成功経営者インタビュー

株式会社パルマ 代表取締役社長 高野茂久氏 インタビュー

本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、高野茂久氏(株式会社パルマ 代表取締役社長)です。(2018年7月 4日  2018年7月11日  配信)

今回は、セルフストレージ事業向けビジネスソリューションサービスを経営する、株式会社パルマの高野茂久社長にお越しいただきました。栃木県で生まれ育ち、早稲田大学卒業後に1988年日本アジア投資に入社。信金キャピタル等を経て、株式会社パルマの社長に就任されました。やると決意してから1年半という短い期間で、会社を上場に導いたストーリーとは?心を整えること、志高くあること、驕らず普通であることなど、経営者として、そして人として大切なことに気付かされる高野茂久社長のお話を、ぜひお聞きください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、マザーズ上場企業の株式会社パルマの高野茂久社長です。まずは経歴をご紹介します。半官半民の東南アジア向け投資会社日本アセアン投資、現在の日本アジア投資にご入社後、福岡支店長、名古屋支店長、経営企画室長を歴任されます。その後、信金キャピタル株式会社の投資部長に移られて、2006年に、現在の株式会社パルマの代表取締役にご就任された経営者です。よろしくお願いいたします。高野茂久:よろしくお願いします。

新谷哲:ご出身は栃木県とのことですが、小学校・中学校時代は、どのようにお過ごしになりましたか?

高野茂久:実家が事業を経営していたので、商売・経営に触れる機会が多く「商売ってこうするんだ」、という経営の哲学を、祖父から教わりました。

新谷哲:その経営の哲学は、今も覚えているのですか?

高野茂久:色々と覚えています。

新谷哲:高校も栃木県ですか?

高野茂久:そうです。宇都宮の高校に行っています。

新谷哲:高校時代はどのようにお過ごしになりましたか?

高野茂久:高校時代は、部活動をやっていました。でも実家から遠くて、バス、電車、自転車を乗り継いで片道1時間半くらいかかりました。高校時代の思い出は「とにかく通うのが大変だった」ですね(笑)。

新谷哲:高校は遠かったのですね。上場企業の経営者ですので、勉強はできたのではないですか?

高野茂久:まぁまぁ、だったと思います。

新谷哲:大学は、東京に出てこられたのですか?

高野茂久:はい。

新谷哲:大学時代は、どんな思い出がございますか?

高野茂久:毎日、大学には行ったのですが、授業はあんまり受けませんでした。学校の周りでビリヤードをやったり麻雀をやったりしていました。

新谷哲:普通の大学生でいらっしゃいますね(笑)。

高野茂久:勉強は多少したりする、普通の大学生でした。

新谷哲:大学時代に「起業しよう、経営者になろう」ということは考えたのですか?

高野茂久:「自分で起業して経営者になる」というよりは、「大きい会社や、半官半民の会社に就職して、海外で何かやりたい」と思っていました。

新谷哲:大学卒業後は、新卒で大企業にお勤めになったのですか?

高野茂久:大企業には、入社しませんでした。しかし、ジェトロと、大手総合商社の1社に内定をいただきました。このどちらか入社しようと思っていたのですが、親が「実家に帰ってこい。地元の銀行に入社しなさい」と言ってきたのです。面接も受けていないのですが、地元の銀行に入社しました。ところが、「こいつは地元で働くのは駄目だろう」というので、東京支店に配属してくれたのです。しかし半年働いて馴染めなかったので、「第二新卒で採用してもらえませんか?」という手紙を色々な会社に出しました。その中の1社が、当時の日本アセアン投資(現・日本アジア投資)という会社です。ベンチャーキャピタルなんてことも知らないのに、「政府が半分持っているから潰れないだろう」と入社しました(笑)。

新谷哲:そうでしたか(笑)。日本アセアン投資では、投資先を探すお仕事から始められたのですか?

