成功経営者インタビュー

経営者インタビュー 阿南雅浩氏(株式会社NexTone 代表取締役CEO)


本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、阿南雅浩氏(株式会社NexTone 代表取締役CEO)です。

大学で学ばれた法律の知識を活かすために、CBS・ソニーレコード株式会社(現SonyMusic)に入社。21年間、音楽著作権管理に関わった経験から「音楽著作権管理市場には健全な競争原理が必要」だと感じ、株式会社NexToneに移籍。2016年から経営者となり、2020年3月には同社を東証マザーズ上場に導いたエピソードから、経営のヒントが得られます。ぜひ、阿南雅浩社長の経営者インタビューをお読みください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは株式会社NexToneの阿南雅浩社長です。まずは経歴をご紹介します。1986年にCBS・ソニーレコード株式会社(現SonyMusic)にご入社。その後、ミュージックレインの代表取締役、エイベックスミュージックパブリッシングの代表取締役社長を経て、株式会社イーライセンス(現・株式会社NexTone)の代表取締役社長にご就任。2020年3月30日には東証マザーズに上場をされました。本日はよろしくお願い申し上げます。

阿南雅浩:よろしくお願いします。

新谷哲:最初のご質問です。ご出身はどちらでしょうか?

阿南雅浩:生まれは山口県ですが、幼稚園に入る前ぐらいに大分県に移ったので、大分県出身と言っています。

新谷哲:小学校・中学校時代はどのようにお過ごしになられましたか?

阿南雅浩:あまり勉強せず、野球ばかりしていました。中学2年生くらいからはギターもやりはじめた。野球と音楽が好きな普通の少年でした。

新谷哲:野球は上手かったのですか?

阿南雅浩:野球はあまり上手くなかったです。あの頃はみんなプロ野球選手に憧れましたが、早々に諦めました。

新谷哲:そうでしたか。高校は大分県ですか?

阿南雅浩:そうです。大分の県立高校です。

新谷哲:高校時代はどのようにお過ごしになられましたか?

阿南雅浩:高校時代は、バンドばかりやっていました。また、体育の授業をサボり「単位をやらない」と言われました。しかし、体育の先生が創設されたばかりのラグビー部の顧問だったので「ラグビー部に入らないと落第だぞ」と言われ、しかたなくルールも知らないまま入部しました。入部の翌日から試合に出てえらい目に遭いました。結局、高校の3年間在籍し、大学でも2年間ラグビーをやる羽目になったことが、印象的な高校時代でした。

新谷哲:お話をお聞きしていると、運動神経が良いのではないかと感じております。高校時代も音楽活動をされておりますが、これが現在に繋がっている部分があるのでしょうか?

阿南雅浩:そうですね。中学校・高校時代と、大学時代にも少しやっていた音楽活動は就職のモチベーションにもなりましたし、今の仕事にも繋がっていますね。

新谷哲:なるほど。大学はどちらに進まれたのですか?

阿南雅浩:筑波大学です。

新谷哲:国立大学に進学されるのですから大変優秀でいらっしゃいますね。大学時代はどのようにお過ごしになられましたか?

阿南雅浩:大学時代は、アルバイトばかりしていましたね。家庭教師や塾の先生、居酒屋、寿司屋と色々掛け持ちをしました。本来は司法試験を受けて法律家になろうと思っていたのですが、無理でした。

新谷哲:では、大学では法律系の勉強をしていたのですか?

阿南雅浩:そうです。法学部を受けて、たまたま国立の筑波大学に受かったので選びました。また卒業後の就職先も、法律の勉強が活かせる先を選びました。

新谷哲:法律と言いますと、著作権関連など、今の事業に繋がってる部分がありますね。

阿南雅浩:そうですね。著作権法は法律の中でも非常に難しい分野なのですが、大学時代に多少勉強したことですっと頭に入ってきました。

新谷哲:なるほど。大学卒業後は、CBS・ソニーレコード株式会社にご入社されていますが、こちらを選ばれた理由はございますか?

阿南雅浩:司法試験浪人として1年間遊んでいたら、親から「いい加減、真面目に働かんかい」と言われたからです。就活をする中で「レコード会社も1つ受けよう」と思い、好きなアーティストが多く所属していたCBS・ソニーレコードを受けて、受かってしまったので入社しました。後で聞いた話なのですが、当時は50人の採用に1万5,000人の応募者が集まっており「300倍でよく受かったな」と思いました。他の理由としては、法律の勉強を活かしながら、音楽関連の仕事をしたいと考えて、レコード会社の法律部門を選びました。

新谷哲:CBS・ソニーレコード時代の思い出はございますか?

