後継経営者がいない会社の事業承継の方法とは?

相談内容:「後継経営者不在でも、うまく事業承継する方法をお教え下さい」

  • ご相談者:S社様
  • 業種:ソフトウェア開発
  • 年商:3億7000万円
  • 従業員数:37名

愛知県でソフトウェアの受託開発会社を経営しております。

歳のせいか最近体調を崩すことが多く、そろそろ引退かなと思い始めました。しかし、私には身内に後継経営者となるような人物はおらず、また事業承継に関する知識も乏しい為、今回ご相談させていただきました。

会社は存続させたいと思っているのですが、事業承継にはどのような選択肢・方法があるのでしょうか?事業承継に複数の手法がございましたら、それぞれのメリット、デメリットも簡潔にご説明いただけると幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

ご相談者へ回答(回答者:新谷 哲)

事業承継は、これから増え、多くの経営者が悩まれることだと思います。事業承継には、大きく3つの方法がございます。

1つ目の事業承継の方法は、M&A。まずデメリットからお話ししますと、企業文化・社内風土の部分。売った先の企業の社内風土が、御社と大きく異なる場合。社員がそれと合わずに辞めることになったりして社員が不幸になります。そのため、事業承継の方法としてM&Aを選択する場合は、企業文化や社内風土が御社と合っているかを考えるべきです。メリットは、一言でいうとお金です。ITの企業であれば、通常の値段の1.5倍~2倍で売れます。これが経営者にとってのメリットです。

事業承継の2つ目の方法は、社内にいる他人に後継すること。この事業承継のメリットは企業文化、社内風土が、そのまま継承できる点。社内のことを分かっている訳ですから、継続的な経営が行えます。

この方法のデメリットは、株の譲渡です。経営と所有を一致させるには、経営者の株を後継経営者に売らなければなりません。場合によっては、分割払いをする必要もございます。また株を経営者のご親族に譲っていくとなると、株主と経営者が分離しますので、仲の良い関係を築かねばなりません。

3つ目の事業承継の方法は、上場です。この事業承継のメリットは数多くございますが、その1つは株式が外部にあることが当たり前になることです。M&Aも行いやすくなり、優秀な人材が入社するので、後継経営者を選ぶのが楽になります。3つの選択肢・方法の中では、上場が一番、事業承継をしやすくすると言えます。

しかしこの方法はデメリットも多いです。まず上場しやすい企業かどうか、です。上場するには社内整備などやることがたくさんあります。また、上場した後は株主対策も行わねばなりません。

ご相談の内容からすると、事業承継で上場を選ぶ意味は薄そうですので、1つ目のM&Aで売るか、2つ目の他人の方に事業承継をするのが、御社に合った事業承継の手立てだと思います。

しかし、事業承継は非常に細かい話です。私どもの所にお越しいただければ、事業承継の細かい相談に乗らせていただきます。

新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長

新谷 哲

1971年 東京生まれ。大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。銀行、信用金庫の融資開拓コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年に独立し、WizBiz株式会社を設立。現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。日本国内では、経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年間300回以上のセミナーを開催し、年間4000名を越す経営者が参加。その集客力は、各方面からも注目を集めている。

※新谷哲に経営相談をご希望の方はこちらよりお問い合わせください。初回のみ無料で承ります。

本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の3分コンサルティング「後継経営者がいない会社の事業承継の方法とは?」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

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