社員教育の厳しさとパワハラ、線引きはどこ?

本コーナーでは、経営者、社長、後継経営者、起業予定者などから頂戴する会社経営に関するご相談に対して、WizBiz株式会社の代表であり、経営コンサルタントである新谷哲が独自の視点で経営上のアドバイスや解決方法をご提示いたします。なお、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の「3分コンサルティング」を編集して掲載しております。

相談内容:「社員教育で厳しい指導を行うことは、どこまでが良くて、どこからがパワハラになるのか、お教え下さい」

  • ご相談者:A社様
  • 業種:営業代行業
  • 年商:5億円

将来の経営幹部候補と思い、厳しく教育していた若手社員が、体調不良を訴え退職しました。

彼は、社内では人当たりもよく、根性もあったので、期待の意味も込めて厳しい社員教育を行っていました。そのため、「自分の行ってきたことは、社員教育ではなくパワハラだったのではないか」と自分の言動を振り返っています。

しかし、退職した彼と同様に、厳しい社員教育を行っていても、辞めない部下もたくさんいます。そのため、「何が正しいのか」「社員教育とパワハラの境界線はどこにあるのか」が分からなくなってきました。

彼のような退職者を出さないよう、社員教育がパワハラにならないよう、対策を取りたいのですが、何から着手したらいいか分かりません。パワハラにならずに厳しく社員教育する方法をアドバイスいただけないでしょうか。

ご相談者へ回答(回答者:新谷 哲)

私も、A社様と同様の失敗をしたことが、数多くございます。昔、私が厳しく社員教育を行った課長がおりました。ある時、あまりに厳しい社員教育は、パワハラになって良くないと思い、厳しくするのを止めました。しばらくすると、彼は鬱病になり、退職して

しまいました。

何が問題だったかと考えてみますと、厳しい社員教育をしている分、彼にはよく声をかけていました。厳しい社員教育を止めた後は、声をかける回数が減っていました。おそらく、これが問題だったと思います。そのため「認めているよ」「見てあげているよ」と、行動で示すことが、離職させないためには重要なのだと思います。つまり、厳しい社員教育とパワハラの境界線というのは、あまり重要ではないと思うのです。

重要なことは、経営幹部候補の社員に、「いつか役員になって」とか、「私の跡を継いで」と、声を掛け続けることではないでしょうか。WizBizでは経営幹部候補の社員に、厳しい社員教育を行いながら、「将来役員になって」、「私の後を継いで社長になって」と、言い続けています。そうすることで、辞めずに活躍してくれる社員に育ってくれます。 社員が辞めないためには、社員教育がパワハラにならないかを考えるよりも、将来像を見せながら社員教育を行うことが重要ではないでしょうか。そうすることが、A社様の経営幹部候補を育てることにもつながります。

新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長

新谷 哲

1971年 東京生まれ。大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。銀行、信用金庫の融資開拓コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年に独立し、WizBiz株式会社を設立。現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。日本国内では、経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年間300回以上のセミナーを開催し、年間4000名を越す経営者が参加。その集客力は、各方面からも注目を集めている。

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本コーナーで掲載する経営相談は、Podcast「社長に聞く!in WizBiz」で配信中の3分コンサルティング「社員教育の厳しさとパワハラ、線引きはどこ?」を編集したものです。文中に登場する社会環境や企業情報、数字情報、その他の各種事象は、原則、収録当時のものですので、予めご了承ください。

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