Q:良い商品を作っても売れない時の対処法は?

本コーナーでは、2019年6月に日本経済新聞出版社から出版された、新谷哲の著書「社長の孤独力」の内容を解説します。経営者へのアンケートで集めた1000個の悩みをジャンル分類した本書から、毎回1テーマを取り上げます。なお、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の「社長の孤独力 番外編」を編集して掲載しております。

本日は、『社長の孤独力』4章3項「良い商品を作っても売れない」を解説いたします。

良い商品を作っても売れない理由は、3つほどございます。1つ目は、自分たちが良い商品と思っていても、消費者が欲しくないパターン。2つ目は、商品は良いのに広告宣伝をしないため、消費者に認知されていないパターン。3つ目は、競合する商品が多くて売れないパターン。だいたいこの3つに分かれます。

1つ目のパターンは、顧客の声を聞くしかありません。私のところにもよく「これは良い商品ですよ」と経営者様ご自身が営業にくることがございます。しかし私が「この商品はあまり良くないですよ」と暗にお伝えすると、ムッとされて帰ってしまいます。ムッとして帰ったら、その商品は駄目です。良い商品を作るためには、これは良い商品だ、という感覚は捨てなければなりません。ちなみに、アンケートでは本当の意味での顧客の声は拾えません。アンケートの文言は決まりきったものですので、顧客の潜在ニーズは見えてこないのです。顧客が声に出して「欲しい」と言っている商品は顕在化されているので、本当に欲しい商品ではありません。潜在ニーズを満たした商品の例として、iPhoneがございます。スティーブ・ジョブズは部下が試作品を持ってくるたびに水槽にポチャンと落として「こんなの駄目だ!」と突き返しました。そうして作り上げたiPhoneが出てきたときの衝撃は、経営者の皆様も覚えているでしょう。その意味で、1つ目のパターンはiPhoneのように顧客の潜在ニーズを叶える商品を作らなければなりません。

また、潜在ニーズを叶える商品を作れたとしても、知らしめなければ意味がありません。これが出来ていないのが、2つ目のパターンです。前回の「営業力を強化したい」でもお伝えした、獺祭の桜井会長のお話がこれに2つ目のパターンに当てはまります。獺祭という無名の日本酒を、百貨店や三ツ星レストランに広め、評判を上げて、爆発的に売れるようにしました。獺祭のように美味しい日本酒でも、広告宣伝をしっかりしなければ広がってはいきません。口コミが上手く広がるよう、戦略を組み立てる必要がございます。

3つ目の競合する商品が多くて売れないパターンは、顕在化されたニーズの商品を作っている場合です。ライバルが多いので、潜在的ニーズがある商品を作ることに切り替える必要がございます。この分野は、顧客の声を聞くことが正しいとは限りません。スティーブ・ジョブズがiPhoneを作れたのは、やっぱり自分が使いたいからです。やはり顧客に使っていただけるものは、自分が欲しいものでなければなりません。ぜひ、このようなことを考えながら、良い商品を作って下さい。

新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長

新谷 哲

1971年 東京生まれ。大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。銀行、信用金庫の融資開拓コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年に独立し、WizBiz株式会社を設立。現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。日本国内では、経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年間300回以上のセミナーを開催し、年間4000名を越す経営者が参加。その集客力は、各方面からも注目を集めている。

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本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の社長の孤独力番外編!「良い商品を作っても売れない」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

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