高野茂久:そうなのですが、「東南アジアに工場を作る」ことは非常に珍しい時期でしたね。上場会社ばかり回り、「タイってこんな国で、投資環境はこんな感じです。工場はこんな形でやればできます」と情報を提供し、「東南アジアで事業の経営をしませんか?」という提案をしました。説明しても「へー」と言われるだけだったので、新興宗教を説いて回る感じがしました(笑)。

新谷哲:新興宗教とは違うと思います(笑)。では、「海外進出をしませんか?」と提案するイメージですね。

高野茂久:そうです。

新谷哲:僕の日本アジア投資のイメージは、VC(ベンチャーキャピタル)のイメージが強いので、意外な仕事内容でした。

高野茂久:VCは国内の案件をやるようになってからです。日本アセアン投資と日本アジア投資は、別な会社だと思ったほうが良いぐらい、違う事業を経営していました。

新谷哲:福岡支店長、名古屋支店長でも、海外進出が中心ですか?

高野茂久:私は福岡支店長をやるまで、国内の投資を扱っていなかったので、福岡に行ってもしばらくは海外進出でした。海外進出の投資は、30%~40%の株式を持つのが当たり前でしたので、経営者の方と一緒に、事業を経営している感覚でした。

新谷哲:でも出世をしていくと、やはりVCの案件にも関わっていくのですよね?

高野茂久:はい。国内の案件は、VCとして関わりました。

新谷哲:その後、信金キャピタルの投資部長に移られていますが、なぜ移られたのでしょうか?

高野茂久:これは信金中金(※)が、投資会社を立ち上げている最中に経営者の方から「高野くんは一から作っていく案件が好きじゃないか。一緒に立ち上げをやってみないか?」と言われ「VCを一から作るなんて珍しい経験になる」と移りました。

(※信金中金とは、信用金庫の中央銀行にあたる金融機関)

新谷哲:信金キャピタル時代の思い出はございますか?

高野茂久:実は、あまりありません。信金中金は中央機関と言われていたので、「信用金庫の指令塔」というイメージがあったのですが、実際は連合会で、信用金庫の支援があって初めて成り立つ組織でした。そこがちょっと驚きました。

新谷哲:信金中金の立ち位置は、そのような感じだったのですね。その後、パルマを起業し経営者となられますが、なぜ起業して経営者になろうと思ったのですか?

高野茂久:きっかけは、アジア投資時代に投資させていただいた経営者が、「何か新しい事業を作りたい。小さなお金が降り積もって、長く経営が続く商売を考えてほしい」と言われました。その時は3つの事業を経営することになり、その中の1つがパルマの事業でした。

新谷哲:残りの2つは、どのような事業ですか?

高野茂久:1つは、ある程度お金を用意してもらえたので、ファクタリングで手数料が取れるという事業。もう1つは、短期単発日払いの人材サービス業を、WEB上で行うという事業です。こちらは、ワンコインぐらいの手数料で事業として経営できると思いました。

新谷哲:金融機関出身らしく、非常に金融事業に近いビジネスモデルですね。パルマの事業も、金融っぽい雰囲気がございます。その2つの事業は、現在も経営しているのですか?

高野茂久:いえ、売却しました。

新谷哲:その理由は何かございますか?

高野茂久:当時の大株主が本業で経営上のマイナスが続き、「手放したい」となったからです。この時に事業を1つ売却し、再編をいたしました。新しい株主の下、2つの事業を経営することとなったのですが、2つの事業を経営することが難しくなったので売却をしました。そのお金で、株主に出してもらったお金も返済ができたので、会社としては無借金になり業績が上がります。その後に「経営も順調で業績が上がっているなら、上場したら良いのではないか?」という話になり、上場準備を始めることになります。

新谷哲:VCご出身ですので無いかもしれませんが、上場準備を始められて経営上の苦労などはございました?

