融資と増資について

本コーナーでは、経営者、社長、後継経営者、起業予定者などから頂戴する会社経営に関するご相談に対して、WizBiz株式会社の代表であり、経営コンサルタントである新谷哲が独自の視点で経営上のアドバイスや解決方法をご提示いたします。なお、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の「3分コンサルティング」を編集して掲載しております。

相談内容:「融資と増資では、どちらがおすすめですか?」

  • ご相談者:F株式会社様
  • 業  種:IT企業

当社は、建築事業の業務を効率化するSaaSシステムを開発している会社です。社員のほとんどはエンジニアです。顧客も少しずつ増えてきたので、今後は売り上げを拡大するため、営業の採用や社内体制の整備などに2000万円程度の資金調達を検討しています。設立当初から付き合いのある信用金庫や、他の金融機関に相談をしたところ、前向きな回答をいただけ手応えを感じています。その一方で、他のスタートアップ企業が行うようなVC(ベンチャーキャピタル)とのエクイティでの資金調達も選択肢に入れるべきではとも考えています。融資を受けるのか増資で対応するのか、どちらが現在の自社の状況にマッチするのか、ファイナンスの経験が乏しいため判断が難しいです。ご相談させていただけますと幸いです。

ご相談者へ回答(回答者:新谷 哲)

融資を受けるのか、増資で対応するのかは「F社様が将来どうなりたいか?」でご判断頂くとよいでしょう。その際は、「上場を目指すか、目指さないか?」が一つの基準となります。

上場を目指さないのであれば、融資をおすすめします。社長が株を100%握っている方が、フリーハンドで経営ができるからです。金利が発生することで、営業外費用となり経常利益にマイナスが出ますが、現在は低金利時代なので、リスクは低いと思われます。ただし、返済不能となれば、この限りではありません。

上場を目指すのであれば、増資も視野に入れていくとよいでしょう。おそらく、ベンチャーキャピタルは「F社様が上場を目指すのなら投資をします」というスタンスです。上場を目指す注目ベンチャー企業では、数百億円以上の調達を増資で成功される、ユニコーン企業も出てきています。メルカリはまさに、そのパターンですね。

そして実際に、上場を目指し増資をするとなれば、持株比率(出資比率)に注意が必要です。特に、66.7%、50.1%、33.4%この3つの数字を意識しましょう。33.4%(1/3以上)の株式を保有することで、特別決議を単独で阻止することができます。特別決議とは、発行済株式総数の過半数を保有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上の賛成が必要となる決議のことです。そして、50.1%(1/2超)の株式を保有することで、株主総会の普通決議を単独で可決する権利。66.7%(2/3以上)の株式を保有することで、株主総会の特別決議を単独で可決する権利を持つことができます。

もし、3分の2以上の株式を保有していない場合は、社長様の思うように事業を前に進めることができなくなってしまう可能性がございます。そのため、なんとしても66.7%の持株比率をキープしたいところです。このような理由から、融資で対応ができるのならば、なるべく増資は避けるべきです。しかし、上場を目指す覚悟をお持ちでしたら、増資が有効です。ご希望がございましたらご相談に乗らせていただきますので、ぜひお声がけください。

新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長

新谷 哲

1971年 東京生まれ。大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。銀行、信用金庫の融資開拓コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年に独立し、WizBiz株式会社を設立。現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。日本国内では、経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年間300回以上のセミナーを開催し、年間4000名を越す経営者が参加。その集客力は、各方面からも注目を集めている。

※新谷哲に経営相談をご希望の方はこちらよりお問い合わせください。初回のみ無料で承ります。

本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の3分コンサルティング経営者の課題解決!「融資と増資について」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

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