成功経営者インタビュー

経営者インタビュー アディッシュ株式会社 代表取締役 江戸浩樹氏


本コーナーで掲載する経営者インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集しています。今回、ご紹介する経営者は、江戸浩樹氏(アディッシュ株式会社 代表取締役)です。(2020年7月 1日 2020年7月 8日  配信)

大学卒業後にベンチャー企業に飛び込みたいと上場前の株式会社ガイアックスに入社。ガイアックス内で立ち上げた事業を持ち出し、2014年にアディッシュ株式会社を設立。2020年3月にマザーズ上場するまでの苦労や、上場までのエピソードから経営のヒントが得られます。ぜひ、江戸浩樹社長の経営者インタビューをお読みください。

新谷哲:今回の経営者インタビューは、アディッシュ株式会社の江戸浩樹社長です。まずは経歴をご紹介します。東京大学農学部生命化学・工学専修卒業。2004年に株式会社ガイアックス入社。ソーシャルアプリサポート事業の立ち上げなどを経て、2014年にアディッシュ株式会社を設立。2020年3月には東証マザーズに上場されました。本日はよろしくお願いいたします。

江戸浩樹:よろしくお願いします。

新谷哲:最初のご質問です。ご出身はどちらですか?

江戸浩樹:石川県の小松市です。

新谷哲:では、野球の松井秀喜と一緒ですね。

江戸浩樹:そうですね。小松市の生み出したスーパースターです。

新谷哲:江戸浩樹社長もスーパースターのお一人だと思います。小学校・中学校時代どのようにお過ごしになられましたか?

江戸浩樹:割と普通でした。地元に住んで、徒歩で行ける場所にある公立の小学校・中学校に通っておりました。特段何か変わったところなかったです。

新谷哲:高校も石川県ですか?

江戸浩樹:そうです。小松高校と言う、地元の県立高校に進学しました。

新谷哲:卒業後は東大に進学されていますので、高校時代は相当に勉強をされたのですか?

江戸浩樹:高校3年生の頃は頑張りましたが、それまではあまり頑張っていませんでした。

新谷哲:なるほど。高校時代の思い出などはございますか?

江戸浩樹:クラスメイトとは仲良くやっており、部活はハンドボール部に入部しました。あと学校ではないですが、小さいころからバイオリンをやっていました。通っていたスクールのオーケストラが金沢であったので、そこに毎週行っていたのは楽しかったです。また、スクールの世界大会のようなものがあって、みんなでオーストラリアに行ったりもしました。

新谷哲:音楽の道に進もうと思われたことはございますか?

江戸浩樹:母親がピアノの先生で、姉もピアノの先生をやっています。しかし私はそこまで上手ではなかったので、プロになるとは思っていませんでした。

新谷哲:東京大学に進学されていますが、選ばれた理由はございますか?

江戸浩樹:1つ目の理由は、東京に行きたかったからです。2つ目は、財政的に私立は行けなかったので、公立を選びました。条件にあった中に東大があり、「頑張ればなんとかなるのでないか?」と思い東大を選びました。

新谷哲:東京大学に進学されるのは、難しくなかったのですか?

江戸浩樹:難しかったです。高校3年生の5月くらいの模試判定で、一番下のE判定、合格確率20%未満でした。高校2年生までは勉強に打ち込んでおらず、部活やオーケストラをやっていましたので、「今から頑張ればいけるのではないか」と多少楽観的に思って選びました。

新谷哲:合格した理由は何かございますか?

江戸浩樹:科目ごとに「それくらい出来れば合格する」というのを明確に設定していました。

新谷哲:では、戦略的に勉強をしたのですね。

江戸浩樹:戦略的というよりは、目標を決めてそれに合わせて動いていく、という感じですね。

新谷哲:なるほど。大学時代の思い出はございますか?

江戸浩樹:大学時代は、普通の大学生と同じように過ごしました。大学1年生~3年生の前半はオーケストラに所属し続けて、バカ騒ぎなどもしました。また大学1年生、2年生は全部教養学部で、3年生から分かれます。その頃は研究室に入って色々な研究をしたり、ビジネスインターンなどもやり始めました。寝る間もなく色々なことをやっていたのが、大学時代ですね。

新谷哲:大学卒業後は、そのまま株式会社ガイアックスに入社されますが、選ばれた理由はございますか?