阿南雅浩:1986年~1990年の時期は、法律契約部門に2人しかいなかったので、すごく忙しかったです。他社ならば10年に1回しか起こらないようなトラブルが、ソニーの場合は1ヶ月に1回のペースで起こりました。ソニーとエピックの契約も全部担当したので、他のレコード会社の法律担当者と比べたら、10倍は鍛えられたと思います。ここで鍛えられたことが、現在の根っこになっています。

新谷哲:その時期に、著作権関連の法律や管理業務に強くなられたのですか?

阿南雅浩:そうです。入社をした段階で、著作権管理は理不尽な部分や硬直化された状態、権利者や利用者のニーズに応えられないという不満を持っていました。その不満を解消するという動機で、会社を起業して経営者になりました。

新谷哲:その後、株式会社ミュージックレインの代表取締役になられていますが、これはソニーグループの子会社だったのですか?

阿南雅浩:ソニーミュージックの100%子会社です。ミュージックレインという会社は、元は別名の会社でプロダクトとレーベルを一緒にする会社だったのですが、赤字で社長が辞めてしまい「お前が会社をやれ」と立て直しを命じられました。資本金は元の半分で、経営企画の本部長、契約部の部長、別の子会社の部長、という4つのワラジを履きながら仕事をしていました。

新谷哲:阿南雅浩社長は優秀なので、どんどん仕事が回ってくるのですね。その後、ソニーグループを退職し、エイベックスグループに移られるのですか?

阿南雅浩:そうですが、移る前にスカパーの音楽専門チャンネルである「MUSIC ON! TV」を運営する会社の取締役に就任しました。そこで1年2ヶ月ぐらい働き「放送局より音楽ビジネスの最前線でいたい」と思い、エイベックスに移りました。

新谷哲:エイベックスグループに移られたのは、引き抜かれたのですか?

阿南雅浩:いいえ。人材コンサルティング会社に「法律と音楽ができる職場を探してくれ」と頼んで、エイベックスを紹介されました。ただ、エイベックスには麻雀仲間を始め、知っている人もいっぱいいました。その人達を頼らずに移ったので、入ってから皆に驚かれました。

新谷哲:なるほど。エイベックスには、何年ほどいらっしゃったのですか?

阿南雅浩:11年弱いました。

新谷哲:エイベックス時代の思い出はございますか?

阿南雅浩:トラブルシューティングが多かったですね。エイベックスでは、契約部の部長や、音楽出版社の社長をやりました。当時はタイアップ至上主義という時代でした。ドラマやCMのタイアップを取る、あるいは取るためのマーケティングに多額の費用をかけました。マーケティングのためにお金を使うのに、著作権にも多額の使用料を払わなければいけない、という状況でした。宣伝のために音楽を使うというのは、アーティストには1円も入らないのです。プロダクションやレコード会社は身銭を切って宣伝をする中、著作権だけは多額の使用料がかかるという不具合を見て「起業して経営者になって、不具合を解消したい」という気持ちを強くしました。

新谷哲:では、エイベックス時代の経験も、今の事業に繋がるのですね。

阿南雅浩:必然的に「この問題の解消はお前がやるのだ」って導かれたような感じがしています。おこがましいですが。

新谷哲:なるほど。その後、株式会社イーライセンス(現・株式会社NexTone)に移られて経営者になられますが、どのようなきっかけで移籍したのですか?

阿南雅浩:きっかけは、音楽著作権市場を独占しているJASRACの対抗馬を作りたいと思ったことです。エイベックス内部にもこの思いを持つ方はいました。当時、JASRACの対抗馬として頑張っていたのは、イーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランスの2社のみでした。そこでイーライセンスに資本を入れ、役員として入り、社長になります。そしてジャパン・ライツ・クリアランスに所属していた荒川祐二(現・株式会社NexTone COO)と手を組みました。

新谷哲:上場されるにあたって、苦労などはございましたか?

阿南雅浩:色々と苦労はありました。例えば、支援者を集めることです。エイベックスのプライベートカンパニーであることは、見え方としてはあまりよくありません。エイベックスは強いコンテンツ集団ではありますが、JASRACに対抗するには権利者から支持がたくさん必要になります。そこで古巣であるソニーミュージックに株主になっていただきました。またゲーム業界の方にも協力をいただきました。快く応援していただくこともありましたが「出資して何のメリットがあるのだ」といった、厳しい意見もいただきました。また、株式会社NexToneが上場した2020年3月30日は、新型コロナ(COVID-19)の影響がどんどん酷くなっていく時期でした。そのため「上場をして株価はちゃんと付くのか。既存株主に迷惑がかかるのではないか」という不安やプレッシャーを感じました。

新谷哲:もしよろしければ、株式会社NexToneの事業内容をご説明いただけないでしょうか?

