり・ブランディング・革命・サーフィン・健康」とお答えいただきました。アマゾン、アサイーの経営もやっているからかも知れませんが、長澤誠社長は自然がお好きなのですか?
長澤誠:自然は好きですが、新しく作る方が好きです。自然は、新しいものを作るベースですから、自然が好きなのだと思います。
新谷哲:好きなこと・好きなものでもう1つ、「逆境・革命・チャレンジ」といただきました。成功している経営者らしいお答えですが、選ばれた理由というのは何かあられますか?
長澤誠:これはもうシンプルです。「逆境・革命・チャレンジ」=「ビジネスチャンス」ですね。我々「3F」なんて呼んでいますが、世の中に「3F」は色々あり、ビジネスチャンスはそこにあります。特にベンチャー企業の経営は、その隙間を埋めていくものだと思っています。
新谷哲:勉強になるお話ばかりで、本当にありがとうございます。座右の銘もお聞きしましまた。「アマゾンは大車輪のごとし」という長澤誠社長らしい座右の銘ですが、どのような意味でしょうか?
長澤誠:これは、私の尊敬する経営者からいただいた言葉です。アマゾンで大きな植林会社の経営者で、その方にフルッタフルッタの経営を始めると言ったとき「長澤くん、アマゾンは大車輪のごとしだ」と言われました。どういう意味かと言うと「アマゾンで何かを動かそうとするとき、非常に大きなエネルギーがいる。1人や2人のエネルギーで動くものではないので、経営者として苦労する。しかし、大車輪ですから一旦動き出すと、1つの回転が大きい。こういうことを信じて経営しなさい」ということです。今はまだ、車輪は動いていませんが(笑)。
新谷哲:上場までしたので、車輪は動いていると思います(笑)。
長澤誠:いやいや、まだまだです(笑)。
新谷哲:最後に、全国の経営者向け、これから起業する方に向けて経営者として成功する秘訣・方法をお教えください。
長澤誠:私が思っている経営者として成功する秘訣・方法は、「好きこそものの上手なれ」です。やはり「自分のエネルギーが最大に出る環境をいかに長い時間キープするか」が経営者には必要です。自分の得意分野、得意エリアを仕事にすることが一番良いのですが、世の中そんなに簡単ではありません。ですから、与えられたチャンスを、いかに自分の好きな世界に落とし込めるか、その努力ができるかが重要です。
新谷哲:大変勉強になるお話を、ありがとうございます。私が一番勉強になりました(笑)。長澤誠社長、お忙しい中お越しいただき、ありがとうございました。
長澤誠:どうもありがとうございました。
編集後記
長澤誠社長には、「チャレンジ」や「アマゾンは大車輪のごとし」など、上場している経営らしい、素晴らしいお言葉をいただきました。「アサイー」は広辞苑にも載ったそうでして、これは長澤誠社長のお力ではないかと思います。長澤誠社長は「まだまだ成功していない、もっと頑張る」と上場企業の経営者に共通することをおっしゃる謙虚な方でした。私ももっとチャレンジしていきたいです。
長澤誠氏
株式会社フルッタフルッタ 代表取締役
1986年関西学院大学を卒業。その後、京セラ株式会社や食品
メーカーを経て、2002年株式会社フルッタフルッタを設立。「アサイー」のパイオニアとして、日本でいち早く輸入を開始するとともにアマゾンフルーツを通じてアグロフォレストリーを先進国市場に結び付けるビジネスモデルを展開。2014年に東証マザーズ上場。
※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。
本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、長澤誠氏(株式会社フルッタフルッタ 代表取締役)の経営者インタビューを取り上げました。
『社長の孤独力』抜粋版(PDF29ページ)
無料プレゼント中!
『社長の孤独力』(新谷哲/著) の【抜粋版】を無料プレゼントしております!
71の課題の中から「資金・人材・売上・採用・後継者」の5つを抜粋いたしました。銀行からお金が借りれない、社員がすぐに辞めてしまう、売上を伸ばしたい、など、具体的なお悩みの解決策が掴めます。ぜひご覧ください。
無料プレゼントの詳細はこちら