江戸浩樹:大学に入った時は研究者になるつもりで、企業に就職するつもりはありませんでした。しかし大学3年生で進路について悩みます。就職活動をするしかなくなったときに「ビジネスの世界に行くなら、自分で事業を立ち上げたり、主体的にできる企業に行こう」と決めました。その時に、色々な方とお会いしました。大企業に行った方、官僚の方、研究職の方など色々な方と出会ったのですが、ベンチャー企業に行った方の伝手がありませんでした。そこで、ベンチャー企業にインターンをしました。ベンチャー企業を斡旋するNPO法人があり、そこで最初に紹介されたのがガイアックスだったのです。

新谷哲:では、まずはインターンでガイアックスに入られたのですか?

江戸浩樹:そうです。大学3年生の終わりくらいからガイアックスで働きました。

新谷哲:インターンで働かれたときは、どのような印象をお持ちになりましたか?

江戸浩樹:当時のガイアックスはまだ上場をしておらず、人数も10人~20人ほどの規模でした。本当にベンチャー企業という時期だったので、ビジネス経験がなかった私にも裁量権を持たせていただき、「ここでなら何の事業で経営者になりたいかが見つかる」と思いました。また6人いた同期がとても面白い人達で「彼らのように面白い人達と働けたらいいな」とも感じました。

新谷哲:では、インターンの時の印象からガイアックスへの入社を決めたのですね。

江戸浩樹:そうです。もちろん、普通の就職活動もしています。大手商社や大手コンサルティング会社なども受けましたが、インターンの経験からベンチャー企業に飛び込みました。

新谷哲:私のイメージだと、東大卒の方は官僚や商社、銀行に行くと思うのですが、周りからの反対はございましたか?

江戸浩樹:親は大反対でした。

新谷哲:反対されても、ガイアックスを選ばれたのですね。

江戸浩樹:そうです。

新谷哲:ガイアックスでの思い出はございますか?

江戸浩樹:上場前のベンチャー企業の時代に入っているので、がむしゃらに働きました。あまり褒められた働き方ではないと思いますが、大きなプロジェクトに参加させてもらったときは、本当に24時間働くみたいな感じでした。また、ガイアックスのメンバー10人くらいと、共同生活をしました。このメンバーの中から、何人も社長が生まれているのですが、このような環境に身を置けたことが印象的です。

新谷哲:江戸浩樹社長含めて、ガイアックス出身で上場企業の社長になったのは何人くらいいらっしゃるのですか?

江戸浩樹:その時に住んでいたメンバーでは、私を入れて4人ぐらいです。今後も何人か出てくると思います。

新谷哲:10分の4というのはすごい確率ですね。上場企業の社長になったメンバーが多い理由を、江戸浩樹社長はどのように分析していますか?

江戸浩樹:野心のようなものを、持っている人が集まっていたと思います。それが偶発的に「一緒に住んでみよう」みたいな話になって集まりました。仕事で遅くなるのですが、一緒に住んでいるので終わった後も一緒にいるみたいな形で、色々な刺激を受けたことが大きいと思います。また、かなりの裁量を任せてもらえることがあり、利益責任まで負う必要がありました。するとチーム全体を見るようになり、その中でがむしゃらに働いたというのが大きい気がします。

新谷哲:お答えいただきありがとうございます。2014年にアディッシュ株式会社を設立されていますが、どのような経緯で設立したのですか?

江戸浩樹:今のアディッシュでやっている事業は、まずガイアックスの中で立ち上げました。その事業が徐々に大きくなっていきます。2013年くらいに「事業を会社化して、外部資本を入れて上場を目指していく」というような制度が作られました。私は、事業を伸ばしていきたいと思っていたので、その制度を利用して事業を会社化しました。

新谷哲:会社設立当初から、上場を目指されていたのですか?

江戸浩樹:はい。上場をするつもりで設立をしました。

新谷哲:上場をするまでの苦労などはございましたか?

江戸浩樹:苦労はいっぱいありました。今は数字にも、内部監査にもすごく厳しいです。例えば労務管理などの管理規定は必ずカッチリ整備しなければいけません。スタートアップベンチャーは予期しないことがいくらでも起こりますが、それも含めてコントロールしなければいけないのは、かなり力を試されました。予期しないことをカバーしながら、当初の目標をやりきる部分は、やっぱりしんどいです。

新谷哲:なるほど。もしよろしければ、アディッシュ株式会社の事業内容をお教えいただけますか?

