Q:後継者に会社を譲るタイミングが分からない時の対処法は?

本コーナーでは、2019年6月に日本経済新聞出版社から出版された、新谷哲の著書「社長の孤独力」の内容を解説します。経営者へのアンケートで集めた1000個の悩みをジャンル分類した本書から、毎回1テーマを取り上げます。なお、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の「社長の孤独力 番外編」を編集して掲載しております。

本日は、『社長の孤独力』7章2項「後継者に会社を譲るタイミングが分からない」を解説いたします。

事業承継のタイミングは、非常に難しい問題です。弊社の場合ですが、私が事故や病気でいつ死んでも問題ないように「引継書」を作っています。引継書には「Aのケースではこうしろ、Bのケースではこうしろ」といったことが書いてあり、役員全員に渡しています。また、この引継書は毎年見直し、作り直したうえで役員に渡しています。何が起こるか分かりませんので、引継書は必ず作成するべきです。

不慮の事故以外での事業承継は、企業によって違います。知り合いに、息子から「早く事業承継しろ」と言われて揉めた経営者がいます。この企業には年商以上の借金があったのですが、息子が継いだ後に無事返済して無借金企業になりました。他の企業では、息子が継いだ後に父親の愛人が出てきて株の配分でもめた、という事例もございます。企業によって事情が違いますので、事業承継でベストだと言えるタイミングはない、とお考えください。

また、事業承継を決めるタイミングとして、自分が何歳になったら継がせよう、と年齢で考える方がいますが、私はおススメしません。年齢で決めてしまうと、後継者が育っていない可能性が高いからです。しかし、経営者を育てることは非常に難しいです。以前、「獺祭」の桜井会長の講演会を行ったときに「社長は育たない」とお話しいただきました。その意味では、後継者に経験をさせながら、タイミングを見て経営者がアドバイスをする方法を取る必要があります。企業によってベターな方法は変わってまいりますので、ぜひ、自社に合った事業承継の方法を探して下さい。

新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長

新谷 哲

1971年 東京生まれ。大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。銀行、信用金庫の融資開拓コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年に独立し、WizBiz株式会社を設立。現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。日本国内では、経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年間300回以上のセミナーを開催し、年間4000名を越す経営者が参加。その集客力は、各方面からも注目を集めている。

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本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の社長の孤独力番外編!「後継者に会社を譲るタイミングが分からない」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

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