顧客を奪おうとする元スタッフへの対処法を解説

本コーナーでは、経営者、社長、後継経営者、起業予定者などから頂戴する会社経営に関するご相談に対して、WizBiz株式会社の代表であり、経営コンサルタントである新谷哲が独自の視点で経営上のアドバイスや解決方法をご提示いたします。なお、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の「3分コンサルティング」を編集して掲載しております。

相談内容:「顧客を奪おうとする元スタッフへ法的措置を検討しています…」

  • 相談者:H様
  • 業 種:リラクゼーションサロン経営

はじめまして。リラクゼーションサロンを経営しておりますHと申します。退職した元スタッフが、車で30分程度離れたエリアに競合店をオープンさせました。その後、お客様の証言から当店の顧客へ営業をかけていることが発覚したので、直接元スタッフへ「顧客を奪うようなマネはよしてくれ」と訴えました。その場では「わかった」と言ったのですが、しばらくしてまた営業をかけ始めていたようです。再度「このようなことは二度とやめてくれ」と伝えたのですが「以前担当していたお客様に連絡をして何が悪い」と逆ギレする始末です。売上を奪ったこともそうですが、お客様にまで迷惑をかけるのが許せません。同様の行為が発覚した際には法的措置も検討しているのですが、どのように対処をすればよいかご助言いただきたく相談させていただきました。何とぞ、よろしくお願いいたします。

ご相談者へ回答(回答者:新谷 哲)

実は、退職した元スタッフがお客様に営業することは、法律的に問題ありません。むしろ裁判沙汰になった場合、個人情報が辞めた社員に流れているということは個人情報保護法違反に該当するので、H様の方が不利になってしまう可能性があります。警告として内容証明を送ることで多少は牽制することができるかもしれませんが、完全に防ぐというのは難しいでしょう。

そのため、今後このようなことが起こらない様にするためには、秘密保持義務や競業避止義務を課すことを就業規則へ明記し、合意書・誓約書を交わしておくことが重要です。しかし、弊社でもこれらの契約を従業員との間で締結しているのですが、退職後に顧客へ営業をかける者が出てきました。また、元従業員のみならずM&Aで買収した譲渡企業先が、同じ事業を被るエリアで展開をしない契約であったにも関わらず、売却した事業の顧客リストを用いて営業をかけていたこともございました。法律違反であることを指摘しクレームを入れたことで一旦は収まりましたが、その後も内緒で営業していたという話は耳に入っていますね。

このように、法律的な対処では一筋縄でいかない問題ではありますが、このお悩みの本質に目を向けると、悪いことばかりではありません。以前、マイクロソフトの創設者であるビル・ゲイツは、アップルの経営が傾いた時に出資をして倒産危機を救いました。その時「なぜ、ライバルを助けたのか?」と記者に理由を問われると、ビル・ゲイツは「マイクロソフトにとって競争相手がいなくなることは自社の危機も意味していた」とコメントをしたそうです。消費者に選ばれるために、それぞれの企業がモノ・サービスの品質向上や充実に向け努力をするという健全な競争があるからこそ、業界全体が盛り上がり経済発展していくものです。

従って、H様が強化すべきこととは、お辞めになった元スタッフの店よりも良い評価をお客様から頂くための経営努力です。良い店を作り続ければ、お客様は戻り、売上げも上がり、口コミで新たなお客様も増えていきます。「ライバルができ、むしろ良かったのだ!」と前向きに、素晴らしいサロンづくりに専念して頂ければと存じます。ご希望がございましたら無料でオンライン経営相談も行っていますので、ぜひお声がけください。

新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長

新谷 哲

1971年 東京生まれ。大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。銀行、信用金庫の融資開拓コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年に独立し、WizBiz株式会社を設立。現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。日本国内では、経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年間300回以上のセミナーを開催し、年間4000名を越す経営者が参加。その集客力は、各方面からも注目を集めている。

※新谷哲に経営相談をご希望の方はこちらよりお問い合わせください。初回のみ無料で承ります。

本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の3分コンサルティング経営者の課題解決!「顧客を奪おうとする元スタッフへの対処法について」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

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