阿南雅浩:一言で言いうと、著作権のエージェントです。著作権楽曲や原盤の権利者から権利をお預かりして、音源を楽曲に使いたい人にライセンスして手数料をいただいています。JASRACがこれまで独占していた分野は歌詞とメロディーです。これを使いたいレコード会社や放送局にデジタルプラットフォームに出して手数料をいただくという形をJASRACは取っています。我々も一部では同じことをしていますが、弊社とJASRACとの違いは、曲だけでなく収録された映像や音源をコンテンツとして出している点です。

新谷哲:お答えいただきありがとうございます。ここからは違う質問をいたします。事前に好きなもの、好きなことをお聞きし「サウナ」とお答えいただきました。サウナは毎週のように言っているのですか?

阿南雅浩:そうですね。週1回は時間を作って行っていましたが、残念ながら今はほとんどのサウナが封鎖されていて、行けておりません。

新谷哲:収録をしている2020年5月は、新型コロナ(COVID-19)の影響が大変ですからね。次の質問にまいります。事前に座右の銘をお聞きして「ぬるくないか今の自分」「謙虚」という2つをお答えいただきました。こちらを選ばれた理由はございますか?

阿南雅浩:「ぬるくないか今の自分」というのは、筑波大学に掲示してある墨書です。大学時代にこれを見て「今の自分は全力を尽くしているのか?」とドキっとして「ごめんなさい」と言いながら、文字のまえを通り過ぎていました。経営者となった今で言いますと、昔は上司が叱ってくれましたが、今は「この社長はダメだ」と思っていても、叱ってくれる人は少ないです。そこで、「ぬるくないか今の自分」を座右の銘にしています。次の「謙虚」ですが、これはエイベックスの松浦会長から「傲慢が服を着て歩いている奴だ」と言われたことがきっかけです。私は「こんなに謙虚な奴を捕まえて何を言うのですか」と反論をしましたが、世間からは傲慢で嫌なヤツと見られている自覚はありました。謙虚であることは大切ですので「常に謙虚。自分はそんなに偉くない」と心の中でつぶやいています。

新谷哲:インタビューをする中で、阿南雅浩社長は謙虚な方だと感じていますが、違うのですか?

阿南雅浩:私は交渉家で、契約交渉や裁判で闘うことをしていますから、傲慢だと思います。だからこそ謙虚であろうと思っています。

新谷哲:そうでしたか。次が最後の質問になります。全国の経営者、これから起業する方に向け、経営者として成功する秘訣をお教え下さい。

阿南雅浩:経営者として成功する秘訣は、信頼と強烈なモチベーションです。私が上場まで行けたのは、会社や私のことを信頼して、大切な著作権を預けていただけた方が多くいらっしゃったからです。70年続く著作権を預けていただけたのは、人の信頼があってのことです。また強烈なモチベーションがなければ、株式会社NexToneを上場させられなかったと思います。私の場合は「音楽業界には株式会社NexToneが必要だ」という強い使命感がありました。また、弊社は30社ぐらいの大きなコンテンツホルダーからお金を出していただいているので、彼らに恩返しをしなければいけないという意思を持っていました。経営者ならば分かると思いますが、仕事をする中で「辞めちゃおう」と思う時があります。その時に支えとなるのが、信念や使命感です。私は会社を大きくする使命を持った二代目社長なので、創業社長と違って株を多く持っているわけではありません。そのため普通の企業かのように「上場すればお金持ちになれる」というモチベーションがないのです。それでも上場をやり遂げられたのは、社会的な使命感や、お世話になった人達への恩返しという気持ちがあったからです。それがなかったらとっくに投げ出していますし、エイベックスを辞めていなかったともいます。

新谷哲:大変深いお話をいただき、ありがとうございます。本日はどうもありがとうございました。

阿南雅浩:ありがとうございました。

編集後記

今回は、東証マザーズに上場されたばかりの、阿南雅浩社長でした。大変頭の良い方で、エイベックスやソニーで学ばれたことを活かして、上場をされています。若いころから音楽関係に関わり、大学で学んだ法律の分野が活きる仕事で上場をされていて、なにかに導かれているような人生を歩まれています。阿南雅浩社長を見ると、運命に導かれるということは本当にあるのだと感じます。経営者の皆様もぜひ、阿南雅浩社長のように運命に導かれるように上場を目指して下さい。

阿南雅浩氏
株式会社NexTone 代表取締役CEO

大学で学ばれた法律の知識を活かすために、CBS・ソニーレコード株式会社(現SonyMusic)に入社。21年間、音楽著作権管理に関わった経験から「音楽著作権管理市場には健全な競争原理が必要」だと感じ、株式会社NexToneに移籍。2016年から経営者となり、2020年3月には同社を東証マザーズ上場を果たしました。

※本インタビューへの出演をご希望の方はこちらよりご応募ください。

本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、阿南雅浩氏(株式会社NexTone 代表取締役CEO)の経営者インタビューを取り上げました。

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