江戸浩樹:アディッシュ株式会社は「つながりを常によろこびに」というミッションを掲げており、ネット社会をより良い場所にしていくことを目指しています。具体的な事業として、1つ目がモニタリング事業。これはSNSなどでユーザーの投稿をモニタリングしてリスク対策をしていく事業で、設立のきっかけとなった事業でもあります。SNSという言葉がなく、コミュニティサイトと呼ばれているサイトで、出会い犯罪などが多く社会的に問題になった時期がありました。私はそういうコミュニティサイトの企画や開発の運営みたいなことをガイアックスでやっていく中で「この問題を解決したい」と思い、モニタリング事業を始めました。2つ目の事業はカスタマーサポート系の事業です。特に「ソーシャルアプリサポート」と呼んでいるアプリの、カスタマーサポートの対応をしています。弊社では、SNSやゲームアプリ、シェアリングエコノミーなど、スタートアップ系の企業が集まるような分野に特化した運用が得意です。1つ目のモニタリング事業と合わせて、ネット社会をより良い場所にしていく事業をやっています。

新谷哲:お答えいただきありがとうございます。ここからは、違う質問をいたします。事前に「好きな物・好きな事」をお聞きして「演奏・バイオリン」とお答えいただきました。小学校・中学校時代でもバイオリンのお話は出てきましたが、現在でも演奏をされているのですか?

江戸浩樹:どこかに所属しているわけでもないですが、週に1回くらい自分で弾いています。大学生くらいまでは、毎日弾いていましたね。

新谷哲:では、音楽家になる道も本当にあったかもしれませんね。

江戸浩樹:上手ければ、そうですね(笑)。

新谷哲:なるほど(笑)。次に座右の銘もお聞きしまして「第3案を信じる」とお答えいただきました。初めてお聞きするような珍しいお言葉ですが、こちらはどのような理由で選ばれたのですか?

江戸浩樹:仕事や友人関係を含めてですが、物事には誰かの「こうしたい」というものがあります。それに対する違う案も必ずあります。私は、そのどちらでもない、より良い方法が世の中にあると信じており、そのプロセスを得ることで、会社自体を大きくしたいと考えているので「第3案を信じる」を座右の銘にしています。10年以上前に自分で考えていたことですが、同じようなことを言っている本は多くあります。印象的なのは、京セラの稲盛和夫氏の本の中でも同じようなことが書かれていました。そういう所でも、「第3案を信じる」という言葉を大事にしています。

新谷哲:お答えいただきありがとうございます。次が最後の質問になります。全国の経営者、これから起業する方に向けて、経営者として成功する秘訣をお教えください。

江戸浩樹:私自身はまだ成功していないと思っていますが、ここまで生き残れたのは「大きな目標を作り、諦めずに日々行動する」ということを、習慣化していたからだと考えています。私は自分の事を、毎週・毎月・毎3カ月・毎年、という期間で、大きな目標について振り返ることをしています。それに加えて、信念を持つことです。私は「第3案がある」と思っており、目標まで確実に行ける道があると信じてやり続けています。これが経営者として成功する方法だと考えています。

新谷哲:江戸浩樹社長、本日はどうもありがとうございました。

江戸浩樹:ありがとうございました。

編集後記

新谷哲:今回は、アディッシュ株式会社の江戸浩樹社長でした。ガイアックスの上田社長は私の前職での後輩なのですが、江戸浩樹社長のように素晴らしい経営者を出していることは知りませんでした。江戸浩樹社長のような若手の経営者がどんどん出てくると、日本の未来は明るいと思うような、素晴らしい経営者でした。大変勉強になるお話ばかりで、私ももっと心を若くしなければいけないと反省をしました。経営者の皆様も、ぜひ江戸浩樹社長のようになっていただければと思います。

江戸浩樹氏
アディッシュ株式会社 代表取締役

大学卒業後にベンチャー企業に飛び込みたいと上場前の株式会社ガイアックスに入社。ガイアックス内で立ち上げた事業を持ち出し、2014年にアディッシュ株式会社を設立。2020年3月にマザーズ上場。

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本インタビューは、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の経営者インタビューを編集したものです。文中に登場する社名、肩書、数字情報などは、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。
今回は、江戸浩樹氏(アディッシュ株式会社 代表取締役)の経営者インタビューを取り上げました。

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