事業計画書を書くために、必要なこととは？

本コーナーでは、経営者、社長、後継経営者、起業予定者などから頂戴する会社経営に関するご相談に対して、WizBiz株式会社の代表であり、経営コンサルタントである新谷哲が独自の視点で経営上のアドバイスや解決方法をご提示いたします。なお、Podcast「社長に聞く！in WizBiz」で配信中の「3分コンサルティング」を編集して掲載しております。

相談内容：「甘くない事業計画書を書くために、必要なものを教えていただけないでしょうか？」

• ご相談者：S様
• 業種：飲食業（起業前）

初めまして。起業準備をしているSと申し込ます。私は現在、デリバリー専門店を起業しようとしています。このことを大手企業に勤める父に話したところ「事業計画書を持ってこい。内容が良ければ出資してやる。ただ、自分がOK出さない計画書だと、資金調達するのは難しいと思え」と言われました。もっともだと思いましたし、出資してくれると言われたので、父を納得させるべく事業計画書を作っています。しかしターゲットの絞り込みが甘い。収支計画が甘い。など、散々な言われようです。どう書けばいいかを父に聞くのが一番だと思いますが、もう少しまともな計画書を書けるようになってからにしたいです。そこで、新谷さんに質問です。甘くない事業計画書を書くために、必要なものを教えていただけないでしょうか？どうぞよろしくお願いいたします。

ご相談者へ回答（回答者：新谷 哲）

素晴らしいお父様ですね！ぜひ頑張って事業計画書を作成して頂きたいと思います。その前に、とても重要なことがございます。それは「戦略を立てる」ことです。戦略を立てるときは、まず「マーケット環境」を調査していきます。「どこの地域に出店をするのか？」「その近隣地域にはどのような方達が住んでいるのか？」「世帯収入はいくらか？」「競合他社は何件あるのか？」「どれぐらいの売上をあげているのか？」などを考えていきます。例えば「お金持ちが多く住んでいる」「学校が近くにあり若者が多い」唐揚げ屋さんをやると仮定すると「唐揚げ屋の店舗は〇店舗、デリバリーは〇店舗」というように、現状把握をするため徹底的に調査をしていきます。

その上で、どれくらいの売上規模・顧客数が見込めるかを想定し、客単価や商品設定をしていきます。そのとき「どのくらいの原価で利益はいくら出せるのか？」もきちんと戦略的に考えていくことが基本です。

以前、株式会社サイゼリヤの正垣泰彦会長にインタビューをさせて頂いた際、こんなお話がありました。正垣会長は、東京理科大学の在学時にレストランをオープンさせました。しかし、開店当初の儲けは少なく、周辺を歩き回り徹底的に調査をされたそうです。そうして、客単価を下げ、原価設定を見直し「安くて美味しいイタリアンのお店」へと切り替えたことで、お客様が列をなす繁盛店に成長されました。さらにその後も、周辺を散策し、すぐ近くに同じ業態のイタリアンのお店を、2店舗目、3店舗目と出店していきました。そうすることで、近隣の競合であるイタリアンやスペイン料理店に勝ち続け、今のサイゼリヤの原型を作られていったのです。

このように、彼の成功の法則は「徹底的なマーケット環境の調査」にあります。どんなお客様が、どのくらいの人数、どのような注文方法で……と、未来のお客様の想像ができてはじめて、良い事業計画書を作れるようになります。S様が、そこまで考察して事業計画書を作成することができれば、きっとお父様も出資してくださるでしょう。ご希望がございましたらご相談に乗らせていただきますので、ぜひお声がけください。

本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く！in WizBiz」で配信中の3分コンサルティング経営者の課題解決！「事業計画書を書くために、必要なこととは？」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。