新社長VS社員という、最悪な対立構造を防ぐには?

本コーナーでは、経営者、社長、後継経営者、起業予定者などから頂戴する会社経営に関するご相談に対して、WizBiz株式会社の代表であり、経営コンサルタントである新谷哲が独自の視点で経営上のアドバイスや解決方法をご提示いたします。なお、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の「3分コンサルティング」を編集して掲載しております。

相談内容:「事業承継の際は、身を引いた方が良いのでしょうか?」

  • ご相談者:B様
  • 業  種:機械部品製造業
  • 資 本 金: 1,000万円
  • 従業員数: 60名

現在、息子(3代目)への世代交代を進めております。顧問税理士へは自社の保有株の対策、経営権の委譲、銀行への保証人切り替えなどを依頼しております。手続きは上手くいっている反面、悩ましいのは「現従業員が息子に付いてきてくれるか?」ということです。私や先代の考え方に染まっている従業員たちは、同じ立場のように高見の見物で「やれるものならやってみろ」や「先代社長はこうだった」という態度で接しています。最悪、首を切る手もありますが、苦労をともにし、会社に貢献をしてきてくれた社員を解雇するのは心情的にも、法律的にも難しいと感じています。息子は最近「先代社長が言っていたけど社長業は孤独だよね」と寂しげに言っていました。「会社を変えていこう!」とやる気を出してくれているのは良いのですが、このままこの問題を放置し、息子にバトンタッチすれば、「新社長VS社員」という、最悪な対立構造を招いてしまうのではないかと危惧しております。どこまで親として、現社長として、手を加えてよいのでしょうか?身を引いた方が良いのでしょうか?アドバイスをよろしくお願いします。

ご相談者へ回答(回答者:新谷 哲)

大変な問題ですね。これからさらに、事業承継問題で悩まれる企業様は増えていくのではないかと感じます。

以前、経営者インタビューで、2代目社長としてお父様の創業された上場企業を事業承継された方のお話を伺いました。その会社では、お父様がお亡くなりになられた後に、番頭社員が社長となりました。しかし、社員全員が番頭社長の退任を希望し、ご子息に「戻ってきてほしい」とお手紙を出したそうです。そうして、息子様が2代目として跡を継がれ、新たな方針を示し業績を向上させ、上場企業を引っ張っていかれました。ところが、引継ぎ当初56名いた社員の中で、数年後にも残っていたのは6名~7名だそうです。

弊社でも、当初20人いた社員の8割が入れ替わっています。もちろん従業員さんに残っていただくために、きちんと向き合い手を尽くす必要があります。しかし、決められた会社の方針と合わないのであれば、お互いの幸せのために去っていただくしかありません。これは、しょうがないことですね。

そのため、B様のご子息自身が、「従業員が入れ替わってしまっても仕方がない」と腹をくくり、会社の方針を策定しましょう。この「腹をくくる」ということが一番重要です。事業承継をし、社員がついてきている企業様では、社長様が「何としても会社を良くしていこう」と覚悟を持たれているという共通点があります。借金を多く抱えていたり、債務超過だったりしても、自己破産をしてでも会社を立て直そうとされています。そうして、借金完済や、売上3倍増を実現されたりしています。 とはいえ、社長業は孤独です。100人中100人の社長が孤独を感じることがあるでしょう。私も、トイレや散歩をしているときだったり、お酒を飲んだりしながら、一人悩んでいます。そんなもんです。息子様が孤独で寂しいようでしたら「WizBizの新谷が飲みに連れて行ってくれるよ」と伝えて頂ければ、愚痴の1つや2つお聞きします。最悪の事態を想定し、楽観的に対処する。腹をくくった息子様の成長を願い、温かく見守ってあげてください。ご希望がございましたらご相談に乗らせていただきますので、ぜひお声がけください。

新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長

新谷 哲

1971年 東京生まれ。大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。銀行、信用金庫の融資開拓コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年に独立し、WizBiz株式会社を設立。現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。日本国内では、経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年間300回以上のセミナーを開催し、年間4000名を越す経営者が参加。その集客力は、各方面からも注目を集めている。

※新谷哲に経営相談をご希望の方はこちらよりお問い合わせください。初回のみ無料で承ります。

本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の3分コンサルティング経営者の課題解決!「新社長VS社員という、最悪な対立構造を防ぐには?」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

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