会社で情報漏洩が発生した時の対処法!注意点を解説

本コーナーでは、経営者、社長、後継経営者、起業予定者などから頂戴する会社経営に関するご相談に対して、WizBiz株式会社の代表であり、経営コンサルタントである新谷哲が独自の視点で経営上のアドバイスや解決方法をご提示いたします。なお、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の「3分コンサルティング」を編集して掲載しております。

相談内容:「情報漏洩には、どのように対策をすればよいですか?」

  • ご相談者:G様
  • 業  種:空間デザイン

当社は建築物の空間デザインをしている会社です。先日、退職した社員が就職先で当社の顧客データを用いて営業活動をしていると、取引先の申告により発覚しました。その後、顧客企業100社へ、同企業からの営業案内があったか事実確認をしたところ、70社弱から「あった」と回答がありました(未回答をのぞく)。当社が持つ顧客リストは、国内だけで7万社ほどあります。影響範囲によっては、個人情報保護委員会等の関係機関へ報告を行わなければならないのかと思います。当社はN-2期(直前々期)の上場準備の最中です。情報漏洩が起きてしまった場合、上場延期や断念など、どのようなダメージを被るか危惧しております。アドバイスをいただけますと幸いです。

ご相談者へ回答(回答者:新谷 哲)

まず、持ち出されたであろう顧客データが「個人情報に該当するのか?」が問題の論点になってきます。本当に個人情報の漏洩がおきていたのならば、上場が延期になる可能性が高いです。しかし、会社の財務情報、住所、電話番号、設立年月日、事業内容などの企業情報は、「個人情報」には該当しません。今お聞きしている情報だけでは判断が難しいのですが、個人情報や、企業秘密(機密情報)に該当しないようであれば、上場に影響することはないと思われます。

実は、弊社は事業譲渡によって設立をしました。その際、売り手企業側が譲渡した後も、顧客に営業をかけていたことが発覚しました。これは、商法違反にあたるので警告を発したところ、営業はパタっと止みました。まず、G様も退職した社員の方に警告をされると良いでしょう。しかし、「企業名を覚えていたので、HPで調べて営業をかけました」と言われてしまえば、情報を盗んだことにはなりません。裁判をするとなると、厳しくなることが予想されますが、凄腕の弁護士先生であれば可能性は0ではないかもしれません。

そして、今後このようなことが起こらないよう、「退職後や副業などで、顧客リストの使用を禁止する」等、社内規定の整備をしていく必要があります。さらに、退職時に「顧客先へ無断で営業を行った場合、損害賠償を請求する」旨の合意書にサインを求めることも有効でしょう。弊社では、会社役員が、義務を果たせなかった場合の、役員個人の責任をカバーする保険商品(マネジメントガード)にも加入をしています。

このように、今回の件で上場延期や断念とまではいかなくとも、油断は禁物です。過去聞いた話では、社長様が交通事故を起こした、社内から逮捕者が出た、労働基準法違反がたくさん見つかった、などで断念をされているケースがあるようです。文面だけですと判断しかねる点もございますので、不安があれば弁護士、監査法人、主幹事証券会社などに伺うのが良いでしょう。ご希望がございましたらご相談に乗らせていただきますので、ぜひお声がけください。

新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長

新谷 哲

1971年 東京生まれ。大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。銀行、信用金庫の融資開拓コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年に独立し、WizBiz株式会社を設立。現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。日本国内では、経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年間300回以上のセミナーを開催し、年間4000名を越す経営者が参加。その集客力は、各方面からも注目を集めている。

※新谷哲に経営相談をご希望の方はこちらよりお問い合わせください。初回のみ無料で承ります。

本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の3分コンサルティング経営者の課題解決!「情報漏洩が起きてしまったら……?」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

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