高野茂久:会社を起業し経営を始めた時から、上場会社の連結会社でしたので会計周りはずっと監査を受けておりました。経営を始めた時から上場会社に準ずる基準を満たしていたので、そこまで大変ではなかったです。また非常にラッキーなことに、証券会社の担当者、アナリスト、取引所の審査の担当者、最後は取引所の面談に来た常務理事の方が全員、パルマのトランクルーム利用経験者で、事業の説明を全くする必要がなかったのです(笑)。そんな幸運があり、監査法人からは最短の期間だと言われました。

新谷哲:その最短というのはどれぐらいの期間ですか?

高野茂久:上場すると言ってから、1年半です。

新谷哲:早いですね。通常ですと、3年はかかります。株式会社パルマは、どのような事業を経営しているのかお教えいただけますか?

高野茂久:基幹となるのは、トランクルームの入金管理滞納保証の事業です。「何で使ってくれるのかな?」と不思議に思うくらい、どんどん普及していきました。トランクルームの賃料が平均1万円ぐらいで、家を1軒管理する手間と一緒なので、各社が管理すると採算が合わないのですよ。その管理を代わり行うので普及し、さらに「代わりに電話も受けてくれ、掃除もしてくれ、WEBで決済するシステムを作ってくれ」と運営のアウトソーシング全般、あるいは運営システム全体を作ることに、経営範囲を伸ばしました。現在は、土地から買って施設自体を新築して、それで機関投資家に売るという開発事業までを行っています。

新谷哲:ここからは、別の質問をさせていただきます。好きなもの・好きなことで、「瞑想・ラグビー観戦」をお答えいただきました。毎日のように瞑想をされるのですか?

高野茂久:ええ、そうです。

新谷哲:瞑想をしようと思ったきっかけはございますか?

高野茂久:株主が変わる時に、環境変化とともに会社の中がゴタゴタし、苦労したことがございます。そんな時に、後輩から「高野さん、すごく疲れていませんか?瞑想をやったらどうですか?」とおススメされたのがきっかけです。

新谷哲:座右の銘も事前にお聞きし、「尚志」とお答えいただきました。これはどういう意味でしょうか?

高野茂久:高校で剣道部に所属していたのですが、卒業の時に顧問の先生からもらったタオルに書いてあった言葉です。孟子に出てくる言葉で「志を高く」という意味があります。その時の説明を聞いて「せめて志だけは高くやっていきたい」と思って、「尚志」を座右の銘にしております。

新谷哲:最後のご質問になります。全国の経営者、これから起業する方に向けて、経営者として成功する秘訣・方法をお教え下さい。

高野茂久:経営者として成功する秘訣は、「普通を維持すること」です。これはVC時代に2,000人ぐらいの経営者に会い、感じたことです。上場して成功する経営者と、成功はするけど長続きしていない経営者の差が、この「普通を維持する」ことだと思います。例えば、「朝からにんにくをかじって、やるぞ!と自分を鼓舞タイプ」の経営者は、長続きしないのですよね。僕が見ている限りは、お会いすると「普通だ」と思う経営者が、非常に成功されています。なので、普通を維持することが、経営者として成功する大事なことだと思っています。

新谷哲:大変重い言葉です。私も「普通を維持する」ことを心がけます。高野茂久社長、本日はありがとうございました。

高野茂久:ありがとうございました。

編集後記

高野茂久社長は、大変素晴らしい経営者でした。特に最後の「尚志」と、普通でいること。これは私も反省しないといけない部分もあって大変勉強になりました。

高野茂久氏
株式会社パルマ 代表取締役社長

1988年日本アジア投資に入社。信金キャピタル等を経て、株式会社パルマの代表に就任。セルフストレージ施設の開発、事業運営アウトソーシング、WEB集客サービス、予約決済在庫管理システムのASP提供など、本事業に関する必要なすべての業務をアウトソーサーとしてサービス提供している。

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本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、高野茂久氏(株式会社パルマ 代表取締役社長)の経営者インタビューを取り上げました。

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