M&Aを成功させる方法と注意点とは?

本コーナーでは、経営者、社長、後継経営者、起業予定者などから頂戴する会社経営に関するご相談に対して、WizBiz株式会社の代表であり、経営コンサルタントである新谷哲が独自の視点で経営上のアドバイスや解決方法をご提示いたします。なお、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の「3分コンサルティング」を編集して掲載しております。

相談内容:「経営者が同一の2社のM&Aを成功させる方法、注意点をお教え下さい」

  • ご相談者:H社様
  • 業種:食品製造業・食品卸売業
  • 従業員数:150名

こんにちは、私は地方で食品製造業と食品卸売業の2社を経営しております。

バブル時に今の形に会社を分けまして、先代から会社の経営を引き継ぎ15年が経過しました。 社員の協力もありなんとか経営を続けていましたが、ここ数年は赤字経営が続いており現預金も少なくなって参りました。

様々な経営セミナーに参加したり、税理士や経営コンサルタント、銀行の方と相談を重ねた結果、「経営をしている2つの会社をM&Aして合併したら黒字経営になるのではないか」と試算されました。

そこでご相談なのですが、経営方針や人員の待遇の見直しなど、M&Aを行い会社統合をする際、やらなければならないことが多いかと存じますが、多くの経営者を見てきた新谷社長が考えるM&Aの際の注意点、M&A後の混乱を少なくする方法などありましたらご意見賜りたい所存です。宜しくお願いします。

ご相談者へ回答(回答者:新谷 哲)

エジソンが作ったGE(ゼネラル・エレクトリック)がM&Aをした際にすることは、「M&Aした会社にGEのクレドの徹底をさせるだけだ」と言われています。貴社のM&Aを成功させる方法も、GEと同じです。経営理念と組織風土を合わせること、これがM&Aを成功させる上で重要となる方法です。

両方とも、経営者が同じだと思いますので、経営理念や組織風土は大きく変わらないと思いますが、M&Aを行った後は細かな部分を一致させることが重要です。そのため具体的な方法は人事交流です。

M&Aをした会社に部下を派遣し、派遣した部下を相手の会社に受け入れさせ、経営理念や組織風土を合わせる。経営理念と組織風土を合わせたら、次は人事評価制度を合わせる。M&Aを成功させるには、このような方法を行うことが重要です。

しかし、「合併すると黒字になる」という企業経営の部分に疑問がございます。これは「管理部門を小さくすることで費用が少なくなり黒字になる」ということだと思いますが、「本当にそれでいいのか?」という話です。経営者が考えるべきことはM&Aを成功させる方法ではなく、食品製造業と食品卸業の2社をM&Aをして黒字経営にした後の、事業経営についてです。貴社は「5年後、10年後、20年後までどうやって生き残るためにどのような方法をとるべきか」という経営戦略を考えることが、M&Aを成功させる方法を考えるよりも重要です。

もしM&A後の経営戦略が描けていないのなら、2社のM&Aをして一旦は黒字経営になったとしても、すぐに赤字経営に逆戻りして、倒産の危機を向かえます。2社のM&Aを成功させる方法を考えるよりも先に、M&A後にどのような方法で生き残っていくかという経営戦略について考えていただければと思います。

新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長

新谷 哲

1971年 東京生まれ。大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。銀行、信用金庫の融資開拓コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年に独立し、WizBiz株式会社を設立。現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。日本国内では、経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年間300回以上のセミナーを開催し、年間4000名を越す経営者が参加。その集客力は、各方面からも注目を集めている。

※新谷哲に経営相談をご希望の方はこちらよりお問い合わせください。初回のみ無料で承ります。

本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の3分コンサルティング経営者の課題解決!「M&Aを成功させる方法、注意点とは?」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

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